道を歩いていたら、
僕たちの周りに色っぽいお姉さんたちが
集まってきて囲まれてしまった。


こ、これはどういうことなの?
 
 

クロード

すみません。
私たちはあなた方に
興味がありません。
お引き取りください。

 
 
僕とクロウくんが戸惑っていると、
クロードが丁重に断りを入れた。

でもお姉さんたちはそれでも引き下がらない。
 
 

お姉さん

またまたぁ、
ちょっとくらい
遊びましょうよぉ。

クロード

私たちがおカネを
持っているように見えますか?

お姉さん

う……確かにそうね……。

トーヤ

し、失礼な……。
まぁ、事実なんだけどさ……。

クロード

客引きをするなら
もっと相手を選んだ方が
いいですよ?

お姉さん

それもそうね……。

 
 
ようやくお姉さんたちは諦めて
僕たちから離れていった。


そして今度はすぐ近くを歩いている
別の男の人に声をかけている。

その人も囲まれちゃってるよ……。
 
 

クロウ

ふぅ、やっとあっちへ
行ってくれましたね……。

クロード

仕方ないんです。
この地域にはあの手のお店が
たくさん集まっているので。

トーヤ

クロード、
あのお姉さんたちは何者なの?

クロード

娼婦ですよ。
つまり体を売る女性たちです。

トーヤ

えぇっ!?

 
 
体を売るって、人身売買ってこと?

奴隷にならなければならないほど、
お姉さんたちは生活が苦しいのかな?


だったら僕たちみたいな
旅人に声をかけるより、
雇ってくれそうな商人やお役所に
仕事をもらいに行けばいいのになぁ……。
 
 

クロウ

もしかして僕たちを
そこへ連れていくつもり
だったんですか?

クロード

まさか!
トーヤをそこへ連れていったなんて
カレン様に知れたら、
私は殺されてしまいますよ。

トーヤ

そうかな?
人身売買は良くないって
カレンも理解してくれると
思うんだけど。

クロード

……え?

クロウ

……もしかしてトーヤさんは
何か勘違いをしているのでは?

クロード

なるほど、そういうことですか。

 
 
クロードとクロウくんは顔を見合わせ、
納得したようにポンと手を打った。

僕には何がどうなっているのかサッパリだ。
 
 

トーヤ

勘違いって何?

クロード

いえ、なんでもありません。
トーヤ、
トラブルを防止するためにも
この一件は忘れてください。

トーヤ

う……うん……。

クロウ

それならクロードさん、
どこへ行こうと
しているのですか?

クロード

温泉です。
この町は温泉が湧いていて
公衆浴場があるんですよ。

トーヤ

温泉っ!?

クロード

はい、地面から
お湯が湧き出しているんです。

トーヤ

温泉かぁ。
話には聞いたことがあるけど
実際に入ったことはないなぁ。

 
 
随分前に、隠れ里で師匠から
温泉について色々な話を聞いた。


普通のお風呂と似ているけど、
温泉の場合は入るだけで
病気や怪我に効くらしい。

師匠もよく温泉場へ通っていたんだって。
 
 

クロード

すごく気持ちいいんですよ?

トーヤ

へぇ~っ!

クロウ

それは楽しみですね。

トーヤ

確か温泉って浸かるだけで
病気が治るんだよね?
中には飲用に適した温泉水も
あるらしいよね?

クロード

そうみたいですね。
トーヤならきっと温泉に興味を
持ってくれると思っていました。

クロード

残念ながらここの温泉は
飲用には適さないらしいですが。

トーヤ

じゃ、みんなで浸かりに行こう。

クロウ

はいっ!

クロード

行きましょう!

 
 
こうして僕たちは温泉へ向かって
道を進んでいった。



ちなみにその間にも何度か、
別のお姉さんたちに声をかけられちゃった。


セーラさんに話をして
ギルドから仕事をまわしてあげようって
クロードに話をしたら、猛烈に反対された。

しかも絶対にこのことを
話しちゃいけないって口止めをされたし。



そこまで神経質になるのはなんでだろう?
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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