ピンチを乗り越えるための作戦――
もし僕の考え方が間違っていたら、
こちらの命を落としかねない危険なもの。
でも僕は僕自身の力と能力を信じる!
ピンチを乗り越えるための作戦――
もし僕の考え方が間違っていたら、
こちらの命を落としかねない危険なもの。
でも僕は僕自身の力と能力を信じる!
クロード、ちょっとだけ
サポートしてくれる?
部屋に落ちている薬や薬草を
拾いたいんだ。
何か考えがあるのですね?
承知しました!
ありがとう。
クロードさんにモンスターを
牽制してもらいながら、
僕は可能な限り薬や薬草を拾い集めた。
持ってきたものの半分以上は
カバンに入ったままだったから、
すばやく回収できたのは幸いだった。
――そして僕はそれらをザッと確認していく。
よし、いいぞ。材料は揃ってる。
何をする気なの?
一発逆転の秘策だよ。
試してみる価値はあると思う。
ねぇ、クロード。
さっき使った魔法道具だけど
使用回数に制限ってあるの?
いえ、魔法力さえあれば
回数や持続時間に
制限はありません。
ただ、ご承知のように
莫大な魔法力を消費するので
物理的限界はありますが……。
クロード、
もう一度使うことってできる?
可能ですが、
そんなに長くは保たないかと……。
やっぱりそうか……。
さっき魔法力を大きく消費した上に、
氷の魔法も使ったんだもんね。
ライカさんやカレンでも
扱えそうかな?
魔法容量さえ一定量を超えていれば
誰にでも使用は可能です。
目安は各系統の最高位の魔法が
扱えるくらいですね。
カレン、ライカさん。
それだけの魔法容量ある?
うん、大丈夫だと思う。
えぇ、問題ありません。
2人とも使用が可能なら、
魔法道具担当はライカさんにお願いしよう。
カレンは今、
こうして僕たちを守ってくれている結界を
展開している最中だもんね。
切れ間なく継続的に安全策をとるなら
その方がいい。
クロード、
あの結界って外部からの干渉を
受けないんだよね?
はい、その通りです。
つまり中にいる限り安全な
絶対障壁とも言えるよね?
それもおっしゃる通りです。
よし、いけそうだ!
そろそろ私たちにも
説明しなさいよ。
僕、あのモンスターを
毒に冒して倒そうと思うんだ。
毒でっ!?
もし倒せなかったとしても
僕たちが逃げる余裕は
作れると思う。
なるほど……。
カレン、診察魔法で
あのモンスターに毒が効くか
調べてもらえる?
この程度の距離なら可能でしょ?
分かったわ。
まずはライカさんが新たに
普通の結界魔法を使って安全を確保。
そのあと、手の空いたカレンが
診察魔法でモンスターを調べる。
少しでも隙ができると、
モンスターに攻撃されちゃうからね。
――そして診察魔法は短時間で終わる。
どうだった?
効くことは効くけど、
ある程度の耐性はあるわね。
ナイフに毒を塗って
攻撃する程度じゃ、
効果は薄そうですね。
いえ、それでも繰り返せば
いつかは倒せます。
それまで攻撃を続けてみせます。
みんな違うんだ。
僕は毒を傷口から送り込もうと
考えているワケじゃない。
気体の毒を発生させて、
モンスターの体の内側から
毒で冒すつもりなんだよ。
毒を吸い込ませるわけですか。
それなら効果は高いです。
それで結界の話が出たのですね?
確かにあの結界の中にいれば
毒の影響は受けません。
そういうことっ♪
でも毒を使うには
結界の外に出ないといけません。
トーヤ様まで毒の影響を……。
あ、それは心配ないんだ。
僕、毒が効かないから。
そうなのですか?
そっか、クロードだけは
僕の能力について
知らせてなかったんだよね。
ちょっと待ってよ。
その作戦にはもっと
根本的な問題があるじゃない。
モンスターが倒れるまで、
トーヤは無防備になるのよ?
さすがカレン。
そのことに気付いちゃったか……。
僕は苦笑しながら指で頬を掻く。
あっ……。
確かにその通りですね……。
大丈夫。
僕はバスルームへ逃げ込んで、
ドアを閉めちゃうから。
ある程度は安全だよ。
それってある程度は
危険だってことでも
あるんじゃない!
てはは……
そうなんだけどね……。
でも僕はやられない。
なんとしてでもやり遂げてみせる。
…………。
カレンは眉を曇らせ、沈黙していた。
するとクロードがカレンの前に出て、
なぜかニヤリと微笑んだ。
私はトーヤ様を信じます。
カレン様はトーヤ様を
信じられないのですね?
あなたの想いはその程度でしたか。
う……。
私もトーヤさんを信じます。
さすがクロード。
今の言葉はカレンにかなり効いているみたい。
ライカさんも意図を察して
援護射撃してくれたし。
これならカレンも突っぱねられないはず。
トーヤ、死んだら許さないからね?
私があの世に逝った時、
思いっきりビンタだからね?
そうはならないよ。
だってうまくやってみせるから。
僕は笑顔でカレンに返事をした。
ごめんね、カレン。心配をかけて。
でもその気持ちはすごく嬉しいよ。
だからこそ、この命を危険に晒してでも
僕はカレンを守りたい。
クロードやライカさんを守りたい。
――大切に想う気持ちは一緒だよ。
次回へ続く!