都 大樹

さて、解答編の始まりだ

僕は言う。様々な情報を思い出して、様々な人を失って。

それらの経験を積んで僕は言う。

都 大樹

だからまずは、僕は彼女たちを探さなければならない

大丈夫だ。もう見当はついている。

結末を語り終えるまであとどれくらいかかるかは分からないけれど。

都 大樹

じゃあ、行って来るよ!

僕は誰に向けるでもなく、ただそう宣言して家を出た。

はい。行ってらっしゃい都大樹さん。と見送ってはみたものの、私はいつでもあなたのそばにいるのですけれどね

それは、午前最後の講義が終わった後だった。
1時間の昼休憩。

ついでに言うと、僕は午後に出席予定の講義はもうない。

羽鳥 宇美

一体私たちに何の用?

桐谷 シルク

早くお昼ご飯食べたいんだけど

涼紘 夏美

てか君誰?

ツインテールの少女は羽鳥宇美(はとりうみ)。

癖っ毛の彼女は桐谷シルク(きりたにしるく)。

そして赤髪カールの涼紘夏美(すずひろなつみ)の3人組だ。

どうやら彼女らは、次の3限にも講義があるようだった。

都 大樹

悪いね、君たちに少し聞きたいことがあるんだ

僕がそう言うと、3人はあからさまに嫌そうな顔をした。

涼紘 夏美

私たちはあんたと話すことなんてない。悪いけど、いや、悪いとも思わないしもう行かせてもらうわ

涼紘がそう言うと、他の2人も後に付いていく。どうやら表向きのリーダー格は彼女のようだった。

そういえばあの日も。あの時も彼女が最初に始めていた。

去って行く彼女らの背中に、だから僕はその言葉を投げ掛ける。

都 大樹

君たちは、もし知らない人を1人加えた4人の中から誰か1人がひどい目に合うかもしれないという事態に遭遇したら。誰を犠牲にするかい?

羽鳥 宇美

は?

彼女たちの足取りが止まる。揃って3人ともがこちらを振り返った。

桐谷 シルク

そんなこと、聞くまでもないじゃない

だから、彼女らは口を揃えてこう言ったのだ。

知らない奴に決まってる

予想通りのその言葉を。

知っている。あの時も彼女たちはそうしたのだから。

都 大樹

だろうね。分かっていたよ

僕はそう呟いていた。

涼紘 夏美

じゃあ何でそんな事聞いたの?

だから涼紘の言葉に、僕はこう答える

都 大樹

君たちの忘れてしまった記憶を取り戻すためさ

言って、僕は教室を後にした。

都 大樹

それが何だか知りたければ、明日の朝7時半、大学のカフェで待っているよ

最後にその言葉を置き土産に残して。

彼の方も、動いているみたいですね

もっとも、あなたも既に知っているからこそなのでしょうけれど……ふふふ。何だかワクワクしてきましたよ

一体誰が偽物なのでしょうね

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