昼を過ぎて、ピアノの講師とやらの正体をケットが知る頃、既にケットはくたくたになっていた。
楽器というものは、覚える事が多過ぎる。どうやらサリーはある程度ピアノを使いこなせていたようで、講師の女性は開いた口が塞がらない様子だったが……出来ないものは出来ないのだ。仕方が無い。
窓際の椅子に座り、天井を見上げた。……どんな家も、この天井の雰囲気だけは大して変わらないものだと思う。
そういえば、ティータイムと呼ばれる時間も凄かった。人間は、葉に熱い水を浸して色と匂いの付いたものを好んで飲むのだ。……あれとクッキーは嫌いではなかったが、やはり熱かった。
人間の食べ物飲み物は熱いものばかりである。それだけで、体力を消耗してしまう。
流石のケットも警戒して、おっかなびっくり触るようにはなったが。それはそれで、両親や使用人の目を引いてしまうのだ。