その後、陸走船は大きなアクシデントもなく
イフリートの砂漠を北へ進んでいった。


すると次第に景色は砂地の砂漠から
岩ばかりの続く赤茶けた荒野へと変わり始め、
目的地であるノースエンドの周辺には
岩山や谷なども見られるようになる。

今までずっと平坦な砂地だったから
その景色がすごく新鮮に感じられる。
それだけ長い間、
砂漠にいたってことなのかもね……。



そして僕らはついにノースエンドへ到着。
サンドパークから
約2週間といったところだろうか。

町は渓谷地帯の入口にあって、
その地形を作り出したドラゴンリバーが
すぐ近くを流れている。
 
 

トーヤ

意外に涼しいね。

クロード

はい、ここはすでに
イフリートの砂漠を
抜けた場所ですから。

クロード

それに魔界の中でも
北に位置していますし。

クロウ

ダンリの町は
高地にあると聞きます。
おそらくここよりももっと
涼しいでしょう。

セーラ

だとすると、
この町で装備を整えた方が
いいかもしれませんねぇ。

ライカ

それでしたら、
今日はこの町に泊まって
明日に出発するというのは
いかがですか?

カレン

私は賛成っ!

トーヤ

みんなもそれでいい?

 
 
その問いかけに反対意見は出なかったので、
僕たちはノースエンドで一泊することにした。


――でもそれで良かったのかも。

だっていくら特等船室の居住性が良くても、
ずっと船室の中にこもりっきりじゃ
体は動かせないし、ストレスが溜るもんね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この町に土地勘のあるクロードの案内で、
僕たちは彼のオススメの宿へ
チェックインした。

部屋に着くと、荷物を置いてひと息つく。
 
 

トーヤ

じゃ、このあとはどうしようか?

カレン

私はセーラさんと一緒に
買い物へ行くわ。
安く買い物ができそうだし。

セーラ

はいぃ、行きましょ~♪

ライカ

私もお供します。

クロード

それなら男子と女子に分かれて
出かけるということでは
いかがですか?

カレン

それはいいわね。

ライカ

気兼ねなく買い物ができますしね。

セーラ

やっぱり男子の目があると
困る買い物もありますからねぇ。

トーヤ

クロウくんはそれでいい?

クロウ

はい、僕は構いません。

トーヤ

クロード、僕も異論はないよ。

クロード

ということは、決まりですね。

セーラ

ではでは、日が沈む頃に
部屋で合流しましょ~。
そのあとは揃って
食事ということで~。

トーヤ

分かりました。

 
 
こうしてセーラさんたちは先に部屋を出て、
買い物をしにいった。


そういえば、カレンやセーラさんと
別行動をするのはいつ以来だろう?

ずっと一緒だったもんね。
 
 

クロード

では、我々も出かけましょう。
まずは防寒着や道具類を
揃えましょう。

トーヤ

僕は薬草類を見ておきたいな。
ポートゲートやサンドパークでは
ゆっくり見られなったし。

クロウ

僕は本でも買おうかな。

クロード

洋品店と薬草店と書店ですね?
あとは市場も見て回りましょう。
掘り出し物と
出会えるかもしれませんし。

トーヤ

うん、そうしよう。

クロード

そのあと、私はおふたりを
面白い場所へご案内したいのですが
よろしいですか?

クロード

女性たちもいないことですし。
ふふっ♪

トーヤ

面白い場所?

クロウ

遊技場でもあるんですか?

クロード

それはまだ秘密です。
気持ちいいコトだとだけ
お伝えしておきます。

トーヤ

気持ちいいこと?

クロード

まずは買い物を済ませて、
荷物を部屋に置いてからです。
さぁ、行きましょう!

トーヤ

う、うん……。

 
 
クロードはニヤニヤするだけで、
それ以上は何も教えてくれなかった。


面白い場所でする気持ちのいいコトって
なんなんだろう?

すごく気になるなぁ……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、僕たちは買い物を済ませ、
買ったものを部屋に置いてから
再び町へ出た。


すでに陽は少し傾いて、
町は夕食の食材を買い求める人の姿が
たくさん見られる。


あまり帰りが遅くなると
カレンたちに怒られちゃうんだけどなぁ。

クロードのことだから
それくらいは分かってるとは思うけど……。



で、そのクロードは
僕たちの先頭を歩いていて珍しく上機嫌。
いつもはもっと冷静な感じだから
その姿は新鮮に映る。
 
 

クロード

私、この町に来た時は
いつもそこへ寄るんです。

トーヤ

へぇ~、そうなんだ?

クロウ

よほど楽しいんでしょうね。

クロード

えぇ、まぁ。

 
 
――その時だった。

歩いている僕たちのところへ
際どい格好をしたお姉さんが寄ってきて
声をかけてくる。
 
 

お姉さん

あ~ら、可愛い子たちねっ♪
3人とも私のタイプだから、
安くしておくわよ~ん?

トーヤ

えぇっ!?

クロウ

な、何の話ですか?

お姉さん

ここを歩いているってコトは、
分かってるでしょ~?

 
 
そのお姉さんが声をかけてきたのをきっかけに、
周りの建物の入口や道ばたに立っていた
ほかのお姉さんたちもたくさん寄ってくる。


こ、これってどういうことなのっ!?
 
 

 
 
 
次回へ続くっ♪
 

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