カレンたちと合流した僕たちは食事を終え、
宿でゆっくり休養をとった。
そして翌日の朝になり、出発の準備を始める。
カレンたちと合流した僕たちは食事を終え、
宿でゆっくり休養をとった。
そして翌日の朝になり、出発の準備を始める。
あれ?
いつもは早起きのはずのクロードが
まだベッドの上で眠っていた。
僕よりも起きるのが遅いなんて珍しい。
ちなみにクロウくんも夢の中のようだ。
ねぇ、トーヤ。
そろそろクロードたちを
起こしたら?
でも疲れているのかも
しれないよ?
ギリギリまで寝かせてあげたら?
でもでもぉ、
さすがにお寝坊さんですねぇ。
以前からクロードさんは
規則正しい生活が大事だって
言ってたじゃないですか。
起こしてあげた方がいいですよ。
……それもそうだね。
僕はクロードの掛け布団を引きはがし、
大きく体を揺する。
一方、セーラさんはクロウくんを
起こしてあげるみたい。
起きて、クロード。
もうすぐ出発の時間だよ。
ほらほらぁ、
起きてくださいぃ~♪
その後も僕たちは激しく体を揺すったり、
大声で呼びかけたりした。
でもクロードもクロウくんも
起きる気配が全くない。
それでようやく様子がおかしいことに気付く。
カレン、
どう考えてもおかしいよ。
これだけやっても起きないなんて。
そうね……。
何かの病気だったら大変ですね。
病気だと判断するのには
疑問があるわ。
どうして?
もし病気なら、
なぜこの2人だけが罹患したのか?
そっか、感染性のある病気なら
僕たちもかかっている可能性が
高いもんね。
感染性がなかったとしても、
それはそれでおかしいですもんね。
2人同時に症状が出るなんて。
カレンやライカさんの言う通りだ。
もし感染する病気が原因なら、
僕たちやこの町の多くの人に症状が出て
大騒ぎになっていたとしてもおかしくない。
それに体質に関係する病気なら
個体差が出るから、
症状の出るタイミングが同じなのは疑問だ。
それならぁ、
男子にだけ感染するんじゃ
ないですかぁ?
っ!? セーラさんっ!
それ、どういう意味ですかっ?
冗談ですよぉ♪
もうっ、セーラさんったら!
こういう時にからかうのはやめてほしい。
でもそれを聞いていたカレンは
なぜか真面目な顔をしたまま頷いている。
セーラさんの指摘は
いい着眼点だと思います。
カレンまでからかうつもりっ?
冷静になって、トーヤ。
私たちはこの町に着くまで、
ずっと一緒にいたのよ?
私たちと別行動をした時に
何かあったって想像するのが
自然よ。
でもでもぉ、
それだと1つだけ疑問が
残りますねぇ。
そっか、トーヤさんに
何も起きていないというのが
疑問の残る原因というわけですね?
その通りなのですぅ。
トーヤ、
どこかでクロードとクロウくんが
別行動をした時ってなかった?
あっ!
僕の頭にはすぐに温泉の休憩所のことが
思い浮かんだ。
そうだ、あの覗き穴の時だ。
あの時だけ、2人は僕と別行動をとった。
何かがあったとすれば、
その時しか考えられない。
でもその話をするのは……まずいよね……。
思い当たることがあるのね?
う、うん……。
詳しく話してもらえる?
えっと……その……。
このままクロードたちに
取り返しの付かないことが
起きてもいいの?
わ、分かった。話すよ。
クロードたちの体のことを考え、
やむを得ず僕は全てを話すことにした。
でもカレンたちに言いつけているみたいで
すごく気が退けるなぁ。
話をしている途中で、
3人の表情も曇っていってるし……。
――というわけなんだ。
……この2人、最低ですね。
自業自得なのですぅ!
トーヤ、
本当に覗いていないのね?
嘘じゃないわよね?
あ、当たり前じゃないか!
そんなことしないよっ!
大丈夫ですよぉ!
トーヤくんが無事なのが、
覗いていない証拠なのですぅ!
でもそれが原因だと
決まったわけでは……。
ほかに別行動をしていないなら、
それが影響していると考えるのが
自然ですよ。
それもそうね……。
ふぅ、すごくホッとするのはなぜだろう。
命の危機を脱したからなのかな?
いずれにしても
カレンは納得してくれたみたい。
危うく僕まで
とばっちりを食うところだったよ……。
とりあえず、
原因を調べてみましょう。
診察魔法を使ってみるわ。
カレンは慣れた様子で診察魔法を使った。
程なくそれが終わると、
目を丸くしながら大きな声を上げる。
これはっ!?
原因が分かったの?
呪いがかかってる。
呪いっ?
しかも夢魔の……。
えぇっ!?
夢魔というと、
人間の精気を吸い取ると言われている
種族のことだ。
男性型がインキュバス、
女性型がサキュバスって呼ばれてる。
彼らは寝ている間に精気を吸い取って、
いずれは死に至らしめてしまうという。
――でもそれだと、ちょっとおかしい。
だって夢魔の呪いは
僕たち魔族には効かないはずだから……。
次回へ続く!