クロウ

学校・・・ですか?

ラックさんの提案に大きく息を呑む

まぁたしかに僕は行くべき年齢に学校へ行っていない

だが、いまさらどうして・・・

ラック

あなた、世界を見たいのでしょう

ここにいれば確かに少しは私が教えることが出来ます

ですが、ここでは知るることが出来る情報が限られている

そこで、この提案と言うわけです

なるほど・・・確かにそうだ

ここでもう長いこと生活しているが、町へ出たことはまだ一度もない

世界を知る練習でもあるのだろう

でも僕にはひとつ気がかりなことがある

クロウ

・・・でも年齢的にどうなんですか?
僕・・・今は17歳ですよ
学校に通い始めるのは15歳からのはず
今から通っても浮いてしまうんじゃ・・・

まぁ、どちらにしても浮いてしまうだろうけど

と僕は内心に思う

するとラックさんは安心してくださいと微笑み

ラック

大丈夫ですよ
確かに中等部に入れば浮くでしょうが
あなたには高等部に入ってもらいます

なるほど

ちなみにこの国の学校ことを少しだけ離しておくと

小等部では12から15歳
中等部では15から18歳
高等部では18から20歳

といった感じだ

その中の高等部にいくことになるらしい

これなら年齢的な面で浮くことはないだろう

少し胸をなでおろしながら

クロウ

でも、僕町に行ったことなんてありませんよ?
今までずっとここか地下牢でしたし
言ったとしてももう覚えてないです

そう、僕は街に行ったことが恐らくない

恐らくと言うのはまぁ・・・小さいころに連れて行かれている可能性があるからだ

その後はずっと屋敷だったはずだし、後は地下牢

そしてここでの生活だ

ラック

それも含めて外を知るいい機会です
私は教えられることがもう少ないですしね
ああ、夏休みとかにはこっちに帰ってきてくださいよ?

そんな言葉を交えながらラックさんは笑う

・・・さて、どうしたものか

行くのは確かに僕の練習にもなるし損になることはない

でも、ここでの生活が一時的ながらも続けられなくなるのもきつい

あと、教えられることが少ないとはどういうことだろうか?

クロウ

え・・・教えられることが少ないってどういうことですか?

ラック

あなた、自分では気づいていないかもしれませんけど結構の見込みが早いんですよ
と言うかかなり早いですねこれ
座学に関してはもう教えられることないですし
戦闘面でも私から一本とっちゃいましたしね
鳥人と人間の戦闘力って結構違うんですよ?
鳥人の通常状態で人間の身体強化状態とほぼ同じですし
あとは、最後の身体強化を実現させればとりあえずは一区切りでしょう

・・・何と言うかいろいろびっくりである

座学は知ることが楽しくてやっていただけだし

戦闘も体力づくりと護身程度の実力がつければと思っていたぐらいである

魔法面はあの日からずっと魔力のコントロールを怠っていない、ずっと体の魔力を感じ取れるようにしている

クロウ

そ、そんなに・・・

ちょっと僕は乾いた笑いをだしてしまう

ラックさんは想像以上だ、と付け加える

ラック

確かに離れ離れになるのは寂しいですが
私はあなたの成長を優先したい
大丈夫、あなたなら試験も問題なく受かるでしょう
あなたにも、人間の友達が必要でしょうし

試験、友達、気になる点が出てくる出てくる

と言うか試験って・・・?

クロウ

え・・・?
試験があるんですか?

ラック

そりゃあまぁ、イチリンの国立ヤマト学院ですから
顔パスと言うわけにはいきませんよ
筆記と実技で模擬戦があるぐらいですかね
あなたの実力なら簡単でしょう

ラックさんは試験について軽く教えてくれた

筆記は問題ないとしても実技の模擬戦か・・・

大丈夫だろうか?

クロウ

模擬戦って・・・やっぱり相手は魔法を使ってきますよね?
僕、防御魔法も攻撃魔法も持ち合わせていませんよ?
どんどん魔力量は上がるのに・・・

そう、僕は魔法がご存知の通りひとつしかない

魔法ありの場合僕はなすすべもないだろう

しかしながら皮肉なことに魔力量はどんどん上がる

こないだなんか300000から350000にまで増えていた

ラック

それに関しては確かに心配ですが、試験までに今の無属性身体強化の魔法が完成させられれば問題ないでしょう
ここら辺の魔物を問題なく倒すことが出来るあなたなら、身体強化が使えればさらに上を目指せますよ
魔力に関しても考えてあります
安心してください

・・・どうやら僕のことを真剣に考えてくれた結果らしい

でも、僕はしばらくラックさんとヤアタ、それに森の魔物とぐらいしか会話していない

コネクトスピリッツは正直すごかった

相手の木が立っていなければ魔物であろうと動物であろうと会話が出来た

たまに狩に出かけるが、狩るのは暴走して木が立っている魔物だけだ

一度会話してしまうと情が沸いてしまってとてもじゃないが殺せない

クロウ

僕、友達出来るでしょうか?

ラック

大丈夫
いきなりは難しいかもしれませんがあなたは優しい子です
そのやさしさを理解してもらえれば自然と回りに人が集まりますよ

ラックさんはこう言うけども、ちょっと心配だな・・・

でもここまでお膳立てをしてもらって行かないだなんて言えない

それに僕としても町や学校に興味はあった

木が付くと僕にはもう断る理由がなく、学校への入学を承諾していた

クロウ

分かりました、僕・・・ちょっと怖いけど学校へ行きます

ラック

良かった・・・
あなたなら大丈夫
ああ、そうそう

とラックさんは続ける

ラック

元の家名を名乗るのは色々とまずいでしょう
あなたさえよければ・・・ですが
クロウ・バーロットと名乗りなさい

クロウ

え・・・いいんですか!?

僕は家から追放された身だ

そんな僕に事実上家名はなかった

それをラックさんと同じバーロットの性を名乗れるというなら感激そのものだ

ラック

ええ、あなたはもう私の家族ですから
拒否されたらどうしようと少し怖かったですよ
さぁ、私はそろそろまた研究に戻ります
近いうちに学校についての書類が届きますので目を通すようにしてくださいね

そういってラックさんは研究に戻った

僕はどうやらすでに行くのが確定していたみたいだ

もうすでに書類の手配をしているあたり、僕を行かせたかったんだなと思う

僕は少し苦笑しながらも午後の特訓を行うのだった

そして、今日から僕は

クロウ・レーデンン改め
クロウ・バーロットを名乗ることになる

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