アンティーク調の家具で揃えられたロビーは
まるで、お城の風景に見えた。
ここがロビーだよ。
わあ…素敵。
アンティーク調の家具で揃えられたロビーは
まるで、お城の風景に見えた。
そうかな?
「普通の家」だよ。
やっぱり…お金持ち…。
と思いながら、周りを見ていると
井戸を見つけた。
なぜ…館の中に…
私は思わず見とれ近づこうとした時だった。
その井戸には近づくな!
きゃっ!?
腕を思いっきり強く掴まれた。
あっ…ごめん。
つい…。
赤貴さんは我に返り腕を離してくれた。
なぜ…?この井戸に何かあるのだろうか。
…あの井戸は…近づいたり、覗いたりはしてはダメだからね。
次行こうか…。
…あの私やっぱりそろそろ帰ります。
…これ以上この屋敷内にいては危険な匂いがする。
そもそも…こんなところに井戸があるのがおかしい。
私は恐ろしくなり、そう伝えた。
そっか…。
ごめんね…玄関まで案内するよ。
あ、ありがとうございます!
赤貴さんには申し訳ないけれど…私は帰れることに安心した。
…ここだよ。
大きく白い扉。見ればすぐに玄関だということがわかる。
扉上には羽がついている金のカバがいる。一度見たら忘れないだろう。
…けれど
私はこの玄関を見た覚えがない。
やっぱり…誘拐された?
ありがとうございました。
では…さようなら…。
あれ…?
ニヤリ…。
…開かない?
…どうしたんだい?
…扉か開かないんです。
鍵は…掛かっていない。
開くはずなのに開かない。
なぜ…。
弱ったな…。
本当に開かない…。
赤貴さんは何か考え事をしたあと、こう言った。
…良かったら、扉が直るまで…ここにいなよ。
え…。
あいにく…出入口できるところはここだけなんだ。
どうしよう…。
いっそ…窓から飛び降りるか…?
いや…窓には檻がついており、開けることができない。
考えても答えは1つしかない…。
しばらくはここにいるしかない。
そうだ!
ここにいる間、君の部屋を用意させてもらうよ。
あ、ありがとうございます…。
私は結局、しばらくは館に居させてもらい、部屋に案内された。
さあ、どうぞ!
好きに使ってもらって構わないよ。
案内された部屋は…とても豪華で西洋のお姫様が暮らしているみたいな部屋…。
…本当に自分なんかが使っても良いのだろうか。
ただし…。
…夜12時を過ぎたら出歩かないこと。
お休みなさい。
あ…。
行ってしまった…。
赤貴さんが行ったあと、私は後ろを振り返った。
振り返えると…。
…こんばんは。
哀れなお姫様…。
だ…誰!?
メイドの格好をした小さな女の子がいた。
…この子、赤貴さんが居た時は部屋に居なかった。
まさか…。
いや…もしかしたら…どこかに隠れていたのかもしれない。
部屋には隠れられる場所が十分ある。
私は「クロア」。
…単刀直入に言うわ。
一刻も早くこの屋敷から出なさい…。
「出れなくなる前に」ー…。
えっ…そんな…!?
…ー出れなくなる…?
ー赤い花びらが散っていくー…。
ー続く