ラック

クロウ、もうそろそろ学校へ向かったほうがいいのでは?

気がつけば入学まで残すところあと4日

僕は念のためラックさんと相談して1日早く出ることにした

そして今日が

クロウ

・・・

行く日・・・なのだが

なんだろうね

行かないといけないのは分かっているんだけどヤアタとラックさんと今度は半年近くお別れになってしまう

それを考えると足が進まない

クロウ

しばらく会えないんですよね・・・

ラック

まぁそれは仕方がないでしょう
夏の月に長期のお休みがもらえるはずなのでそこで帰ってくるといいでしょう
・・・私もヤアタもさびしいです

ヤアタ

クロウ、行くのさびしい

でもこれはラックさんが提案したこととはいえ僕が行くと決断したことだ

いや、分かってはいるんだよ

ラック

クロウ

僕が暗い表情をしているのを見てラックさんは僕の型に手を置く

ラック

これをもっていきなさい

そういってラックさんは僕に一つの石のようなものを渡してきた

青っぽい石だ

でも、よく見ると真ん中の辺りで欠けている

そしてラックさんの手には赤い同じような石が手にもたれていた

ラック

魔力をその石に流してみてください

クロウ

・・・?
わかりました

言われた通りに魔力を流す

するとどうだろう、僕の手にあった青い石は光を帯び始めた

青っぽいとてもやさしい光だ

クロウ

わぁ・・・!

ラック

出来たようですね
ではこちらにもお願いします

そういわれてラックさんにもう片方の赤い石を手渡される

同じように魔力を流すとこちらも光りだした

こっちは真っ赤で力強い光だ

クロウ

とてもきれいですね!

ラック

これは”双子石”
真ん中で割れる不思議な石で左右で色が違う
そしてこの石には不思議な力がありましてね
魔力を流した2人の生体反応を受信しあえるのですよ
少しだけ真ん中の辺りが光っているでしょう?

そう言われよく見てみると確かに真ん中の辺りが微かに光っていた

ラック

これはお互いがちゃんと”生きている”という証です
私のほうも光っていますよ
これの片方をあなたにあげます
・・・これでどこにいても寂しくないでしょう?

僕はそういわれてラックさんのほうを見る

どうやら僕に気を使ってくれたらしい

でもこのプレゼントはとても嬉しかった

ラック

それと、ほら
これを

クロウ

え・・・
これって

そういって僕に手渡してきたのは

僕が前の家を追い出されたときに渡された唯一の餞別である一振りのナイフだった

クロウ

どうしてこれを?

ラック

あなたはもう身も心もとても強くなった
だから、そろそろそれを返しておこうと思いましてね
それは確かに殺すための道具です、ですが

ラックさんは僕をまっすぐに見てこう言った

ラック

それは今後、あなたを・・・あなたの大切な人を守る大切な刃になるはずです
無理に使えとは言いません
ですが、いずれきっと役に立つでしょう

クロウ

ラックさん・・・

うれしかった

僕のことをこんなに考えていてくれただなんて

本当に嬉しいや・・・

クロウ

ありがとう、ございます
僕、きっと強くなります!
強くなって今度は、僕がラックさんの役に立って見せます!

ラック

あなたはもう十分に私の役に立ってくれましたよ
友人としても、研究の相棒としても
家族としても・・・ね
コホン

いいですか?

トラックさんが締めくくりに入る

ラック

あなたが学院でやるべきことはたくさんあります
勉学に励むこと
大切な友人を作ること
鍛錬を怠らないこと
ギルドで活躍すること
魔法の開発
ほかにも通っているうちにやりたいことが出来てくるでしょう
すぐに、とは言いません
いずれでいいんです、いずれで
私にいつかそれを、あなたの成果を私に見せてください
私からの、宿題です

クロウ

はい!
僕、頑張ります!

ラック

ええ、では行きなさい
ヤアタのことは私に任せてください
先日も言った通りこの子には手が掛かりません
それと、いつでも帰ってきなさい
あなたの家はここなのですから

ヤアタ

クロウ行くの、寂しい
でもクロウ頑張って
クロウとヤアタ、どこでも友達!

温かい言葉をかけられて僕は笑顔になる

敵わないや・・・

僕は足を森の外へと運ぶ

荷物は持った

武器にお金、ほかにも必要なものをいっぱい

思い出はここにこればいつでも見れるから

一歩、大きく踏み出してみよう

大好きな家族との一時のお別れは寂しいけれど

僕は慣れ親しんだログハウスを見る

見ればまだラックさんが手を振ってくれていた

振り返った拍子に声が掛かる

ラック

クロウ!

声のしたほう、ラックさんのほうへ向く

ラック

行ってらっしゃい!

クロウ

行ってきます!

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