俺の代わりにタップシューズを鳴らしてくれねえか?
いやあ、何とも胸が温かくなるエピソードですなあ
でもそこまで自分勝手…おっとっと粋な江戸っ子なら自分で渡そうってならなかたんですかね?
それなんだけど…
先週靴が仕上がったんで、
じいさんの自宅に電話かけてみたらさ、つい数日前に末期がんで亡くなったって聞かされたよ。
そ、そんな…
自身の死期を悟った上で、あえて気丈に振る舞われていたのですね。
私の妻もそうでした。
かもしれないっすね。
しっかり女性の病室番号までメモしてあったんで。まあ、残りローンについては何も書いてなかったんですけどね。
ただ最後に一行だけ
俺の代わりにタップシューズを鳴らしてくれねえか?
ワォ!いつの間にか雨止んでましたよ。
おお、頃合いだね。
じゃあまた降り出す前にそろそろ。
ごちそうさまでした。
今度そのピンボールやらせて下さい。
是非とも!お待ちしております。
いやあ、切ないけどなかなか素敵なお話でしたね。ん、ムズムズしてどうした初老?
ぐぬぬぬぬぬぬ…
げ、まさか!?
アフターだ!
ナルサワ君!!
やっぱりか~。
白昼堂々、夢遊病!イヤォ!
きっとそのゲリラじじいが好きになったファンの女性に美しい時の流れが潜んでいるに違いない!
ゴリラじじい、な。
別にガチガチの〇翼とかじゃないから。
そんじゃま行ってら!
イエス、アイキャンフライ!
というわけでシューメイカーの彼をアフターして私は病院へとたどり着いたのだった。
因みに松葉づえをついて耳の遠い老人のフリをして病室前の廊下をフラフラするという見事な変装スタイルを取ったのだった。
…というわけでこの靴を渡しに来たわけなんですけれども。その…驚きましたよね?
そう、それは大変でしたね。
でもとっても嬉しいわ。
同じくらい悲しくもあるけど。
ありがとうございます。
困った事にあなたへの遺書というか直接的なメッセージは預かっていないんです。ただ
もしあの時、あの子を選んでいたらオイラの人生変わってたんじゃねえかなって
熱烈に迫ったそうですね。あの人に?
逆よ。
あの人が私に告白してきたのをワケあって断ったのよ。
そうですか。
なんだやっぱりあのじじい話盛ってやがったな。
そうでもないわ。
だってあの時私も揺れてたから。
本当にものすごく嬉しかった。
でも、すごく辛かったわ。
続く