決闘の決着はあっけなく付いた
目の前に倒れ付すエリアは動く様子は無い
そして、声援が起こる訳も無く
静寂が闘技場を支配する
魔力切れ・・・だな
この決闘、勝者、クロウ・バーロット!
決闘の決着はあっけなく付いた
目の前に倒れ付すエリアは動く様子は無い
そして、声援が起こる訳も無く
静寂が闘技場を支配する
やっぱりなぁ・・・
何かをあきらめたような先生の声が場に流れ
おい?うそだろ?
勝っちまったぞあいつ
な、何かズルをしたんだろ?
そうじゃないと属性が無いのに魔法を使った説明がつかない
次第に疑念の声は広がる
そうだ!?
ズルをしたんだろう!
お前なんかがエリアさんに勝てるはずが無い!
誰かが言った一言は大きくなり
気が付けば場を支配するようになる
・・・
どうするべきか迷って視界を彷徨わせる
やめてください!
叫び声
それもよく知った声の
さっきから皆おかしいですよ!
彼が何をしたんですか!?
必死になって皆に抗議するリーダさんを見て僕は目頭を熱くする
こんな僕のために・・・
うるさい!
じゃあどうやって勝ったっていうんだよ!?
誰かの言った質問にリーダさんがさらに言い返そうとする
それは!
そこから先は私が引き継ごう
リーダ・ウェル
カリタスさんが出てきて僕の真横まで歩いてくる
が、学園長・・・
流石に学園長の登場は予想外だったのか生徒が怯む
今、彼の勝利に疑問を持った者
素直に手を上げろ
困惑
そして次第に手が上がっていく
その数は恐らくここにいる人の大半だろう
僕のクラスの人も手を挙げている
挙げていないのはいつもの皆と・・・ルード君
今その手を上げた者は恐らく今後一切の成長が出来ないだろうな
・・・え?
ど、どういうことですか!?
その一言にカリタスさんはあきれ果てる
はぁ・・・という大きなため息の後
分からんのか?
目の前の実力者を見てズルだのという奴に今後の成長は見込めないといったんだ
そんな!?
彼が強いとでも言うんですか!?
暗に弱いといわれた女生徒が反論する
そうだが?
見て分からんのか?
君は目の前で起こったことも理解できんのか?
彼はエリアの魔法を突破しトドメを刺せたんだ。
まぁ魔力切れという結果になったが
そ、そんな、トドメなんて・・・
君にその意志が無かったとしてもだ
これが魔物や人間との戦いだと想定してみろ
恐らく1年で彼に勝てる者はごく僅かだろう
というか、まずいるかすら怪しいな
カリタスさんはぼそりと呟いたのを僕は聞き逃さなかった
ふ・・・ふざけないでください!
僕らが彼よりも弱いって!?
冗談が過ぎます!
大体彼は魔法が使えないはずだ!
どうやってそこは説明するんですか!?
彼はとある人物と共に無属性の魔法をずっと研究していた
君たちのように属性が無いから、それこそ必死にね
そして、彼が使った魔法についてだが
一呼吸置いて
貴様らは身体強化を彼が使ったのも分からんほどに馬鹿なのか!
実力差も分からん者はこの学園にいる必要は無い!
怒声
場を揺るがすような声で生徒に向かって叫ぶ
それを見た生徒は何も言えなくなりその場にへたり込んだ
というか、隣で叫ばれた所為で耳が結構痛い
学園長、運んできましたよ
ん、ありがとう
クロウ君
改めてこちらに向き直る
医務室に行きなさい
どうやら何か訳ありのみたいじゃないか
折角だ、これを機会に解決するといい
え、ええ!?
ほら、行った行った
あ、リーダ君
困惑する僕を尻目にカリタスさんは手招きした
びっくりした様子でこちらにリーダさんがやってくる
な、なんですか・・・
さっきの事で怒られると思ったんだろうか?
少しびくびくしながら聞いてくる
念のため一緒に行ってあげるといい
思い人のことだ、気になるだろう?
後半の方はよく聞き取れなかった
それを聞いたらしいリーダさんは顔を”ボン”と顔を赤に染めた
何を言われたんだろう・・・?
あ、ありがとうございます・・・
弱弱しい声で礼を伝える
それを見たカリタスさんはくすくすと笑う
なんとなくこんな結果になると思ったんですよね・・・
奇遇ですね~
わたしもクロウさんが勝つと思ってましたよ~
静まり返った闘技場に知った声が2つ響く
ほらほら!
行っちゃってくださいな!
何があったのかは知りませんけど!
リーダさんずるいですぅ~
わたしも行きたかったのに~
行くしか・・・無いか
エリアにも聞きたいことがある
なんか、巻き込んですいません
い、いえ・・・
行きましょうか
は、はい!
僕ら2人は歩き出した
医務室はここからそう遠くないはずだ
エリアは目を覚ましているだろうか?
さて、お前らはお説教だ
少し自分の愚かさについて教えてやる
後ろでカリタスさんの明らかに怒っている声は聞かなかったことにしよう