僕が戸惑いながら
セーラさんの様子を見ていると、
不意にライカさんがクスッと微笑んだ。
僕が戸惑いながら
セーラさんの様子を見ていると、
不意にライカさんがクスッと微笑んだ。
それって、
サンドモービルのことですね?
あはっ♪ 正解なのですぅ!
サンドモービルって何ですか?
魔力船を小型化したものですぅ。
砂漠の上を滑るように
素速く移動できるのですぅ。
そんな便利な乗り物が
あるんですかぁ!
でもでもぉ、操作に慣れないと
思い通りに動かせないのですぅ。
ご安心ください。私、動かせます。
それなら今から支社へ行って
借りてくるのですぅ。
そう言うと、セーラさんは病室を出ていった。
その後、僕たちはそれぞれ出発の準備を
始めたのだった。
今にして思えば、
滴りの石を手放さなくて本当によかった。
かなり荷物が減らせるもん。
それだけ食料やほかの荷物を積めるから
長くポイズンニードル探しができる。
――さて、早めに準備を終わらせて、
アレを調薬しておかないとね。
数時間後、準備を終えた僕たちは
施療院の前に集合していた。
みんな遅れずに揃っているみたい。
でも空気が少しピリピリしてる……。
皆さん、
よろしくお願いいたします。
なんでクロードさんが
一緒なんでしょうかぁ?
皆さんをお助けするよう
マイルから命じられまして。
私はサンドモービルの扱いにも
慣れていますので。
そうですか……。
サンドモービルは小さなボートにそっくりで、
後部に魔法道具らしきものが設置されている。
どうやらそれを操作して動かすらしい。
さらにその後ろにはもうひとつボートがあって
金属で連結されている。
こちらには座席とスペースだけがあって
人や荷物を載せるんだろう。
すでにクロードさんのものらしき荷物が
積まれている。
トーヤ様、
私が操作をいたしますので
どうかご安心ください。
クロードさんがいてくれると
心強いです。
恐縮ですっ!
っっっっ!
まぁまぁ、カレンちゃん!
落ち着いてくださいぃ♪
では、出発いたしましょう。
皆さんは後ろの座席に
お乗りください。
クロードさんに促され、
ライカさんとセーラさんが後ろの席に座った。
続けてカレン、最後に僕が乗る。
相変わらずカレンはご機嫌斜めみたい。
そっぽを向いて何も話しかけてこない。
サンドモービルって
馬車とボートを
足し合わせたみたいな
乗り物だね、カレン。
……そうね。
…………。
あ、そうだ。
カレンに渡しておくものが
あったんだ。
僕は持っていた荷物袋の中から
小瓶を取り出した。
中にはさっき急いで作ったものが入っている。
それをカレンに手渡す。
はい、カレン。
……っ? 何よ、これ?
日焼け止めだよ。
準備の時間中に
調薬しておいたんだ。
焼けてシミになったら大変でしょ?
ゴメンね、時間がなくて
これだけしか作れなくて。
っ!?
トーヤ……。
ありがとうっ!
どういたしましてっ♪
カレン、すごく喜んでくれてる。
少しは機嫌も直ったみたい。
作ったかいがあったなぁ。
――そうそう、あと2瓶作ってあるんだ。
これはセーラさんとライカさんの分だ。
僕はそれを取り出して、
セーラさんに声をかける。
えっと、セーラさんと
ライカさんにも――
私はいらないのですぅ。
日焼けを防止する道具を
持っていますのでぇ。
カレンちゃんにあげてくださいぃ。
私も自前で日焼け止めを
持ってきました。
そうなんですか?
じゃ、カレンが全部使って。
うんっ♪
僕は残りの分もカレンに手渡した。
クロードさんは男性だから別にいいよね?
それともひとつは渡すべきだったかな?
では、出発いたしますっ!
まずはどちらへ
行ってみましょうか?
北にしましょう。
あちらでの目撃例が多いですから。
少し進んだら探索魔法で調べてみます。
承知しました。
クロードさんはサンドモービルを操作した。
するとゆっくりと滑るように動き出す。
陸走船と同じ原理だって聞いているけど、
砂の上を滑っているという感覚は
こちらの方が実感できる。
皆さんも周りをよく見ていてください。
何か動くものがあったら
私に教えてください。
確認しますので。
はいっ!
こうして僕たちはサンドパークを出発した。
ポイズンニードル、
何としてでも見つけないと!
次回へ続く!