午後七時。予定通り美樹ちゃんは、観覧車の下で青葉と合流を果たした。
お待たせ! 桐斗君
午後七時。予定通り美樹ちゃんは、観覧車の下で青葉と合流を果たした。
三枝か。どうした? 俺は都に呼ばれッて来たんだが
その大樹くんがね、遅れそうだから代わりに私に行って欲しいって
ふむ。なるほどな。そういうことなら、存分に楽しもうじゃないか
そして、二人はゆっくりと歩き出した。
その、十数メートル後方の茂み。
なあ都、俺は罪悪感しかないんだが……このままずっと覗くつもりか?
いや、僕の仕事はここまでだよ。本当はこの後一人でいるのもつまらないし帰ろうと思っていたんだけど
なら一緒に回らないか? せっかく入場料も払ったんだし、もったいないだろう
そうだな。じゃあ俺たちも楽しもうか
僕たちは、青葉たちと逆の方角に向って歩き始めた。
すごく綺麗だな
ああ。本当におとぎの国に迷い込んだみたいだ
僕たちが来たのは、夢とファンタジーの国。
その中の小さな小屋がある花畑に来ていた。
今頃青葉たちは上手くいっているだろうか
またそれか。安心しろよ、あの二人のことだ、上手くやってるさ
お二方や
うわあっ!!
いきなり現れた女性に、藤峰だけじゃなく僕までも大声を上げそうになった。
どうしたんですかお姉さん
なに。お二人には災厄の相が出ている様子でしたので、勝手ながらも忠告に来たのです
災厄の相?
ええ。それも、本当に困難な壁に遭遇するような。悪いことは言いません。今日はこの地を離れて家で大人しくしていて下さい
それは出来ないよ。ここに来たのは僕らだけじゃなくて、他にも友達がいるんだから
それは知っています。おそらくその子たちも巻き込まれるのでしょう。それでは、一つだけ言わせて下さい
彼女はそこまで言うと、どこからか紫色の花束を取り出した。
これはミヤコワスレと言う花です。花言葉は、『別れや旅立ち』。もしもの時はこの花が役に立ちます。思うところがあれば、後悔しないように私の元を訪れなさい
その言葉だけを残して、彼女は小屋の中に姿を消した。
何か胡散臭い人だったな
そうだね
ごめん、ちょっと電話……綾瀬からだ
僕は突然なり始めたその携帯に出る。
もしもし。どうしたんだあや…
みーくん!! 大変だ! ホテルが、ホテルが燃えている! 火事だっ!!
何だって!?
おい、どうしたんだ都!?
藤峰、すまないが僕はいったん青葉とホテルに戻る! お前は美樹ちゃんとこの遊園地にいてくれ!
あ、ああ。だけど、何で……
いいか、絶対だぞ!!
藤峰の言葉を遮り、僕は走り出したのだ。
どうした都? ……ああ、何!? 分かった、三枝を残して今すぐ行く!
どうしたの桐斗君?
ああ。都の奴がご飯を食べたのに財布を忘れたらしくてな。無銭飲食で警察に連れて行くぞって言われてるようだから、悪いが俺が言ってもいいか?
ええ!? 大丈夫だけど、私も行こうか?
いや、大丈夫だ。もうすぐここに藤峰が来るらしい。俺が戻ってくるまで時間を潰しててくれ
うん、分かったよ。気を付けてね
ああ。行って来る
僕の夢はここで終わりだ。
僕は目を覚ました。
だからだろうか。
その声が
聞こえてきたのは。
くすくす。ようやく見えてきましたね。矛盾の正体が。と言っても、もうあなたは気付いているんンでしょけれど
ささ、おはようのキスでもしてあげましょう
* * * * *
こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。
いよいよ長かった夢の話しも終わり、物語は戻って行きます。
夢を見る前の展開を憶えていますでしょうか?
そうです。あの三人とのご対面です。
それでは、今回はこの辺りで失礼します。