ミラ

追いつかれました~!

クロウ

そんな・・・!

まずい!

こっちはオーガに対抗することなんて・・・

村の人たちも居るのに、どうすれば!

セリア

いやああああああ!

セリアさんが叫び声を上げる

この状況に耐え切れなくなったんだろう

僕だって叫びたいくらいだ

皆、荷物を捨てろ!
生き残ることだけを考えるんじゃ!

村長さんはリーダーらしく皆に指示を出していた

オーガはこっちの存在をしっかりと認識したようでゆっくりとこちらへ歩み寄る

バアアアア!

オーガは離れた場所から手に持った棍棒を振り上げると一気に地面にたたきつけた

まるで地震のような衝撃だ

リーダ

キャア!

少し離れた位置から聞こえる悲鳴

振り返るとリーダさんが足から血を流して倒していた

叩きつけのときの破片か!

ミラ

まずいですね・・・

珍しく間延びしないミラさんの声

このままでは・・・

クロウ

村長さん

な、何ですか?

村長さんはこっちを見てくれた

クロウ

・・・皆を馬車に乗せられますか?

可能ですが・・・まさか!

村長さんは察してくれたようだ

僕が囮になる

その間に皆には逃げてもらおう

森の中に逃げれば撒くことができるかもしれない

む、無茶です!
そんなことをさせるわけには!

リーダ

そうです!
そんな危険なこと!

会話を聞いていたリーダさんが足を引きずって何とかこちらへくる

歩くのも辛そうだ

クロウ

何とか逃げ切ります
倒すつもりもありません
逃げ切ることだけを考えます

僕の言葉を聴いた村長さんは悩む

もうそんな暇は無い

わかりました・・・
お願いいたします

リーダ

そんな!?

クロウ

ありがとうございます
村長さん
リーダさんたちをお願いします

僕はそういうと後ろを向き駆け出す

リーダ

いや!やめて!
離して!

ミラ

クロウさん・・・

だめです!
今行ったらあの人の行動が無駄になる!
さぁ、お前たち、この方たちを馬車へ

後ろでリーダさんとミラさんの抵抗の声が聞こえる

クロウ

こっちだ!オーガ!

走りながら足元に落ちていた石を拾い投げる

ダメージは与えられないのは分かっているが気をこちらへ向けるのが目的だ

ダメージなんて期待していない

バァ?

まっすぐ走る僕の方を見て先ほど投げた石を投げなのが僕だと気が付いたようだ

バアアアアアアアアア!

あまり頭は良くないらしくこちらの挑発にすぐに乗ってくれた

温存なんてしておけないのが分かっているから身体強化を体に施す

そのまま勢いをとめることなく広く横に通り過ぎる

クロウ

このまま森へ!

後ろを見るとこちらをちゃんと追ってきているオーガの姿があった

うまくいったようだ

クロウ

ハァ・ハァ・ハァ

森に入り気をうまく使いながら逃げ続ける

このまま見失ってくれるとうれしいのだがそこまで都合良くは行かない

後ろの木々をなぎ倒しながらこちらを追い続けるオーガ

どうする・・・!

クロウ

コネクトスピリットを試すしかない?

走りながら自分に問いかける

考えるよりはやったほうが早いだろう

走りながら何とか魔力を練る

クロウ

お願い!

魔力を練り魔法を発動させる

体が淡く光りだす

これで魔物の声が聞けるはず・・・!

バアアア!

咆哮が森に響く

それと同時にオーガの声が頭に響く

コドモ・・・カエセ!

クロウ

・・・こども?

バアアアアアアアアアアアア!

声が聞こえるようになったからとはいえ向こうが攻撃をやめるわけではない

聞こえたところでこれではどうしようもない

コドモ・・・カエセエエエエエエエエエエエ

むしろ勢いを増したオークはこちらへの距離をつめる

魔力を練っていた所為で走るペースが落ちていた僕には致命的なことだ

バアアアア!

振り上げられた棍棒が僕に向かって

クロウ

マズ・・!

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