クロウ

フッ!ハァ!セイ!

いつものように僕は日課の特訓をしていた

もう慣れたものだ、前など10回振ったら方で息をしていたというのに今では特に疲れを感じることなく長い間振れる

とりあえずこの日の最低ノルマである150回の素振りを終えると僕は昼時だということに気づく

さて、今日のご飯は何にしようか・・・

クロウ

149!150終わり!
さて、ご飯作らなきゃ!

とりあえず木剣を置いて家に戻ろうとする

すると方に大きな重みを感じる

ヤアタだ、最近はその大きな体を気にせず僕の体に乗せるもんだからなかなか重い、ていうかキツイ

ヤアタ

ご飯!
肉食べたい!肉!

どうやら先日食べさせたファングボアの肉が気に入ったらしい

弓の練習をしている際についでにラックさんに狩猟の仕方も教えてもらった、結果として森の中でたまに狩をして肉を仕入れている

ファングボアとは角の生えた大きな猪のことで

自慢の大角を使い相手を突進で貫き仕留める・・・といった先方を採る魔物だ

だが実際は一直線に突進してくるのでそれさえ見極めることが出来ればまったく問題なく対処が出来る

その肉がこれまたおいしく、ヤアタのように病み付きになってしまう

特に焼いたときなんかは最高だ

脂が滴り思い出しただけでもお腹がなってくる

クロウ

はいはい
じゃあお昼はそれにしよっか!

ヤアタに返事を返して家へと向かおうとする

そのときだった

ラック

クロウ!クロウ!
いますか!?
やっと分かりましたよ!
身体強化の魔法のやり方!

ドタドタドタと大きな音と共に吉報が僕に届いた

とうとう完成したらしい

これさえあれば魔法使いとも互角とは行かないまでも食いつくことは出来るはず

僕は突然の吉報に驚きつつも

クロウ

本当ですか!?
教えてください!どうやるんですか!

ラック

落ち着いてください・・・とは私もいえませんね
実際は簡単でした
あなた、魔法に対する耐性がほかより高いといっていましたよね

思い出してほしい

僕が妹であるエリアに魔法の実験台にされていたときのことを

ファイアアローは本来身体強化を施さなければ死に至ってもおかしくはない魔法だ

それをなぜか僕は体中のやけどだけで耐えれていた

なぜかは本当に分からない

だがおかげで今も生きているわけなのだが

クロウ

はい・・・そうですよ
僕はほかの人よりも魔法の耐性があります
死に至る可能性の魔法で火傷だけですんだり・・・

僕の言葉が段々小さくなる

しばらくはここでの生活で昔の家のことは忘れてしまっていたが久しぶりに思い出してしまい顔をしかめる

それを見たのかクロウさんは慌てて

ラック

す、すみません
いやなことを思い出させましたね
本当に簡単なことだったんですよ
あなた、常に自分の体を強化していたんですよ

どういうことだ?

僕が自分の体にすでに強化をかけていた?

どうもピンと来ない僕は首をかしげる

クロウ

それが、どうして魔法の耐性とつながるんですか?

ラック

あなた、かなりほかの人間より魔力があるじゃないですか
それこそ、あふれ出るくらいに
それを生存本能化何かで身に纏っていたんでしょう
結果として、あなたは魔法に対する耐性を持っていたように思ったんじゃないですか?

たしかに・・・僕の体には魔力がたくさんある

言われた通りあふれ出るくらいに

しかし、それを纏っていた記憶はない

クロウ

でも、僕纏っていた記憶なんて・・・

ラック

生存本能とはほぼ無意識の世界です
だから、記憶にないのは当然でしょう
むしろあったのならそれはそれで驚きですよ

で、私の推察ですが・・・

トラックさんは言葉を繋げる

ラック

あなたはもう、魔力の流れをコントロールすることが出来ます
これを全身に意識的に纏ってみてはどうでしょうか?
普通の身体強化はこれで発動できます

クロウ

なるほど、要するに
僕の魔力を体に纏ってみれば身体強化は発動するはず・・・ということですね

なるほど、確かに考えてみれば簡単なことだ

ほかの属性と同じ原理でやってみろということらしい

クロウ

なら、今からやってみますね!
スゥー・・・

意識を集中して、体中の魔力を表面に出す

それを薄く集中して体中にぴったりと付くように纏う

ラック

・・・

ラックさんはこちらをじっと見て事の成り行きを見つめる

続けて僕はさらに意識を集中させて纏った魔力を体に定着させる

何だろう・・・体が軽く感じる

段々と僕は軽く感じるようになる体に対して

こんなものか、と魔力を込めるのをやめる

クロウ

こんな感じですかね・・・

先ほども言ったように体がとても軽い

初めて魔力を開放したときみたいだ

ためしにさっきまで素振りに使っていた木剣を持ってみる

・・・驚いたなこれは

重さをまったく感じない

折角だしと僕はその剣を軽く振ってみる

重さを感じないし今までよりも早く振れる

ラック

どうやら成功のようですね・・・
一発で成功させるなんて驚きましたよ
普通はかなり練習が必要なんですがね
ですが・・・無属性の身体強化はどんな特性を持っているんでしょうね
こればかりは私にも完全に分かりません

そう、身体強化には全てに特徴がある

火であれば攻撃力が上がり
雷であれば帯電
水であれば防御力が上がる
風であれば風を纏って
そして光は継続的な回復能力

どれも身体能力の強化のほかにも特徴があり、一芸に秀でている

クロウ

僕にもまだ分かりません
でもとても楽しみです!
これからまだ何が起こるかわからないんですから!

そう、何が起こるのかわからないのだ

無属性、誰もいなかったからでこそ、僕だけの魔法が持てる

そんなことが僕には最高にうれしかった

ラックさんは僕を見て

ラック

フフフ
そうですね、どんな特徴が出るのかは分かりません
ですが私もとても楽しみですよ
これで、学校へ行く準備が出来ましたね
後は期間が来るまで練習しましょう

クロウ

はい!

学校はもうすぐ始まるらしい

僕はまだ17歳、今度まだ行ったことはないが国立山と学院の試験に参加する予定だ

時間はまだ少しある

それまでにこれを自分のものにしなくては・・・

クロウ

あ!そうだ、ご飯作らないとですよね!
待っていてください
ファングボアの肉を焼くんで!

ラック

フフ
それは楽しみです

これで学校へ行くための準備は整った

後は試験までにこれを練習していけばいい

僕はこの日、身体強化という新しい魔法を手に入れた

ヤアタ

ご飯!
ご飯はまだなのクロウ!?

クロウ

痛い!痛いってヤアタ!
突っつかないでって、これから作るから~

肩に再び止まったヤアタに突っつかれながら僕は家に戻り

ファングボアの肉を大急ぎで調理するのだった

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