亀の恩返し

12.魔法の杖


























では、魔法の杖を


またしても
胡散臭いアイテムを出してきた

と心の中で思いつつも
カメは魔法の杖を選んだ。




これでも竜宮城に勤める者、
玉手箱など選んだら
とんでもない結末になることは
重々承知している。

では


神はその杖を高く上げると
そのままカメに振り下ろした。

何故避ける!!

そんなもので殴られそうになったら普通は避けます!!


杖が当たったのか、
なにもない光り輝く空間だと
思っていたそこに、
裂けたような傷がついている。

む……? 今ので次元に穴が開いてしまったようだ

やったのはそちらでしょう!?

いや! もう1度!
今度は避けるんじゃないぞ!!

無茶言わないでください!!


その時、次元の切れ目から
地鳴りのような音が聞こえて来た。


見ると、
小さな裂き傷のようだった切れ目が
徐々に
大きくなっているのが見えた。

む! いかん!!
裂け目が大きくなっている!!

隙あり!!

なんの! 真剣白羽取り!!































































では手筈通りに

おう!

私たちはそれぞれ
予定した場所に潜んだ。



もうしばらくすれば
奴が帰って来る。
そうすれば……












あれ?
何故私はこんなところにいるのだろう。



他になにかやることがあったような
気がするのだけれど……

なにぼーっとしてるんだい?
あいつが帰って来ちまうよ!


囲炉裏に隠れていた栗が
早く隠れろ、と身振り手振りつきで
言ってくる。

え? あ、……大丈夫

その針でグサッと
やっちゃってくれよな!!

あの時白羽取った杖は
私の鋭い針になったらしい。


もうかなり薄もやの向こうに
なってしまった記憶を
ぼんやりと思い起こす。

ほら、来た!


栗はさっ、と囲炉裏の灰の中に
潜り込んだ。


入れ替わるように

猿が家の中に入って来る。




……



私は、蜂。
今するべきはあの憎きサルを
懲らしめてやること。





こんな風に誰かのために
なにかをしていた気がするけれど





それはもう思い出せない。




















- おわり -

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