はてさて・・・あの日からおおよそもう2年近くたった

時間の流れは速いもので僕はずっとラックさんと特訓、研究を繰り返す日々だった

座学もラックさんはかなり優秀だったようでこちらの方でも面倒を見てもらっている

僕の背はあまり変わらない、たぶんきちんと食べていない時期が合ったからだろうな

決して、決して成長期が止まったわけではないはず・・・

クロウ

・・・いきます

僕は目の前にいるラックさんを見据える

今は訓練の最中

最近はずっとこれをやっている

まだラックさんに一本も取れてないけど・・・

木剣はまだ構えず弓を構える

ラックさんお手製の短弓だ

模擬戦と言う形で今はラックさんと対峙する



ラック

・・・いつでもどうぞ

対するラックさんは木剣を構えている

僕はまずはじめに様子見として弓を一発撃ち込む

ラックさんは特に驚くこともなくそれをあっさりと木刀で弾く

あ、ちゃんと鏃は丸くしてあるから殺傷の心配はないよ、あたると痛いけど

それに対して僕は後続の矢を一本、また一本と連続で撃ち込む

出来る限り足元の方を狙い相手の機動力を落として剣で一気に近づき倒す

これがこの模擬線の作戦

5本目を撃ち込んだ直後に僕はラックさんへと走りこむ、その最中に弓を片手に持ち木剣をもう片方の手で抜く

クロウ

ハァ!

ガコン!

木剣同士がぶつかり合い音を立てる、ラックさんは木刀を受け止めた後に蹴りを放ってきた

ラック

フン!

やはり鳥人の身体能力とはすごいものだ

何とか後ろへ距離をとる形でかわしたが蹴りの衝撃か

風がブオン!と音を立ててこちらへと伝わってくる

蹴りをしっかりよけれたのを確信してから僕はまた走りこむ

足を振り上げた体制の今がチャンス

だがそれは向こうも分かりきっていることだ

急いでラックさんは体勢を立て直すとまた木剣で受け止められる

身のこなしといい剣の扱いといい正直どうしてこんなに強いのか分からない

何合か打ち合った後に痺れを切らした僕はまた距離を置く

そして弓に矢を番えて打ち込む

そう、僕は唯打ち込んでいるわけではない

走りながら打ち込む、短弓ならではの軽さを活かしたことだ

今度はラックさんの胴を目掛けて撃ち込む

さて、どうでる・・・?

ラック

なるほど・・・考えましたね、ですが

僕は今ラックさんの周りを囲むように走りながら撃っている

驚くことにラックさんはそれの全てを避けた

飛んで避けたりするりとかわしたり

いくら鳥人とはいえ流石にそんなことが出来るのだろうか?

や、今は余計なことを考えている場合ではない

また木剣を構えてラックさんのほうへ

だが今回は打ち合うつもりはない

クロウ

これで・・・どうだ!

ラックさんに木剣を振り上げて胴を狙う

そしてそれはもちろん弾かれる

だが、その前に僕は木剣から手を離す

ガン!

離したと同時にラックさんの木剣に僕の木剣は大きく弾かれる、だがすでに僕はそこにいない

ほんの少しだけ後ろに下がった僕は再び弓に矢を番えて撃ち込む

ラック

な!?

僕が剣を離したことにより驚いたラックさんは木剣を振り切った直後で避けることが出来ない

胴へとやが吸い込まれるように直撃する

ラック

ぐぅ・・・!?

ラックさんは少し苦しそうな声を出しながらも態勢を立て直そうとする

そんな暇は与えない・・・!

クロウ

でやああああ

剣を捨てた僕に近接用の武器はない

だが、僕はラックさんに突進を仕掛ける

距離が距離なだけにこれもすぐにあたった

ラックさんと僕は倒れこむ

そして・・・

クロウ

僕の・・・勝ちですね

まだ撃ち込んでいない最後の矢をラックさんの首下に突きつける

ラックさんは観念したのか

ラック

はぁ・・・私の負けです
強くなりましたね、驚きですよ
ここまで強くなってしまうなんて

少し咳き込みながらもラックさんは僕に賞賛の言葉を送ってくれた

・・・思った以上に矢が効いたらしい

後で謝ろうと考えながら、僕は何とか初勝利を収めたことに気づいた

クロウ

やった・・・!
初めてラックさんに勝てた!

