リーダ

こっちです!

僕は彼女に襲われた場所までの案内をお願いした

そこまで遠いわけではなく比較的すぐに付く距離だった

周りは森が広がっている

たまに吹く風が心地よく、こんなところに山賊がいるなんて信じられなくなりそうだ

リーダ

こ、ここです
ここで襲われたんです

クロウ

ここで・・・

足元を見てみると足跡があった

大きさからして4人分くらいの足跡だろう

クロウ

リーダさん
これはあなたの足跡ですよね?

足跡のうちの一つ、ほかの足跡よりも小さい足跡を示す

リーダ

あ・・・多分そうです

リーダさんは僕の指差した足跡に近づき自分の足と合わせる

どうやらそのようだ

クロウ

とりあえずこの足跡を追跡しましょう
絶対に離れないでくださいね

リーダ

は、はい!

僕とリーダさんは残りの3人分

山賊たちの足跡を追う

途中で森の中に入り道なき道を行く

リーダ

ハァ、ハァ、ハァ

すぐ後ろから荒い息遣いが聞こえてくる

振り返ってみるとリーダさんがすでに肩で息をしていた

彼女にこんな道は少し辛い様だ

クロウ

大丈夫ですか?
一回休憩しましょう

リーダ

い、いえ
大丈夫です

明らかな強がりだ

だがこのままではもし山賊と戦闘になった場合リーダさんは動けなくなってしまう

クロウ

だめです!
もし山賊と戦闘になったらどうするんですか
そんな状態だと動けないでしょう?

僕の言葉をどうやら受け止めてくれたらしい

リーダさんは近くの大きな石に座り込みすみませんと呟いた

リーダ

すいません、こんなことに付き合わせてしまい
命の危険だってあるのに

クロウ

気にしないでください
来ると判断したのは僕ですから

不意に改めて来る謝罪に僕は返答する

リーダ

そういえばヤマト学院へ入学されるんですよね?
魔法はお得意なんですか?

あ、どうしよう

今属性無しって知られたら彼女に心配をかけてしまう

どう返答するべきか・・・

クロウ

い、いえ
残念ながらそんなに得意ではないです
出来るのは身体強化くらいでして
試験のときも身体強化だけで乗り切りましたから

・・・よし

我ながらうまく返せたと思う

リーダ

え!?
本当に身体強化だけだったんだ・・・
私もあの試験は見ていましたけど唯一試験官に勝利していましたよね

クロウ

あはは、まぁ運が良かっただけです

冷や汗を出しつつ僕は返す

どうやら乗り切ったようだ

ホッと一安心

お、さっきの嬢ちゃんじゃねえか
なんだ?
せっかく逃げ切れたのに俺たちに会いたくなったのか?

聞こえて繰る下卑た笑い

この場には似合わないものが現れる

・・・山賊だ

しょうがねえなぁ
俺らがかわいがってやるよ

もう一人分の笑い声が後ろから聞こえる

どうやら2人だけらしい

リーダさん・・・はだめだ、硬直してしまっている

リーダ

あ・・・うあ・・・

2対1という状況になってしまったが仕方ない

僕は剣を右手に構える、左手はすぐに弓を取れるように空けておこう

・・・あ!
てめぇクソガキ!
あのときはよくもやってくれたなぁ・・・!

そういやぁこいつこないだ馬車を襲ったときの奴か!
よし、今から殺してやるからそこを動くなよ!

怒気のこもった声が僕に向けられた

ああ、そういえばこいつらはミラさんを助けたときの・・・

リーダ

わ、私のナイフ
返してください!

ん?
ああ、こいつのことか
こいつは高く売れそうだからな
お前らと遊び終わったら金に換えて酒でも買うさ

そういって山賊は腰から一振りのナイフを取り出す

装飾の無い無骨な黒を貴重としたナイフだ

どうやらあれがリーダさんのナイフらしい

リーダ

そんな・・・!

ほら、とりあえず死ねや!

目の前の男が僕に向かって駆け寄ってくる

手には剣を持っている

僕は剣を使ってそれを横に流す

一瞬だけ剣が交わるがどうやらこの人はラックさんやカリタスさんには遠く及ばない

現に簡単に剣を流せた

な!?

