サンドパークに戻った僕は
魔力熱の薬をシンディさんに手渡した。
そしてまずはミーシャさんにそれを投与。
数時間後には顔色も良くなって
意識も取り戻したのだった。
一応、シンディさんも自分にそれを使用し、
治癒するかどうか見極めるらしい。
ミーシャさんへの薬の投与は
あくまでも応急処置としてだったしね。
でもシンディさんは確実に効果が出るって
自信満々だったからきっと大丈夫だよね?
――そして翌日、僕はライカさんに呼ばれ、
カレンたちと一緒に診察室を訪れていた。
サンドパークに戻った僕は
魔力熱の薬をシンディさんに手渡した。
そしてまずはミーシャさんにそれを投与。
数時間後には顔色も良くなって
意識も取り戻したのだった。
一応、シンディさんも自分にそれを使用し、
治癒するかどうか見極めるらしい。
ミーシャさんへの薬の投与は
あくまでも応急処置としてだったしね。
でもシンディさんは確実に効果が出るって
自信満々だったからきっと大丈夫だよね?
――そして翌日、僕はライカさんに呼ばれ、
カレンたちと一緒に診察室を訪れていた。
では、トーヤさん。
次はあなたの番です。
えっ? 何の話ですか?
能力検査をするって
言ったじゃない。
あ……その話ですか……。
そういえば、シンディさんが僕の能力を
検査してくれるって約束だったんだっけ。
魔力熱の薬のことで頭が一杯で
すっかり忘れてたよ……。
じゃ、私たちは
買い出しに行ってくるわね。
もうすぐこの町を
出発するわけだから。
トーヤくん、またあとでぇ~♪
カレン、セーラさん……。
ふたりは診察室を出て行ってしまった。
そっか、魔力熱の薬の効果が明らかになったら
僕たちはサンドパークを
出発しないといけないんだ。
だって僕たちはまだギーマ老師のところへ
旅をしている最中なんだから。
シンディさんたちとももうすぐお別れか……。
そんな悲しげな顔をしないのっ!
大丈夫♪ 私たちがいるよぉ。
わわぁっ!
ミーシャさんにマールちゃん!?
なんで2人がここにいるのっ?
声のした方を振り向くと
診察室のドアが半開きになっていて、
そこからミーシャさんとマールちゃんが
顔だけを出して室内を覗きこんでいた。
2人は僕が気付いたと分かると、
ニヤニヤしながら診察室に入ってくる。
なんでって、
ルームメイトである
トーヤの様子を見に来たのよ。
別におかしくないでしょ?
そんなことより、ミーシャさん!
もう起き上がって大丈夫なのっ?
うん、おかげさまで。
あまり無理はできないけど、
施療院内を歩くくらいなら平気。
薬の効果は抜群みたいですね。
でもまだ寝てないと……。
ホントはねぇ、
トーヤお兄ちゃんに
魔力熱の薬の御礼を言い――
わぁ~っ!
あーあーあーっ!
むぐ……んん……。
なぜかミーシャさんは
慌ててマールちゃんの口を手で塞いだ。
しかもすごく焦ってるみたい。
ミーシャさん、どうしたの?
急に大声を出して。
それになんでマールちゃんの口を
塞いでるの?
べ、別にいいでしょ!
それよりもトーヤ、
これから能力検査をするんだって?
うん、そうだよ。
じゃ、私たちもここで見てるから。
どうせ暇だし。
えぇっ?
僕が当惑していると、
シンディさんの眼鏡のフレームが
キラリと光った。
そしてなぜかにこやかな笑顔。
ただ、雰囲気に得も言われぬ威圧感が……。
――ミーシャ、マール。
診察室から出ていきない。
特にミーシャ、
病室のベッドで横になってなさい。
えぇ~っ?
いいじゃないですかぁ♪
出・て・い・き・な・さ・い!
ひっ!
は……はいぃ……。
背筋も凍るようなシンディさんの冷たい瞳。
怒りを押し殺しているような口調。
まるでオーガに似た恐怖を感じる……。
その迫力に押された2人は、
蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
直後、ライカさんがドアのカギをかける。
それじゃ、始めるわよ?
トーヤさん、こちらへ。
検査が始まると
魔方陣が浮かび上がりますが、
そこから動かないでください。
はいっ!
僕は診察室の隅にある、
何もない場所に立たされた。
大丈夫だと分かっていても緊張してくる。
…………。
シンディさんが何かを呟くと、
僕の足下に魔方陣が浮かび上がった。
そして魔方陣の内部は光で満たされていき、
眩しさで周りが何も見えなくなる。
体は風船になったみたいに軽くなって、
フワフワと浮かんでいるみたいな感じ。
ちょっと気持ちいい。
さらに足の指先に痺れみたいなものが走り、
それが少しずつ上に向かって進んでいく。
痛いというよりは、くすぐったい。
やがて光は徐々に消え、元の状態へ戻った。
へぇ……なるほど……。
トーヤさん、これで終了です。
お疲れ様でした。
これで終わりなんですか?
はい。
じゃ、検査結果を話すわね。
ゴクリ……。
僕は緊張しながらシンディさんの言葉を待つ。
次回へ続く!