薔薇城 赤貴

ここがロビーだよ。

花宮 鈴

わあ…素敵。

アンティーク調の家具で揃えられたロビーは
まるで、お城の風景に見えた。

薔薇城 赤貴

そうかな?
「普通の家」だよ。

花宮 鈴

やっぱり…お金持ち…。

と思いながら、周りを見ていると

井戸を見つけた。
なぜ…館の中に…

私は思わず見とれ近づこうとした時だった。

薔薇城 赤貴

その井戸には近づくな!

花宮 鈴

きゃっ!?

腕を思いっきり強く掴まれた。

薔薇城 赤貴

あっ…ごめん。
つい…。

赤貴さんは我に返り腕を離してくれた。

なぜ…?この井戸に何かあるのだろうか。

薔薇城 赤貴

…あの井戸は…近づいたり、覗いたりはしてはダメだからね。

薔薇城 赤貴

次行こうか…。

花宮 鈴

…あの私やっぱりそろそろ帰ります。

…これ以上この屋敷内にいては危険な匂いがする。
そもそも…こんなところに井戸があるのがおかしい。

私は恐ろしくなり、そう伝えた。

薔薇城 赤貴

そっか…。
ごめんね…玄関まで案内するよ。

花宮 鈴

あ、ありがとうございます!

赤貴さんには申し訳ないけれど…私は帰れることに安心した。

薔薇城 赤貴

…ここだよ。

大きく白い扉。見ればすぐに玄関だということがわかる。
扉上には羽がついている金のカバがいる。一度見たら忘れないだろう。
…けれど

私はこの玄関を見た覚えがない。

やっぱり…誘拐された?

花宮 鈴

ありがとうございました。
では…さようなら…。

花宮 鈴

あれ…?

ニヤリ…。

…開かない?

薔薇城 赤貴

…どうしたんだい?

花宮 鈴

…扉か開かないんです。

鍵は…掛かっていない。
開くはずなのに開かない。
なぜ…。

薔薇城 赤貴

弱ったな…。
本当に開かない…。

赤貴さんは何か考え事をしたあと、こう言った。

薔薇城 赤貴

…良かったら、扉が直るまで…ここにいなよ。

花宮 鈴

え…。

薔薇城 赤貴

あいにく…出入口できるところはここだけなんだ。

どうしよう…。
いっそ…窓から飛び降りるか…?
いや…窓には檻がついており、開けることができない。

考えても答えは1つしかない…。

しばらくはここにいるしかない。

薔薇城 赤貴

そうだ!
ここにいる間、君の部屋を用意させてもらうよ。

花宮 鈴

あ、ありがとうございます…。

私は結局、しばらくは館に居させてもらい、部屋に案内された。

薔薇城 赤貴

さあ、どうぞ!
好きに使ってもらって構わないよ。

案内された部屋は…とても豪華で西洋のお姫様が暮らしているみたいな部屋…。

…本当に自分なんかが使っても良いのだろうか。

薔薇城 赤貴

ただし…。

薔薇城 赤貴

…夜12時を過ぎたら出歩かないこと。
お休みなさい。

花宮 鈴

あ…。

行ってしまった…。

赤貴さんが行ったあと、私は後ろを振り返った。

振り返えると…。

???

…こんばんは。
哀れなお姫様…。

花宮 鈴

だ…誰!?

メイドの格好をした小さな女の子がいた。

花宮 鈴

…この子、赤貴さんが居た時は部屋に居なかった。

まさか…。

いや…もしかしたら…どこかに隠れていたのかもしれない。

部屋には隠れられる場所が十分ある。

クロア

私は「クロア」。
…単刀直入に言うわ。

クロア

一刻も早くこの屋敷から出なさい…。
「出れなくなる前に」ー…。

花宮 鈴

えっ…そんな…!?

…ー出れなくなる…?

ー赤い花びらが散っていくー…。

ー続く

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