今日も、美味しかったです。
ありがとうございます。

いや、こちらこそ助かる。

キミのお陰で、士気が保てるのだから

えへへ

じゃあ、失礼します♪

ちょっと、話いいかな

おや、相談とは珍しいですね。
第四皇子。

涼しい表情で、鼻にかけた笑みを浮かべる師団長に
彼も、また涼し気に笑う。

俺が怪物にご執心なの知ってる癖に、何を珍しいって言うの。

いくら貴方のご命令でも、それは出来かねます。
利害も一致しております。

それで、適当に内緒で婚約者とかも作っちゃうしね?

ご容赦を。これも国の為です。

荷が重すぎない?
全兵士の哀しみを抱えさせるなんて

彼女は哀しみがないと生きられない存在。
貴方が一番ご存じでしょう

そう。
それが、問題だったんだ。
けど、一つだけ方法がある

……何を仰っているのでしょうか。

ほら、彼女自身に悲しみがあればいいんだ。
そうすれば、君らがいなくても生きていける。

彼女がいなければ、我々は滅びていた戦いもあったんですよ!?

なおさらだ。
彼女は俺たちの道具?最終兵器?兵士製造機?

そんな国なんて、滅んじゃえば良いんじゃない? 壊そうか?

穏やかな笑顔で、優し気な口調で、ぞっとするようなこと言い放つ。

有無を言わさない王族の威圧で、彼は師団長に詰め寄った

……っ。
陛下に報告させて頂きます

ああ。主犯が愚父か。

失礼します

父上に、よろしく

穏やかな口調で、穏やかではない内容の会話を交わして、彼はまた海へもどった

波汰ー。

笑いながら泣いてる。
かわいい。どうしたの?

何かすっきりした顔してるね?

そうだね。
ねぇ、うみちゃん。

なにー? すっきり波汰ー。

俺の悲しみ、もらってくれない?

波汰。 無理して笑わなくていいよ

ああ、だって無理。
笑ってないと、泣きそうだ。

それだけつらい記憶なら、欲しいな。
ちょうだい?

あはは。いいよ。あげる。
いくらでも、底が尽きるまであげる。

海は大きく息を吸い込んでから、右手を小さな胸にあてる。
本当に何もない胸だな、とか思いながらも、彼女はこんな小さな身体で良く耐えてきたな。
だなんて考えていた。


そして、彼女はゆっくりと旋律を奏でる。

波汰、この記憶――

海ちゃんにとって、かなしみは×××です。

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