僕は思わずガッツポーズをしてしまっていた

まぁ今まで何十回とやって勝てなかったのに今回やっと勝てたのだから今回ぐらいはいいだろう

喜びを前面に丸出しにしていた

ラック

本当に驚きですよ
魔法なしとはいえ私から一本取るなんて
正直ちょっと悔しいです・・・
私、これでも結構自身あったんですよ

そう、この模擬戦は魔法なしの勝負だ

魔法があれば僕は速攻で負けていただろう

と言うか魔法はあれしか使えない

今はまだラックさんと開発中だ

ラックさん曰く、次は身体強化の無属性版を作りましょう、だそうだ

正直滅茶苦茶楽しみである

身体強化さえあれば魔法使いともある程度戦えるようになる

僕は全力で協力していた、もう完成まで少しらしい

ここから先は私一人でやりますと言われるところまでは協力した、やはり最後の部分は自分で仕上げを作りたいんだろうなと思うことにしている

ラック

ですが、自分の獲物を手放してしまうのはいただけません
敵が一人だけならまだしも、複数いた場合にどうするんですか
自分の獲物は絶対に手放すことはないように!

クロウ

は・・・はい・・・

とまぁ、このように模擬戦が終わると反省点を毎度教えてくれる

正直思うんだけどこの人なんで研究者なのと思う

研究者のイメージってずっと実験実験のイメージだけど、ラックさんは剣の扱い・・・と言うか先頭に対して非常に手馴れているように感じる

まぁ特にわざわざ聞くようなことはしないが

ラック

さて、では今日はもう切り上げましょう
もうお昼ですしね

時刻はちょうど12時ごろ、ちょうどお昼の時間だ

最近は僕も料理を作っている

ラックさんに教えてもらって入るのだが・・・どうにもラックさんよりも上手に作ると言う目標の達成はまだ先になりそうである

クロウ

はーい

ラックさんと共に家の中へと入ると大きな鳥がいた

僕の身長が160センチくらいだけど、1メートルは流石にないだろうけどかなり大きな鳥が一匹僕のことを待っている

ヤアタだ

僕とであったころのあの小ささはどこへやら、まだ灰色だった毛は真っ黒になりしっかりと爪も生えている

普通の人が真近で見たら驚くだろうな・・・

クロウ

ただいまーヤアタ

ヤアタ

お帰り、クロウ
窓から見てたよ!
ラックさんに勝てたね!

どうやら見ていてくれたようだ

僕はうれしいような恥ずかしいような気持ちになる

・・・さて、そろそろご飯を作らなければ

今日は僕が作る日、きのこのシチューでも作ろうかと考えながら料理に取り掛かる

料理が出来上がりテーブルへと料理を持っていく

ラックさんはすでに席へ付いていた

僕は自分の分トラックさんの分をテーブルに置き

床にヤアタの分を置いた

ラック

いただきます・・・おお、またおいしくなりましたね

クロウ

あ・・・本当ですか!

僕は料理をほめられ頬が緩む

さて、自分も食べようか・・・

うん、おいしい

なかなかいい出来だと思う

ヤアタ

クロウ!
おかわり!

もう食べ終わったのかヤアタが声を響かせる

僕はよそいなおして再びヤアタの前へ置く

・・・食べ終わったころにラックさんが真剣なお話があると言って僕を外へと呼び出した

・・・なんだろう

外へ先に向かったラックさんを追いかけるように僕は後ろに続く

どうやら本当に真剣な話のようだ

今のラックさんの話は真剣そのものだった

ゴクリ・・・と生唾を僕は飲み込み言葉を待つ

ラック

クロウ・・・
学校へ行く気はありませんか?

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