東條 夕日

やはりそうか

3/12と猿・鳥・犬が揃えば、答えはもう十二支しかないだろう。

そしてこの閉ざされた空間で十二支と言えば、一つだけだ。

東條 夕日

吹奏楽部部長の詳細にある年数。その中でも2004年の申年、05年の酉年、06年の戌年

つまりは、猿・鳥・犬。

東條 夕日

そして桃太郎の仲間になった順に、その部長の年の受賞数を並び替えた三桁の数字を箱のカギに打ち込めば、そこに次のヒントがあるはずだ

並び替えた数字は【149】。その数字を、黄金の宝箱のカギに打ち込む。

ピ、という電子音の後、箱はひとりでに開いた。

東條 夕日

中に入っているのは……鍵か

一本の小さな鍵が、箱の中に置かれていた。

東條 夕日

これで、窓の南京錠が外れるのだろうか

窓を閉ざす南京錠に目をやる。

物は試しと南京錠に鍵を差し込む。

東條 夕日

開いた……ということは終わりなのか? だけどまだ『そらのうえ』の謎が残っているが………

だがしかし、折角開けたのだからと窓から身を乗り出し、俺は数十分ぶりに音楽室の外に出ることが出来た。

東條 夕日

だとすると、俺が次に向かうべきなのは……!?

東條 夕日

うおっ! 何だ!?

廊下の床に足を付けた途端に背後から衝撃を受けた俺は、その正体を掴むべく振り返った。

林道 霧子

ちょっとあなた。そんなところにぼうっと立っていたら邪魔なんだけど

そこにいたのは、どこかで見たことのある一人の少女。

林道 霧子

っていうかあなた、今音楽室の窓から出てきたようだけど、もしかして楽器にいたずらしたりしてないでしょうね?

東條 夕日

ああそうだった。今年の吹奏楽部部長の林道霧子(りんどう きりこ)だったな。いや、ドアが開かなかったから窓から出ただけだ。楽器には何もしていないよ

林道 霧子

ふ~ん、そう。さっき木琴で桃太郎のメロディーが聞こえた気がしたけど、気のせいだったようね

……どうやら気付かれていたようだ。

林道 霧子

まあいいわ。私はその音楽室に用があるのだけれど、どいてもらえるかしら?

東條 夕日

ああ、済まない。どうぞ俺のことは気にしないで。さようなら

林道 霧子

そうさせてもらうわ。さよなら。また会えるといいわね

林道 霧子

ひゃ!? 何よあなた、背中なんか触って。初対面の人相手に普通そんな事する?

俺の伸ばした手に、乙女な反応を見せる林道。だけど当然、俺にそんな趣味はない。

東條 夕日

いやいや。背中にゴミが付いていただけだよ。それじゃ

林道 霧子

ふん。ならいいけれど。ええ、今度こそさようなら。やっぱりもう会わない方がいいかも

そう言って音楽室の中に入って行った彼女を見送って、俺は手にした紙を見やる。

それは乱暴に書かれた果たし状。
振り返った彼女の背中に貼り付けられていた物だ。

中に入っていたのは、二つに折りたたまれていた一枚の紙。

東條 夕日

これが最後の挑戦かもしれないな

紙に書かれていたのは、次の二行。

〇 〇 〇 〇 〇 の部屋へ行け。

※行き先は既に明示してある。

東條 夕日

さて、では休み時間が終わるまでに、奴らとの再会を果たすとしようか

そう言って踵を返し、俺は音楽室を後にした。

* * * * *

こんにちは。ご覧いただきありがとうございます。

さて、ついに東條夕日くんが音楽室から脱出できました。次はミス研との再会に動き出します。

話しは変わりますが、いつか背景を使った謎解きをしたいなあと考えていて、すでに案もいくつかあるのですが、壁にぶち当たりました。

背景が書けない(泣)ということですね。それでも頑張って作ってみたいと、心の中で奮闘しております。

それでは、今回はこの辺りで失礼します。

07.恥隠しのトライアタック

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