学校が始まるおおよそ一週間前だろうか

家に一羽の鳩がやってきた

伝書鳩といえば分かりやすいだろうか?

その鳩は足に二通の手紙をつけていた

クロウ

・・・?
なんだろう?

ラック

ああ、伝書鳩ですね
よく使うんですよ
恐らく学院からではないですか?
当日の持ち物などが書いてあると思いますよ

そういわれて僕はとりあえず開く


簡単にこういった内容が書かれている

クロウ・バーロット殿

貴殿を我がヤマト学院への入学を許可する

我がヤマト学院では魔法を中心とした勉学に大いに励んでほしい

鴉羽の勇者の様なすばらしい人物になることを目標にその才能を遺憾なく発揮してほしい

クロウ

あ!本当だ!
もう一枚は・・・

どうやらもう一枚は当日の持ち物と予定のようだ

入学式の開始時間が書かれているのと学校に必要なものが書いてある

ラック

教材はすでに支払いをしてあります
後は・・・ギルドカードですか
こちらはギルドに加入している人だけのようですね
いずれあなたも加入するでしょうから説明しておきましょうか

クロウ

あ、おねがいします

ラック

そうですねぇ・・・何から説明しましょうか
ギルドって言うのは簡単に言うと何でも屋なんですよ

クロウ

何でも屋?

ラック

ええ、たとえば私とカリタスがであったきっかけである薬草探しの依頼もギルドが出しています
ギルドって言うのは困っている人や村、町などから依頼を受けてそれを受けてもらう人を探すいわば仲介組織です
ほかにも村で家畜があらされるから調査してくれなんていうものもありますね
で、提示された依頼によって達成報酬としてお金をもらいます
これを自分の食い扶持にしている人も結構いますよ

ここまで僕は真剣に聞いていた

まぁ、いずれ入るのなら聞いておいて絶対に損はない

ラック

ギルドに登録するには15歳から
これに例外はありません
そして所属している人にはランクがあります
上からS A B C D E F
加入してから最初はFランクです
さっき話していたギルドカードには自分のお金の預金証明とランク、名前などが記入されています
魔法によってそれは随時更新されていきますよ
まぁ言ってしまえば身分証のようなものですね

クロウ

なるほど
・・・僕にも入れますかね?

僕は心配になりラックさんに尋ねる

属性なしの僕に仕事をくれるのだろうか?

ラック

問題ないでしょう
あそこは完全実力主義です
馬鹿にして来る者はいるかもしれませんがそれが原因で仕事が受けられない、ということはないはずです

その言葉に僕は安心する

良かった・・・流石にそれで拒否されてしまったらどうしようもなくなってしまう

クロウ

あ、てことはやっぱり討伐系もあるんですよね・・・

僕はそれが気がかりだった

どうも僕はやっぱり命を奪うことになれることが出来ない

最後の一撃がどうしても躊躇してしまう

ラック

そうですね
残念ながらあります
むしろメインでしょう
魔物は基本的に人間を害をなしますから

クロウ

・・・良い魔物もいるんですけどね

僕はそういって隣で気がつけば寝ていたヤアタを見る

きっとヤアタのほかにも良い魔物はいる

こうして通じ合えるんだから

ラック

残念ながらそれを知っているのは私とあなただけです
・・・いつかあなたがそれを広めていけばいいじゃないですか

クロウ

え・・・?

僕は思わず聞き返す

ラック

たとえば・・・そうですね
今のあなたが良い魔物もいるとまわりに言った所で誰も信じないでしょう
ですが
ギルドや何らかの形で有名になったあなたが魔物にも良い魔物はいると言ったら
・・・どっちが発言力がありますか?

そういわれて僕は気づく

そうだ、今の僕が言ったところで誰も信じないのは明白だ

だが強くなった僕がそれを言えば少なからず信じてくれる人が出てくるはず!

僕は少しだけど新しい目標が出来た気がした

クロウ

そう、ですね・・・
がんばってみようと思います!

ラック

ええ、私も期待していますよ

少しだけ見えた目標

僕はこれを忘れないように1週間後の入学式に備えた

実質移動で3日かかるから後ここには3日くらいしかいることは出来ない

だからその間で僕は剣の稽古、筋トレ、弓の練習
身体強化などの出来る限りのことをやった

後はもう入学式を待つだけだ

一時の別れを前に少し悲しいけど、僕はそれ以上に新たな出会いに胸を膨らませていた

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