亀の恩返し
6.薬を買う。
わかりました。買いましょう
そうこなくっちゃ!!
魔女は私に
虹色に光る小瓶を差し出した。
私は薬を飲み干した。
虹色の光が
身体中に染み込んでいく。
さ、太郎様。今度は、
んー、ちょっと飽きて来たなぁ
酒も料理も女も
何年も続けば飽きる。
乙姫は絶世の美女だが
正直言えば、彼女の容姿は
太郎の趣味ではなかった。
それじゃ、投扇興なんてどうでしょう?
やめとく~
じ、じゃあ、貝合わせとか
女の子の遊びは退屈なんだよねぇ
そこまでだ!
何奴!?
ガラリ、と障子を開けて
入って来たのは少年だった。
畳の部屋に
つかつかと土足で入って来た少年は
手にしていた杖の切っ先を
乙姫の鼻先に向けた。
乙姫! そこの男を賭けて僕と勝負しろ!!
はあ!?
うっわ! 超好み~!!
え?
え?
いや、正直言うとさぁ。俺、ボインボインのおネェさんよりショタっ子のほうが好きなんだよ
……
なに言ってんの!?
ホモ!? ホモなわけ!?
そぉいうことになるかなぁ
我慢してたけど、やっぱオッパイは合わないわ、俺
ってことで、少年!
さっさと俺を連れて愛の逃避行と行こうぜ!
え? え? え?
酷い! 騙したのね!?
顔も見たくないわ!! 早く出ていって――!!
初めて知る真実。
誰も問わなかったし、
太郎も自分から言わなかったから
知らなくても当然のことなのだが。
だがこうして太郎とカメは
竜宮城を出て行った。
責任取れよー。
お前、俺を誘拐したんだから
あの、ちょっとその前にいろいろと問い詰めたいことが
太郎の性癖のこともそうだが
自分がカメだということは
明かしたほうがいいのだろうか。
カメの悩みは尽きない。
- おわり -
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