こちらを睨みつけながら彼は言った
決闘って確か勝ったほうのいうことを何でも聞かないといけなかったはずだ
こちらを睨みつけながら彼は言った
決闘って確か勝ったほうのいうことを何でも聞かないといけなかったはずだ
俺が勝ったらお前の退学を希望する
お前みたいな落ちこぼれが来ちゃいけないんだよここは!
落ちこぼれ、そう呼ばれ僕はレーデンの家を思い出す
落ちこぼれといわれ出来損ないといわれ・・・
どうやらここでも言われ続けるらしい
まぁ予想はしていたが・・・
でも決闘となると流石に困る
そんな!?
決闘なんて先生もいないのにそんなこと!
気がつけば近くにいたセリアさんがこちらの会話に入ってくる
そうだ、先生もいないのにこんなこと決められるわけがない
フン!
先生なんて知ったことか!
俺は貴族だぞ!
平民と貴族を天秤に掛けられれば貴族の意思を優先するに決まっている
得意げな顔で僕に決闘を申し込んできた生徒は言う
ああ、この人貴族だったのか・・・
えっと、どうしてもしないといけないんですか?
僕、あなたには何もしてないんですが・・・
貴様の意思なんて知ったことか
”俺が”お前の存在が嫌なんだよ
いいか!この後闘技場で待っているからな!
”スタスタ”
彼は足早に走り去って言った
というかそんなに気に触ることしただろうか?
なんだか大変なことになっちゃいましたね~
こんな状況でも間延びした声でしゃべるミラさんにそういわれる
いえ、庇ってくれてありがとうございました
僕はミラさんに礼を言っておく
”ガラ”と教室のドアがまた開かれる
おーい、クロウだったか
お前なにやったんだ?
あのあいつ・・・なんていったっけ?
ルード・ブルスですよ
さっきの人の名前
おーそうだったそうだった
あいつ、決闘するから闘技場貸せって俺に言うだけ言って走って行っちまった
この後確かに闘技場の使用予定はないが・・・
お前許可したのか?
いえ・・・してないです
なんていうか、僕のことが気に食わないみたいで
レイクが”がりがり”と頭をかく
はぁ~だよなぁ
校長からこいつは基本的に平和主義だから問題ないはずといわれていたしなぁ
周りに問題があったか
とりあえず決闘の取り消しは出来ん
闘技場へ向かえ
この後授業はないからお前たちも見学しろ
決闘なんてなかなか見れるものじゃない
先生の声に周りが盛り上がる
まぁ9割方が相手・・・ルードだったかの応援に行く人だが
あの、応援してますから!
そうですよ~クロウさんなら大丈夫ですよ~
なんというか・・・不運ですねぇ・・・
2人が応援、1人が同情してくれた
こういうとき味方がいるととてもありがたいと思う
仕方がない、向かうとしよう
ありがとうございます・・・決闘かぁ
重い足取りで闘技場へ向かう
ドアを開けようとするとレイクから声が掛かった
まぁ、あれだ
お前確か強いんだろ?
貴族の坊ちゃんの相手はしんどいだろうが頑張ってくれ
手加減はしなくていいから
校長からのお達しだ
校長・・・カリタス先生が?
まぁとりあえず今は向かうしかないか・・・
とりあえず闘技場へと足を進める
闘技場へ入るともうすでに人が集まっていた
今僕はルードと向かい合う形でたっている
武器はいつも通り弓と剣
対する彼は剣を一振り持っていた
フン!
逃げずに来たことはほめてやろう
だが残念だったな!
明日からここへ来ることはもうないぞ!
えと・・・僕が勝ったら?
僕の言葉にさらにルードが騒ぐ
貴様の勝利なんてあるわけがないだろうが!
貴様は俺にやられればいいんだよ!
横暴な・・・
口から出かけた言葉を飲み込む
おーう
とりあえず審判は俺がやる
ルールは簡単だ
殺しは無し
武器の使用はあり
安心しろ、とりあえず最悪の事態にならないようにするから
勝者は敗者に1つ命令を下せる
お互いに準備はいいか?
お互いに頷きあう
では・・・始め!
うおおおおおおおおお!
開始の合図と共にこちらへ駆け寄ってきたルード
まっすぐで特にひねりもない走り込みだ
僕の目の前まできて剣を振る
・・・
何も言わずに避ける
相手が少し驚いた顔をしているが特に驚くことはない
ただ避けただけだ
ッ!調子に乗るな!
風よ!切り裂け!ウインドアロー!
相手は風属性の魔法をこちらに向ける
彼の手から風の矢が放たれる
なんだろう、なんていうか・・・
”弱い”
ラックさんやカリタスさん、それにあの山賊のボスみたいな人に比べたらこの人はぜんぜん弱く感じる
現にまだ僕は身体強化をしていない
それに今飛んでくる風の矢もぜんぜんまだ目で追える
よっと・・・
な!!!
あっさりと横に飛んで避けた僕にルードが驚愕の表情を向ける
どうやら回りも驚いているようだ
さっきから攻撃を避けるたびに周りからざわざわと声が聞こえる
おい・・・うそだろ!?
あいつ、何かインチキでもしてるんじゃないの!?
いや、インチキなんてやりようがないんだけど
目の前のルードに向き直る
顔を真っ赤にして怒ってる・・・
おまえ!ふざけるな!
何かインチキをしているんだろう!
でなければ魔法を避けられるものか!
声を張り上げてこちらに怒り散らす
といわれてもなぁ・・・
い、インチキも何も・・・
ただ避けただけですよ
僕の言葉にさらに顔を真っ赤にさせて
黙れ黙れ黙れ!
俺の言う通りにやられればいいんだよ!
またこっちへ走ってくる
剣を振り上げこちらに切りかかる
僕はそれを全て避けるか剣で流す
くそ!
こんなやつに・・・!
使いたくはなかったが!
風よ!我に力を!ウインドメイ・・・
彼が次の魔法を唱える
あれは・・・身体強化だ
風属性ウインドメイル
自身の体に風の鎧を纏わせる、相手は剣を振り下ろそうにも風に阻まれ当てることが困難になる
まぁ詠唱に集中して目を瞑っているせいでこちらを全然見ていない
おかげでこちらの行動が分かっていない
や!
僕の一声と共に矢を番えた弓を放つ
するとどうだろう?
見事に相手の腹部に命中
詠唱中で目を瞑っていたルードは突然の衝撃に詠唱を中断をした
いくら先が丸い矢であっても直撃ならばそこそこダメージはあるはずだ
ぐぅうう!?
案の定うめき声を上げている
体勢を立て直すことも出来ないようだ
僕は相手に向かって駆け寄り剣を突きつける
そこまで!
試合終了!
クロウ・バーロットの勝利とする
決闘は僕の勝利によって幕を下ろした