亀の恩返し

28.神様を倒す。






















私は差し出されている命を見た。


きらきらと輝いている。
輝かしい未来が
待っているようにも見える。













……いかんせん、この神を名乗る者が
信用できない。


だいたい、
何千光年離れた星から来たのなら
神様ではなくて宇宙人と名乗るのが
普通だろう。



宇宙人だと名乗っても
十中八九は逃げられると思うけれど

しかし
よりにもよって自らを神と名乗るなど
どこぞの新興宗教と
同じではないのだろうか。

……


この「命」も信用できない。
これが本当に命だと証明するものは
どこにもない。


きらきらと輝いているのが
余計に疑わしい。



中にICチップが入っていたり、
最悪、地球外生物に変えられてしまう
かもしれない。







さあ! 受け取るがいい!!

……


私は命に手を伸ばすふりをしながら







隙を見て、
その命を自称神様に向かって蹴った。


高速回転した命は神様の腹部に直撃した!



渾身のひと蹴りによるパワーは
その程度では衰えることを知らず
まだ回転は止まらない!


ドリルが穴の中を
押し進んでいくように
命は腹にねじ込まれていく。

ぐあああっ!!
装甲がアアアアアッ!!


という硬い音と共に
腹部の装甲がはじけ飛んだ!


断末魔の悲鳴が響き渡った。




























































ぐ……
良い蹴りだ……

その足なら世界も狙えただろうに……


今度はサッカーの監督とでも
名乗るつもりだろうか。





ふっ……これも時代の転機。大いなる時代の潮流なのかもしれぬ

意味がわからない……




神様の目の光が
徐々に弱まっていく。


カメよ。私はここで滅する

お前は新たな神として、この地球を見守っていくのだ

あの、基本的なところを忘れていらっしゃるようですが、私は今、瀕死の重体で。

きっと神様より先に死ぬのではないかと思うんですが

ふっ


神様は笑った。
装甲で隠れているからわからないが
笑ったような音がした。

案ずるな、私は神だ

さあ、今度こそこれを取るが良い
……勝者の証だ


この人がとりあえず
他人の話を聞かない人だ、ということ
だけは確信した。


瀕死の重体だと言っているのに
今度はなにを寄越すと言うのだろう。


私は差し出されたものを見た。
















A.魔法の杖

B.玉手箱

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