山賊の男・・・面倒だから山賊Aにしよう

山賊Aは僕が剣を流したことにどうやら驚いている

そんなに難しいことはした覚えが無いが・・・

そのままその男に思いっきり蹴りを放つ

まだ体制を立て直すことが出来ていない男はそれを脇腹に諸にくらい倒れこむ

これでしばらくは動けないだろう

てめぇ・・・!

もう一人・・・山賊Bはすぐに仲間がやられたことに腹を立てた

だがすぐに僕の横・・・リーダさんを見る

男は口の端を二ヤァ・・・と歪め

燃やせ炎球!ファイアボール!

男の手から火の玉が飛ぶ

火属性初級魔法ファイアボール

対象に炎の球を飛ばす魔法だ

まずい・・・僕はリーダさんを見る

だめだ、混乱している!

僕は体を無理やりリーダさんの前へと割り込ませる

クロウ

う・・・ぐ!

炎の球は僕にぶつかると同時に破裂した

僕は炎を受ける・・・受けるのだが

クロウ

あれ・・・?

熱い・・・熱いはずなのだが

火がすぐに消えて服を焼かれるだけに済まされた

体は少しやけどを負うだけで済まされた

痛みも炎の球がぶつかったときの衝撃だけだ

な、なんで・・・
何で俺の炎が・・・?

どうやら僕と同じ反応のようだ

ああ、と僕は思い出す

僕は前々から魔法に対して体勢があったじゃないか

それにあの炎の球、流石は山賊というべきか

魔法も雑だった、ファイアボールの魔法はうまい人が使うほどきれいな丸い形状になる

だが山賊Bのファイアボールはとてもではないが丸いとは言えず手から出した炎の塊といったところだった

それもあったのだろう、僕は持ち前の魔法耐性でファイアボールを耐えたのだ

最近はラックさんとの模擬戦とかばかりであまり活かされていなかったから忘れていた

リーダ

あ・・・大丈夫なんですか?

後ろから声が掛かる

リーダさんはどうやら無事のようだ

涙目で僕に聞いてくる辺りとても怖かったんだろう

だけど今は返事している暇は無い

ひっ
く、くるなあああああ!

山賊Bの方へまっすぐに駆ける

簡単に勝てると思っていた相手にここまでやられて腰を抜かしたのか

気がつけば山賊Bは尻餅を地面についていた

だが、許すつもりは毛頭無い

クロウ

ヤァ!

思いっきりさっきと同じ要領で顎を蹴り上げる

バキィ!

男は何も言わずに崩れ落ちた

どうやらこれで山賊は無力化できたようだ

おいお前らぁ、何時まで油売って・・・
おいガキ、これはどういうことだ

別の方向から山賊がもう一人

そういえば3人いるって言っていたか

こいつで最後だろう

何も言わずに剣を構える

てめぇがこいつらをやったんだな?

答える必要は無い

ただ、相手はどんどん苛立ちを見せる

てめぇがやったんだなって聞いているんだよ!

男は言うと同時にこちらへ駆け出す

手に持っている武器は斧のようだ

僕はそれを横に飛んでよける

男はすぐに方向転換をしてこちらを再度狙う

僕は避けずに流そうとその剣を受け止める

クロウ

グ・・・

思った以上に力が強い

何とか流せたがこのままでは・・・

おらおらぁ!
てめぇは絶対殺すからじっとしていやがれ!

リーダ

光よ、我が手に集いて敵を撃て!ライトアロー!

男の背後から聞こえるリーダさんの声

実技試験で見せた魔法だ

ライトアローは男に一気に向かい

不意を疲れた男は魔法に対処することも出来ず

グアアア!

ドン!ダン!

男は諸にそれを食らった

何度かバウンドしている辺り威力が窺える

・・・起き上がってくる気配は無いな

クロウ

・・・ふぅ

リーダ

あ・・・終わった?

後に残るのは地面に転がる3人の山賊と

戦闘が終了し地面にペタリと座り込む僕ら2人だけだった

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