ギャオオオオオオ!
ギャオオオオオオ!
迫る巨体に対して僕は思わず息を呑む
勝てるだろうか・・・
でもやるしかない
まずは近づかなくては・・・
フゥ!
自分の呼吸を整えて一気に駆け出す
距離をつめないと僕の射程ではどうしようもない
僕に気づいたワイバーンが顔をこちらに向ける
やはり怖い
するとワイバーンは口を高く上げた
よく見ると大きく息を吸っているようだ
そして吸った息をこちらに向きなおすと
うわあ!
火を吹いてきた
そのまま文面どおりの意味だ
ワイバーンは口から火を僕の方へと向けて放つ
身体強化を掛けていた僕はかろうじて火の範囲外へと走ることにより難を逃れる
あっつつ
どうやって近づけば・・・
あいつはその巨体故に急な方向転換ができない
それを利用しろ
気が付くと後ろに居るライズさんにそう指適される
なるほど・・・
ありがとうございます!
そのまま今度は回るようにワイバーンの方へ近づく
すると先ほどと同じようにワイバーンは・・・
火を吐いてきた
だが今回は回るように走るので後ろへ行くにつれて段々火が遠くなる
これならいける!
やぁ!
近づいたところで剣を突きつけようとする
だが・・・
風を大きく切る音が聞こえた
僕はそれと同時に強い衝撃を感じる
ぐぅ・・・!
何をされたのかようやく分かった
尻尾だ
ワイバーンには良く見ると短い尻尾が付いている
短いといっても人間2人分はあるのだが・・・
それを振られてぶつけられたようだ
まだまだ!
まだあきらめるわけには行かない
幸い体を強化していたためにそこまでの怪我は無い
跳ね起きると再び回るように
今度は側面へと入り込む
はぁ!
先ほどのように尻尾や火が届くことも無く
刃を突きつけようとする
だが・・・
まるで金属同士をぶつけ合ったかのような衝撃が手に伝わってくる
刃が通らない・・・!?
逆鱗だ
1つだけ逆に生えている鱗があるはずだ
そこはやわらかいはずだ
今度は返事することなく指摘に行動で答える
逆鱗・・・どこだ・・・あった!
それは翼の付け根の辺りに分かりやすくあった
何とか届く距離だ
そのまま剣をそこに突き立てるために上に掲げる
ギャオオオオオオ!
身の危険と判断したワイバーンが体をひねらせる
逃がすか・・・!
だあああああ!
確かに魔物を殺すのは苦手なのは確かだけどいつか克服しないといけないというのも同時に理解はしている
それなら、こういった状況でこそその自分なりの決意を剣に込める
ほう・・・
突きたてられた剣は逆鱗を貫きそのままなかの肉まで抉り込む
ワイバーンは絶叫を上げる
だが、死には至っていない
もう立っているのもぎりぎりといった様子だ
後一押しか・・・
もう一回・・・!
いや、その必要は無い
ライズさんはそういうと僕の前に現れ手で僕を制した