まあ結局。
今回も僕の計らいは実を結ばなかったのだが…

綾瀬 咲月

さあさあみーくん。一体どんな話をしてくれるのかい?

綾瀬がまくし立てるように言った。これはもう逃げようがないみたいだ。

都 大樹

そうだね。じゃあ、もしもの話をしてみようか

だから、僕は語ることにしよう。
衝撃的だった不気味な少女と出会う前の、あの地獄の2日間を。この状況と同じように逃げることのできない、後悔の物語を。

都 大樹

僕と綾瀬はさ、大学のサークル活動として、東京のホテルに泊まりに行ったんだ。当然他のサークルメンバーも一緒だ。目的は、そうだね。親睦を深める交流会ということにしておこう

綾瀬 咲月

ふむふむ。してみーくん。私たちはどんなサークルに入っているのか?

都 大樹

それは、まあジョギング愛好会でいいかな

綾瀬 咲月

ほー。ジョギング愛好会だと!? 何といい響きだろうか。これはもういっその事私たちでジョギング愛好会を作ってみてはどうだろう? そして毎日42.195kmをだな……

都 大樹

ちょ、ちょっと待ってくれ綾瀬。お前はそうでも僕はジョギングなんて別にしたくもないからな!

このままでは僕は毎日朝から綾瀬にしごかれ、多分3日もすれば足腰ふらふらでよぼよぼのお爺さんになってしまいそうだ。
全力で回避するべく、綾瀬の言葉に割って入る。

綾瀬 咲月

なんだ。そうなのか。ならジョギング愛好会は私1人で作るとしよう

……どうやら彼女に作らないという選択肢はないらしい。めんどくさい奴にめんどくさい情報を与えてしまったようだ。

都 大樹

まあその話は置いといてだ。僕とお前が泊まったホテルで、もしも火事が起こったらという話なんだが

綾瀬 咲月

な、何!? それはもちろん私とみーくんは同室の上ベッドも同じという夢のシチュエーションなのか!?

都 大樹

そんなわけあるかっ!

何だ? 綾瀬はもしかして僕のことが好きなのだろうか。
背筋がゾクッとした。

都 大樹

僕はもうお前が何を考えているのか分からないよ……

綾瀬 咲月

私は分かるぞ。何せ私とみーくんはあんなことまでした仲だからな

都 大樹

僕は一体お前と何をしたんだよ!?

綾瀬 咲月

え? 覚えてないのか? あんなに情熱的だったのに……

都 大樹

勝手に嘘を真実に塗り替えようとするな!

気付けば僕はさっきからずっと叫んでばっかりだ。突っ込んでばっかりだ。
目の前のお皿にはあとカレーライスしか残っていないというのに……というかいつの間にフォーとガレットはなくなったんだろう。

綾瀬 咲月

もぐもぐ……でだみーくん。そろそろ続きに入ってもいいのどはないか?

うむ。犯人は綾瀬しかいなかった。

都 大樹

じゃあ戻すよ。もし僕たちの泊まっていたホテルが火事になったら、お前はまず何をする?

綾瀬 咲月

みーくんへ人工呼吸!

都 大樹

僕はまだその時点では元気だからね

綾瀬 咲月

ちっ

彼女は僕に何を求めているのだろう。

都 大樹

じゃあ質問を変えるよ。僕たちは12階に泊まっていたからさ、下までエレベーターで降りようとしたんだ。でも、上の階からのエレベーターには先客がいた。小学生くらいの子供が5,6人と、大人の男女が2人。まあ当然さ。13階と14階には一応の顧問監督である教員の他にも、一般のお客さんが泊まっていたからね

綾瀬 咲月

ほほう。随分具体的なのだな。いやまあ分かりやすいんだけど

話を聞きながら綾瀬が言う。どくんと心臓が高鳴った。嫌な汗が手のひらに浮かぶ。
具体的なのは当然だった。
だって僕は、嘘なんか付いていないのだから。

都 大樹

そうだね。そして12階から乗ろうとした僕たち6人は、聞いてしまったんだ。定員オーバーのあのブザーを

悲しいことに。あるいは決まりきった運命のように。
僕たちは、死刑宣告のようなあの音を聞いたのだ。

綾瀬 咲月

なるほど。よくある話だな。1人だけ乗れないエレベーター。じゃあ一体誰が降りるのかと争いが始まる。そして1人が言うんだな。『私が降ります』と

都 大樹

ああ、そうだな

実際、あの時もそうだった。

綾瀬 咲月

死亡フラグ全開だけどな

都 大樹

じゃあさ、綾瀬

その行為を一言で看破した綾瀬に、僕は聞く。答えの分かりきった、目の前で答えを見せられた質問を。

都 大樹

そこにお前がいたとしたら、どーする?

綾瀬 咲月

降りる

やはり、彼女はそうだった。あの時と変わらず、今もか会わらずお人好しだった。

だけどこのままでは終わらない。ハッピーエンドのままでは決して終わらせてはもらえない。

あの地獄は。
あの現実は。

僕の心を壊すには十分だった。

都 大樹

じゃあさ、綾瀬。僕は聞くぞ。どんなにひどいと分かっていても、それでも僕は隠さず聞くぞ

綾瀬 咲月

万難を排して。私はみーくんの質問に答えよう

だから、僕は言う。あの言葉を。
あの地獄の、あの悪夢のきっかけとなったその言葉を。

僕は告げる。

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都 大樹

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皆さんこんにちは。ぞこです。
昨日の夜私の住む熊本に大きな自信が起こりました。ちょうどバイト中のことで、お店は商品が倒れたりお酒や電気が割れたりと大惨事でした。

結局昨日は残業となって家に帰ると、アパートの3階の私の部屋も色々と大変でした。パソコンも落ちて衝撃を受けていたらしく、今は少し調子が悪いです。

それでも何とか最低週2のペースは崩したくないので、頑張っていくつもりです。

……最近綾瀬の出番が多くて白石を忘れているかもしれませんが、まだ捜索Ⅰの延長でもあるので、白石のクイズも有効です。考えてくれた方がいれば教えてくださいね。その答えに合わせてストーリーを変えていくつもりです!

それでは今回はこの辺りで失礼します。

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