エリア

さて、もう遊びは終わりにしましょ
と、その前に
先生!

彼女は残酷な笑みを浮かべたまま先生を呼ぶ

エリア

この模擬戦をそのまま決闘といたしたいです!

レイク

はぁ!?
何を言っているんだお前は!
これは授業であってお前たちの遊びではないぞ!

なんてことだ

今の僕に勝てる見込みは・・・

いや、彼女は剣を持ってはいたがそこまでうまく扱えないように見える

そこをつけば・・・

エリア

遊びですって?
これはもうすでに正式な決闘です
レーデン家の名においてあなたに決闘を申し込みます

なんて無理やりなんだろうか・・・

彼女はともかく僕を排除したいようだ

視界に写すのも嫌なんだろう

どうして、どうしてこうなったんだろうか

クロウ

前のようなエリアには戻れないの?

エリア

・・・!

僕の言葉に一瞬だが弱々しい表情を見せる

エリア

あなたが・・・あなたが悪いんです!
属性が無く落ちこぼれだから・・・!

まるで僕が悪いかのような言い方

僕はやはり・・・と思う

僕が何かをしたらしい

でも・・・何を・・・

クロウ

僕が何を・・・

エリア

黙りなさい!
もう下らない問答はいりません!
わたしはあなたが負けたらあなたの退学を命じます
あなたが勝つことは無いので逆の場合は考える必要は無いでしょう!

レイク

おい!
お前たち!今すぐやめろ!

先生が必死に止めようとしている

いつもはだるそうな感じだけどまじめに僕らのことを考えてくれているんだな・・・

カリタス

いや、やらせてあげなさい
私が許可する

・・・驚いた

カリタスさんが先生を止める

いつの間に・・・

カリタス

このままこの模擬戦を決闘に移行する
両者よろしいな?

よろしくないです

目の前のエリアは首を縦に振る

対する僕はカリタスさんに視線で訴える

カリタス

クロウ君
君はラックさんが育てたんだ
”今は”彼のためにがんばってみないか?

・・・ずるいと思う

ラックさんの名を出されて頑張らないわけには行かない

そして

リーダ

クロウさん!
頑張ってーーーー!!

聞こえてくるのは友の声

勝てるかどうかは分からない

でも、目の前のエリアばかりに対する声援

それを押しのけて僕に届いてくれた”僕への”声援

これのために頑張ってみるのもいいと思った

負けたのならば仕方が無い

ラックさんに素直に謝ろう、リーダさんたちに謝ろう

勝てたのなら・・・

思考をまとめてエリアへと向き直る

クロウ

分かりました!

少しは兄らしさを見せてみるのもいいかもしれない

カリタス

両者の合意が確認できた
では改めて・・・開始!

第2ラウンドが始まる

僕はまずは身体強化なしでエリアへと駆け寄る

さっきのあの竜巻・・・あれは発生した直後は範囲が狭かった

広がる前に近づけば・・・!

エリア

燃やせ炎球!ファイアボール!

唱えられる詠唱と共に火の玉が迫る

その数およそ10どれも人の頭ぐらいの大きさがある

まずはこれを避けなければ!

クロウ

ガアアアアア!

全てをよけきることは叶わず最後の一発が直撃してしまう

そしてエリアはこちらへと近づき手に持った炎剣を振りかぶる

エリア

終わりよ!

鉄と鉄、剣と剣がぶつかり合う

何とか体勢を立て直した僕は彼女の剣を受け流し立ち上がる

僕は距離をまずはとることにした

エリア

馬鹿ね!魔法使いに距離を離すのは・・・ッ!

”ヒュン”

僕はすばやく背中の弓を構えて放つ狙いは胴体

ここならば致命傷になることは無い

遠慮することは無い

痛いかもしれないけど・・・今は!

クロウ

ここだ!

第2第3の矢を放つできる限り落ち着いて正確に

こういうときに魔法よりも詠唱を必要としない弓は便利だ

教えておいてもらってよかった

エリア

この・・・なめるなあああああ!!!

自身を奮い立たせるようにも聞こえる絶叫

その後彼女は詠唱を始める

エリア

炎よ!渦巻き敵を飲み込め!フレアトルネード!

来た!

さっきの竜巻の詠唱

見逃すわけには行かない持っていた弓を捨てて剣を手に走り出す

間に合え・・・間に合え!

クロウ

クッ!!

願い虚しく

走り出したばかりでスピードに乗り切れず間に合わなかった

さっきのように耐えるしかないのか?

お?苦労している感じか?
俺の渡した剣を思い描け

何かが僕に語りかけてくる

この声は確か・・・

考えるまもなく炎の竜巻は迫る

思い出せ・・・あの剣・・・フラガラッハを

それを手に持ったイメージで
”来い”と口に出せ

クロウ

来い!

声に出したと同時に僕の右手が光る

クロウ

な、なに!?

エリア

く、いまさら何をしたって遅いわ!
そのままやられなさい!

次第に光が収まる

そして僕の手には一振りの剣が握られていた

ちゃんとできたな
後はそれに魔力を流せ
やり方はわかるな?
出来たら後は剣が教えてくれる
じゃあな、ってこの前も言ったか?
今度こそしばらくは会えなさそうだな
まぁいい、やるだけやってみろ

流れてくる言葉の通りに僕は剣に魔力を流す

そして・・・

クロウ

・・・ここを切れば!

この剣に魔力を流したことによって何が起きたのか

それは至って簡単だった

この魔法を突破する方法が分かるようになったのだ

そういえばこの剣を渡されるときに言っていたな・・・

回答剣フラガラッハ、この剣の名前

それは恐らく、目の前の事象に対する最適回を見出す剣

僕には今、炎の竜巻の中心に一箇所ほかより大きく渦巻いている場所があるのが分かった

そして、これは直感だろうか?

これを切ろうと即座に判断

先ほどと違い半分までしか行かなくて済む

今まで温存していた魔力を全部使う勢いで身体強化をし

クロウ

ハアアアアアアアアアアアア!

切った

風を切るような音と共に

エリア

そ・・・そんな・・・なんで

炎の竜巻は霧散した

クロウ

・・・いける!

そのままエリアへと走りだそうとする

何かの倒れこむような音

それは、エリア倒れこむ音

カリタス

魔力切れ・・・だな
この決闘、勝者、クロウ・バーロット!

思わぬ結果で決闘の終了の合図が知らされた

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