クロウ

じゃあ、行ってきますね!

場面は少し飛んで

僕はラックさんに一旦の別れの挨拶を告げる

これからイチリンの町へと向かい入学のためのテストを受けに行く

大体3日ほどで付くらしいのでそれに合わせた出発だ

ラック

ええ、気をつけてください
試験が終わったら一旦戻ってきてくださいね?
この家に試験の結果が届くので

手配等は全てラックさんがやってくれた

基本的に僕は特訓と魔法の研究の手伝いばかりしていたので町に出る機会はない

ラックさんは町に知り合いがいるようでその人に頼んだらしい

学園への入学試験の申し込みもその人経由だ

行くたびに注目の的になるので本当は行きたくないらしい

クロウ

え・・・と
確かカリタス・ルッツマンという人を町に行ったら探せばいいんですよね?
どこにいるんですか?

そう、さきほど話した人物

カリタス・ルッツマンという名らしい

町に着いたらその人のことを探せとのことだが・・・

ラック

ヤマト学院へ行けばたぶんすぐに分かりますよ
そこの職員ですので

なるほど

学校の職員でラックさんの知り合いだから僕に試験を受けさせることが出来たのか・・・

と一人納得する

クロウ

分かりました
森の中はあらかたもう覚えたんで後は街道に沿って歩いていけばいいんですよね?

ラック

ええ、一本道なので迷うことはまずないでしょう
ああ、忘れていました
ほら、これをどうぞ
途中の宿代です

といってラックさんは僕に袋を渡してくれる

この世界のお金は
銅貨
銀貨
金貨
白金貨
と分かりやすい

それぞれ100枚で上の通貨の一枚分だ
100銅貨で1銀貨と同じ価値といえば分かりやすいかな?

結構重たいその袋には銀貨と銅貨がたくさん入っていた

クロウ

こ、こんなにたくさん!?
絶対こんなに必要ないですよね?

ラック

念のため、ですよ
10銅貨もあれば宿は1泊できるでしょう
唯やはり短いとはいえ3日の道のり
往復を考えればそれぐらいは必要でしょう

どうやら気を使ってくれたらしい

少し・・・というかだいぶ多めに持たされたお金を僕は大切にポーチの中にしまいこむ

今の僕の格好は普段着

ヤマト学院に制服のようなものはないらしい

僕は受験票である紙とお金をポーチに

それに丸腰では危ないだろうということでもらった借りた剣を一振りと弓を持って

クロウ

あ、そうだ!
いけない、忘れ物!

思い出して僕は家に一旦戻る

そして羽の付いた特徴的な腕輪を一本つける

覚えているだろうか

ヤアタと初対面のときにヤアタの親の遺体からいただいた羽である

僕はそれをラックさんに頼んで腕輪にしてもらった

ただこれは二本いただいたうちの一本の羽を用いたものだ

もう一本の羽はラックさんに保管してもらっている

今度ラックさんにクロウ用の足につける輪にでもしてもらおうかなと考えている

ラック

ああ、それは確かに忘れられませんね
あなたのお守りのようなものですから

昔の話しついでなのだが

僕が捨てられた日に一本だけ渡されたナイフはラックさんに保管してもらっている

ちょっと・・・いまでも見ると悲しくなるからね

さて、今度こそ

ヤアタ

クロウ!
がんばって!

肩に重い感触、ヤアタだ

どうやら起こしてしまったようだ

ヤアタには昨日1週間ほどいなくなると言っているので問題はないはずだ

ラックさんに僕がいない間ヤアタの世話をお願いしたところ了承をもらえたので心配もない

クロウ

ヤアタ!起こしてごめんね?
これから行ってくるよ!
ラックさんの言うことちゃんと聞くんだよ?

ヤアタ

大丈夫!
ちゃんと待ってる!

ほんとに大丈夫かな?と少し苦笑

ラックさんとヤアタの間で会話は成立しないのでその点だけは心配だ

まぁ、傍目から見たら僕が一人で話しかけているだけに見えるんだろうけど・・・

クロウ

じゃあ、改めていってきます!

ラック

ええ、お気をつけて

ヤアタ

行ってらっしゃーい

二度目の一時的な別れの挨拶

見送りにヤアタも参加してくれた

僕は少しの不安と大きな期待を胸に歩き出す

まずは森を抜けて街道に出なければ

幸い街道までの場所は分かる

イチリンへは徒歩でおよそ3日

これからしばらく歩き続けることになる

僕は体に身体強化を纏わせて走り出す

クロウ

やっぱり体が軽いなぁ・・・
魔法ってやっぱりすごい!

身体強化はあれから練習して問題なく発動させられるようになった

普通は詠唱がこの魔法にもいるらしいが僕は魔力を体に定着させているだけなので特に必要はない

ここにきて無属性のいい点を一つ出来たな、と内心思う

身体強化の例を話そうか

たとえば、風属性なんてどうだろう
風属性の場合は自分の周りを風で覆うイメージが必要だ
風属性の身体強化ではスピードがほかの身体強化よりも速くなる
詠唱はこうだ

風よ、我に纏いて疾風の力を貸したまえ

これで発動するらしい

まぁ僕には詠唱がこれに限っては必要ないので多大なアドバンテージだと思う

さて、こんな話をしているうちにもうすぐ森を抜けそうだ

身体強化の影響でいつもよりぜんぜん早く動く僕の足はいつの間にか森の出口近くまで僕を連れてきてくれた

クロウ

さて・・・とのんびり歩いていこうかな!

語尾に”♪”が付きそうな呟きと共に僕は森を抜けた

ここから少し歩くと街道へ出る

後は道なりに行くだけだ

とりあえず、最初の宿になるであろう場所まで歩こう

街道の途中には宿が転々としている

旅の人やギルドの人が泊まるためだ

久しぶりどころかはじめての一人旅

それを思うと僕は自然と笑顔になった

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