ここは、そうだな
どこでもない場所って表現が一番近いかな

そう、彼は言った

クロウ

どういう、ことですか?

なんだろうなぁ、説明に困っちまうんだが
お前、剣に触っただろ?

再度同じ質問

首を縦に振って肯定する

あれには俺の意識の一部が封じ込めてあってな
特定の魔力を持つやつが触るとこっちに呼び出されるんだよ

クロウ

特定の魔力?

そ、属性に染まっていない
純粋な魔力、つまり属性なしのお前が触れた結果こっちに来たってことだ

純粋な魔力・・・なんだろうか?

確かに属性はないけど

ま、後は俺も属性がなかったから
同じ魔力に反応したって言い方が一番分かりやすいか

・・・は!?

クロウ

え!?
属性があなたもないんですか?
・・・というか、

あなたは一体・・・

言葉を続けようとするが口の前で指を立てられ

今はまだ内緒だ
そろそろ時間だ
今回はここまで、また何かあれば話をしよう

そういって彼は消えていく

・・・消えていく!?

クロウ

え!?
足が、消え!?

アハハ
面白いやつだなぁお前
自分もそうなってるぞ~

まるで茶化すかのように言ってくる

自分の足元を見ると目の前の彼と同じように少しずつだがうっすらと消えていく

安心しろ、死なないから
あ、そうそうそれとな
俺の剣、あれやるよ
ていうかお前にもってもらわないと話すことも出来ないしな
まぁ話せるのも時々なんだが

クロウ

剣って僕が触った?

そうそう、あの剣だ
あれそこそこ強いんだぜ?
剣の名前は”回答剣フラガラッハ”って言うんだ
使い方はまぁ、習うより慣れろってやつだ

さて、そろそろ完全に時間だな、と彼は言って

後1つだけ言っておいてやろう
属性がないということは決して弱点ではない
純粋な魔力は最強の剣であり盾でもある
これをよく覚えておけ
・・・もう消えちまうな
それじゃあ次会うのはいつか分からんが!
じゃあな!

そういって彼は消えてしまった

それと同時に僕の意識も再び闇に落ちる

一同

・・・さん!・・ウさん!

誰かが僕を呼ぶような声がする

一同

クロウさん!しっかりしてください!

肩を揺さぶられる

背中には、これは地面か

僕はどうやら倒れているらしい

ゆっくりと閉じていた瞳を開ける

リーダ

クロウさん!よかった!

クロウ

うわ!?
リーダさん?

まぶしいと思う暇も無く僕は胸に飛び込んできた人物を見る

銀髪がとても綺麗に見える

リーダさんだ

リーダ

よかった!よかった!
遺跡にクロウさんだけ閉じ込められて!
皆何とか脱出して!
クロウさんがしばらくしたら急にここに現れて!

必死に今までのことを伝えようとするリーダ産に僕はどうすればいいのか分からなくなってしまう

クロウ

お、落ち着いてください
僕は無事ですから

アリスト

お、目を覚ましたか

後ろから声を掛けられる

首だけを後ろに向けるとアリストさん達

つまりはグループの皆が立っていた

ボルト
セリア

びっくりしましたよ!
クロウさんが閉じ込められたと思ったら急に外に転移してくるんですから!

ミラ

本当ですよ~
わたしもびっくりです~

クロウ

て、転移?

ここまで来たのは僕の力ではない

となると・・・

恐らくあの真っ白い空間にいた人

結局あの人は誰だったんだろう?

純粋な魔力は最強の剣であり盾でもある

不意に頭の中に浮かぶ彼の言った言葉

あれはどういうことなんだろうか?

アリスト

まぁ状況は今こいつらの言った通りだ
俺にもよく分からん
が、お前が属性無しということは聞かせてもらった

クロウ

・・・!

ミラ

すいません、皆があわてているときに・・・

アリスト

安心しろ、俺は別にそれを理由に差別はしないよ
というか現にお前が強いの知ってるしなぁ

この人は属性がなくても今まで通り接してくれるらしい

それは僕にとってとてもありがたいことだ

アリスト

正直な話お前の生存は絶望的だと思った
属性無しの話を聞いて更にな
だがお前はこうして生き残った
・・・なにがあった?

クロウ

それは・・・

言っても信じてもらえるんだろうか?

あの空間でのことを

アリスト

それに、お前の背中にあるその剣
さっきまでは持っていなかったよな?

そういわれて背中を見る

僕は剣を確かに持っていた

腰に刺しているいつもの剣ではなく

まったく別の、それも見たことのある剣だ

クロウ

これ・・・!

もしかして、と思う

最後に彼の言っていた”回答剣フラガラッハ”という剣だろうか?

だがなんていえば・・・

アリスト

・・・なんかややこしそうだな
今はそれの存在は聞かないでおいてやる
落ち着いたらでいいから話してくれ

そんな僕の様子を見てアリストさんは一旦この話を打ち切ってくれた

アリスト

さて、クロウは無事だったんだ
今日は宿に帰って明日ゆっくり帰るとしよう!
お前ら帰るぞー

アリストさんは街道の方へと歩き出す

確かこの先に宿屋があったはずだ、恐らくそこだろう

クロウ

・・・

それにしても、だ

まったく彼のことは分からなかった

でも彼は確かに自分は属性無しだといった

自分と同じということに親近感はあるけど

同時に純粋な魔力は強いともいった

気になることが山積みすぎてどれから考えればいいのかわからない

リーダ

とりあえず、今は戻りましょう、ね?

クロウ

ええ、そうですね

今は考えるよりも休みたい

僕は立ち上がり皆と共に宿屋へと向かった

あの空間にいた彼が使っていたであろう剣を背負って

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