矢野 樹理

凄いよね夕日くん。もう指導室に着いたんでしょ?

小柳 真

ああ、先ほど確認した。お前よりよっぽど優秀だぞ姫宮

姫宮 愛沙

私の専門は少し違うんだから大丈夫ですー

神嶋 伸也

これで、僕の仕事が減れば嬉しいんだけど……

佐藤 立夏

ふふ。あの新人は我の下僕だからな。少しなら貴様にも使わせてやろう、あやこさん

神嶋 伸也

あいつの前ではその名前で呼ぶなよ

そんな会話をしながら、ミステリー研究部のメンバーは廊下を悠々と歩いていた。

小柳 真

よし、辿り着いたぞ

姫宮 愛沙

この先で夕日くんが『くるまでまっている』んだよね?

神嶋 伸也

どうせ僕たちが来るまでじっと待っているだけじゃない?

矢野 樹理

もしかすると、紙にくるまって書いて、その上に座って待っているかもしれないよ?

佐藤 立夏

いや。我の下僕ならば、あの部屋にあった段ボールで車を作ってそお中で待ってたりしかねないぞ

三者三様の予想が飛び交う中、部長である小柳真(こやなぎ まこと)が意見をまとめる。

小柳 真

この扉を開ければすぐにはっきりする。自分の目で確かめようじゃないか

そう言って、指導室への扉を開けた。

そして、彼らは東條夕日の姿を目の当たりにする。

東條 夕日

・・・

神嶋 伸也

・・・

佐藤 立夏

・・・

姫宮 愛沙

・・・

矢野 樹理

・・・

一同が気まずさの中言葉を発せないままに、空気が凍り付いたのを感じた。

そしてやはり小柳が、東條のその答えに評価を下す。

小柳 真

……まさか段ボールをから車のパーツを作りだし、それを体に装備して加齢に舞っているとはな。予想外だ。完敗だよ。東條夕日、君の入部を認めよう

つまり、彼の解釈はこうだった。

『くるまでまっていろ』

『車(の格好)で舞っていろ』

東條 夕日

くっ。いきなり閉じ込められて、終いにはこんな格好をさせて、俺がこの部に入るわけがないだろう!!

冷静になって自分が何故こんなことをしたかも理解できなくなったまま、こみ上げてくる恥と怒りに任せて俺は怒鳴った。

だけど、そんな抵抗も簡単にねじ伏せられてしまう。

小柳 真

ふむ。まあ強制はできない。入部するかしないかは君の自由だ。しかし覚えておいてほしい。もし君が入部しなかったら、私はこの動画を全校に公表するかもしれないということを

そう言って差し出したスマホで再生されていたのは、車の格好をして舞っている俺。

東條 夕日

……入部させて下さい

理不尽な暴力に俺が屈した瞬間だった。

生徒会長

もうっ! こんなところにいたのねあなた達。一体どれだけ探しぶふうっ!?

激しく開かれたドアからいきなり入って来た少女が、俺の姿を見るなり噴き出したのは。

小柳 真

こいつは我らミステリー研究部の新入部員だ。この格好は……こいつの趣味だ聞かないでやってくれ

生徒会長

へぇー

東條 夕日

誤解だ! だからそんなゴミを見るようね目で見ないでくれ!!

小柳 真

それより生徒会長、そんなに慌ててどうした? 何か事件か?

生徒会長

そうよそうなの聞いてちょうだい! 私の知り合いのお父さんの知り合いのご近所さんの知り合いが殺されたんですって! それで犯人が分からないからあなた達にお願いしたいのよ

東條 夕日

この部は殺人事件まで扱うのか!?

小柳 真

丁度いい。東條、お前の初の活動として、俺たちと一緒に来い

生徒会長

待って! この子も連れていくの? 頼りになりそうには見えないんだけど?

小柳 真

新入部員なんだから当然だろう。何ならお前が試してみてもいいんだぞ

生徒会長

ならそうさせてもらうわ。そこの変態さん。私の挑戦に勝てなかったらあなたはお留守番だからね

東條 夕日

ここでわざと負けr

小柳 真

動画公開も忘れるな

東條 夕日

受けて立とう

生徒会長

じゃあ行くわよ。『3・5・7・9・11・13』と『3・5・7・9・10・12』の中で、共通して仲間外れの数字は?
もちろん理由も必要よ!

こうして、俺の『変態野郎』という汚名を懸けた負けられない戦いが始まった。

* * * * *

こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。

東條君の解釈に、読者さんのコメントからアイデアを少しお借りしました。

結果、自分の身が窮地に陥った東條君ですが、皆さんの予想を超えられていたでしょうか?

さて、今度の謎はぶっちゃけこの話を着ながら思いついたものです。もしかしたら物足りないかもしれませんが、どうぞ正解して東條君を救ってあげて下さい。

それでは、今回はこの辺りで失礼します。

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