道を歩いていたら、
僕たちの周りに色っぽいお姉さんたちが
集まってきて囲まれてしまった。
こ、これはどういうことなの?
道を歩いていたら、
僕たちの周りに色っぽいお姉さんたちが
集まってきて囲まれてしまった。
こ、これはどういうことなの?
すみません。
私たちはあなた方に
興味がありません。
お引き取りください。
僕とクロウくんが戸惑っていると、
クロードが丁重に断りを入れた。
でもお姉さんたちはそれでも引き下がらない。
またまたぁ、
ちょっとくらい
遊びましょうよぉ。
私たちがおカネを
持っているように見えますか?
う……確かにそうね……。
し、失礼な……。
まぁ、事実なんだけどさ……。
客引きをするなら
もっと相手を選んだ方が
いいですよ?
それもそうね……。
ようやくお姉さんたちは諦めて
僕たちから離れていった。
そして今度はすぐ近くを歩いている
別の男の人に声をかけている。
その人も囲まれちゃってるよ……。
ふぅ、やっとあっちへ
行ってくれましたね……。
仕方ないんです。
この地域にはあの手のお店が
たくさん集まっているので。
クロード、
あのお姉さんたちは何者なの?
娼婦ですよ。
つまり体を売る女性たちです。
えぇっ!?
体を売るって、人身売買ってこと?
奴隷にならなければならないほど、
お姉さんたちは生活が苦しいのかな?
だったら僕たちみたいな
旅人に声をかけるより、
雇ってくれそうな商人やお役所に
仕事をもらいに行けばいいのになぁ……。
もしかして僕たちを
そこへ連れていくつもり
だったんですか?
まさか!
トーヤをそこへ連れていったなんて
カレン様に知れたら、
私は殺されてしまいますよ。
そうかな?
人身売買は良くないって
カレンも理解してくれると
思うんだけど。
……え?
……もしかしてトーヤさんは
何か勘違いをしているのでは?
なるほど、そういうことですか。
クロードとクロウくんは顔を見合わせ、
納得したようにポンと手を打った。
僕には何がどうなっているのかサッパリだ。
勘違いって何?
いえ、なんでもありません。
トーヤ、
トラブルを防止するためにも
この一件は忘れてください。
う……うん……。
それならクロードさん、
どこへ行こうと
しているのですか?
温泉です。
この町は温泉が湧いていて
公衆浴場があるんですよ。
温泉っ!?
はい、地面から
お湯が湧き出しているんです。
温泉かぁ。
話には聞いたことがあるけど
実際に入ったことはないなぁ。
随分前に、隠れ里で師匠から
温泉について色々な話を聞いた。
普通のお風呂と似ているけど、
温泉の場合は入るだけで
病気や怪我に効くらしい。
師匠もよく温泉場へ通っていたんだって。
すごく気持ちいいんですよ?
へぇ~っ!
それは楽しみですね。
確か温泉って浸かるだけで
病気が治るんだよね?
中には飲用に適した温泉水も
あるらしいよね?
そうみたいですね。
トーヤならきっと温泉に興味を
持ってくれると思っていました。
残念ながらここの温泉は
飲用には適さないらしいですが。
じゃ、みんなで浸かりに行こう。
はいっ!
行きましょう!
こうして僕たちは温泉へ向かって
道を進んでいった。
ちなみにその間にも何度か、
別のお姉さんたちに声をかけられちゃった。
セーラさんに話をして
ギルドから仕事をまわしてあげようって
クロードに話をしたら、猛烈に反対された。
しかも絶対にこのことを
話しちゃいけないって口止めをされたし。
そこまで神経質になるのはなんでだろう?
次回へ続く!