クロウ

ッ!

目の前に迫る死に僕は思わず目を閉じた

肉を切り裂く音が聞こえて僕は胸が”ドクン”と鳴る

クロウ

あ・・・え?

いつまでたっても痛みはこない

なぜだ?

ゆっくりと目を開ける

ガアアア・・・ゴアアアア

目の前には腹部を大きく切り裂かれて血を流す倒れたオーガと

少年、大丈夫かね?

クロウ

え?

巨大な剣を持った人が立っていた

・・・無事なようだな
あまり無茶はするな、私が居なかったら君は死んでいたぞ

クロウ

あ・・・はい

助けてくれた人はそのまま笑う

さわやか・・・というよりはにぎやかな人のようだ

クロウ


そうだ、オーガは!?

倒れたオーガを見る

今にも息を引き取りそうな状況だ

このオーガはさっき子供を返せといっていた

どういうことなんだろう?

ご覧の通りだ
どうした?そんなに心配そうに見て

クロウ

えっと、

ライズ

ああ、まだ名乗っていなかったか
私はライズという
まぁ覚えなくてもいい

クロウ

僕はクロウです
ライズさんはどうしてここに?

そういうと嫌そうな顔をする

だがそれは僕に向けられたものではなかった

ライズ

最近、魔物の子供をターゲットにそれを売る奴が居るんだ
成長前の魔物をペットとしてやストレスの発散に殺すためにね
それの実行犯がこの森に潜んでいるというからそれを捕まえに来たんだよ

それを聞いた僕はピンと来る

あのオーガは本当に子供がさらわれてしまったから怒っていたんだ・・・!

クロウ

このオーガも被害者だったんだ・・・

ライズ

・・・?
どういうことだい?

クロウ

えっと、このオーガも子供がさらわれて怒っていたようなんです

ライズ

なぜ君にそれが分かる?

あ、そうだ

普通はこんなこと分かるはずがないんだ

でも言うしかないよね

クロウ

その・・・少し特殊な魔法で魔物の意思が伝わるんです
それでこのオーガは子供を返せって・・・

ライズ

・・・1つだけ言っておく
その魔法はほかの奴には絶対に言うな
何が起こるかわからない

クロウ

え・・・はい

どういうことだろう

聞きたかったけど有無を言わせないような目で言われて聞けなかった

ライズ

だが、それが本当ならこいつには悪いことをしたかもしれないな
というか、君はなぜここに?

今までの経緯を話す

ライズ

まったく無茶をしたものだ

クロウ

でも、それしかないと思って・・・

呆れた様子でこちらを見る

ライズ

・・・だが、嫌いではない

フッと笑う

どうやら悪い印象ではなかったようだ

ライズ

私がとりあえず森の出口まで案内しよう
そのままほかの奴らと帰るといい
君はギルドの者だろう?
このことは私からも報告しておく

クロウ

あ、ありがとうございます!

そのまま僕はライズさんに森の出口まで連れて行ってもらった

ライズ

では、ここまでだ
私は調査を続ける
気をつけてな

そうしてまた森へと入っていった

僕は皆の行った方へと走る

身体強化もして一気に追いつこう

何とか追いつけるはずだ

pagetop