ばあさん

はい、いらっしゃい。ああ、どうも

榎本

どぅも、こんばんは。

キョウコ

こんばんは。お茶漬け二つ。それと赤霧島。

ばあさん

あいよ。(どぅも?じゅも?)

ばあさん

はいお座敷のお客さんからお先に。お待ちどうさま。

マスター

はい。

ナルサワ

前回ずっと電柱に隠れて二人の会話を盗み聞きしていたマスターは、一か八か先手を打って皮革店から一番近いこの居酒屋に前乗りしていた!
しかも二人と背中合わせの座敷席という絶好の盗聴ポジション!
素人相手に本気で気持ち悪いのであった!

マスター

は、ハオツゥー!!

榎本

独立おめでとう

キョウコ

ありがとう

榎本

調子はどう?

キョウコ

ヤバいよ~。苦しいのはわかってたんだけどね。全然立地良くないクセに場代だけは都会価格でさ。
それでも夢だったから思い切って店構えちゃった
。早急にネット販売の環境整えたり、近所や町内会とかいろいろ顔出ししなきゃ。
榎本さん、毎日ウチの店通ってくれない?

榎本

え?

キョウコ

やーね、冗談よ。冗談。ホント真面目なんだから!

榎本

御挨拶だな。それぐらいわかってるよ。彼氏とは上手くいってるの?

キョウコ

うん、この前も温泉行ったよ。すごく良かったよ?

榎本

じゃあ、将来彼と一緒にこの店やったりするんだ?

キョウコ

それは無いと思う。
彼、普通のサラリーマンだし。
結婚ももうしないよ。こりごり。
結局、どう頑張ったって人は孤独だから。
この二階にそのまま住み込みしてね。
やせ我慢で痛々しい?

榎本

いや全然そんな事ないよ。充実してるんだね

マスター

おお!やはりここで勝負に出たか!?

キョウコ

何のつもり?私、受け取れないの知ってるよね?

榎本

いや、そうじゃなくて。これは今付き合っている彼女に渡そうと思ってるんだ。今度結婚するんだ俺。このバッグも身内票とかじゃなくて、彼女へのプレゼントなんだ

キョウコ

そうなの。焼けるわ。あー、安心した~

榎本

安心?それどういう意味?

キョウコ

深い意味は無いわ。でも、何か気に障ったのなら謝るけど?

榎本

俺は君を待つことに疲れたんだ。友達以上、恋人未満っていうのはね。本当に辛いんだ。とりあえず首輪を繋がれてるようでね。

キョウコ

そんな事言われても私、謝らないから。それとおめでとうとも言えない。こういう所が辛かったんだよね

榎本

辛い、というか大嫌いだったんだ。
いまみたいに人が楽しませようと一生懸命話してるのに、孤独がどうとか…
こんなに近くにいるのにすごく遠くに感じるよ。

キョウコ

ロマンチックなのは構わないけど、それを私に押し付けないでもらえる?
私にはそういうのすごく重い。

榎本

またそうやって薄幸の美人を気取るつもりかい?俺は君のパシリでもパトロンでもないんだ。もうウンザリだよ

キョウコ

そんな事一言もいってないじゃない!!

キョウコ

ごめんなさい。もっと楽しく話したかったのに、私疲れてるんだと思う。

榎本

いや、俺も言い過ぎた。すまない

キョウコ

今日お店に来てくれたお礼にここは私が出すから。もうお開きにしましょう。結婚おめでとう。仕事が落ち着いたらまた改めてお祝いしましょうよ?

榎本

要らないよ。会うのは今日で最後だから。大体彼氏っていうのも俺を寄せ付けない為の嘘なんだろ?精々、逃げるように独りで生きれば良いさ。

キョウコ

別にどっちでもいいじゃない。私の人生なんだから!あなただって新しい人を見つけたんだったらその人と幸せになれば?さようなら。

榎本

いまここを去るのは僕だ。この町の人間じゃない僕の方だ。さようなら。

キョウコ

ばかにしないでよ。

ばあさん

…お粗末様。またお願いします。

マスター

ゲッ!
まさかの展開!

榎本氏の行き先も気になる…

キョウコ嬢とばあさんのやり取りも興味深い…

私は一体どちらをアフターし続ければいいのだ!?
















どうするよ、俺?



ナルサワ

人間どう頑張っても体は一つ。
というわけでここから分岐パートに移ります。

店を出て榎本をアフターする

店に残ってキョウコをアフターする

ナルサワ

お楽しみに~

フォロウミー・イフ・ユーキャン その7

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