二つの薔薇がそれぞれ与えてくれるのは

赤い薔薇は…愛情を
黒い薔薇は…憎しみを

赤い薔薇はこう言った…貴方を愛しています
黒い薔薇はこう言った…貴方はあくまで私のもの

ーそして…。

赤と黒を混ぜた

赤黒の薔薇は…永遠のー…。

花宮 鈴

ここは…どこ?

私の名前は「花宮 鈴(はなみや すず)」。

気づいたら、私は見知らぬ部屋にいた。

花宮 鈴

ん…?

ふと…自分が寝ていた場所を見てみた。

花宮 鈴

!!

…私が寝ていた場所は…

まるでおとぎ話の白雪姫が眠っていた棺桶のようだった。

花宮 鈴

ど…どうして…。

これでは…私は…。

だが…毒林檎を食べさせられた覚えもない。
…あれ…ここにいる前の記憶が…。

花宮 鈴

ない…っ!!

どうやって…私はここに?
まさか…。

誰かに連れて来られた…?

私は一気に恐怖を覚えた。
私の頭の中は「逃げろ」と訴えている。

花宮 鈴

ここから…出なきゃ…。

震えながら、正面にあるドアに手を掛けた。

花宮 鈴

え…?

開かないと覚悟していたが…

すんなり開いてしまった。

花宮 鈴

…。

部屋を出てみると…。

いきなり目の前に階段があった…。
どうやら…下に続いているらしい…。

花宮 鈴

真っ暗…。
なんとか頑張って下に行かないと…。

私はなんとか手すりを使い、降りていく。

階段には私の足音だけが響く…。

花宮 鈴

きゃっ…!?

躓き、落ちる瞬間ー…。

危ない!!

突然誰かの叫びが聞こえて、気がつくと…。

???

セーフ…!

助けられていた。

もしも…落ちていたらと思うと…私は涙目になりながら、「命の恩人の彼」にお礼を言った。

花宮 鈴

あ、ありがとうございます…!

???

お礼を言われることはしてないさ。
助けるのは当たり前だろ。

彼はにかっと笑った。

薔薇城 赤貴

薔薇城 赤貴

俺はこの屋敷に住む次期当主「薔薇城 赤貴(ばらしろ あかき)」。
君の名前は?

花宮 鈴

私は…「花宮 鈴」です。

薔薇城 赤貴

鈴…。

薔薇城 赤貴

よろしく!

赤貴さんは自分の名前を呟き、一瞬、冷たい笑顔をしていた気がした…。気のせいだよね…?

花宮 鈴

それにしても、薔薇城…赤貴。
珍しい名前だなあ…。
ん…?この屋敷に住む次期当主…?

ということは…私がここにいる理由を知っているかもしれない。

花宮 鈴

…赤貴さん。
一つ聞いてもよろしいですか?

薔薇城 赤貴

…なんだい?

花宮 鈴

…私は…なぜ…ここにいるのでしょう?

正直…聞くのが怖かった…。
もしも…赤貴さんが…。

私を誘拐したのだとしたら…。

薔薇城 赤貴

…。

薔薇城 赤貴

…ごめん、俺にもわからない。

花宮 鈴

…そうですか。ありがとうございます…。

…なんか胸騒ぎがする。
なんでだろう…。

薔薇城 赤貴

せっかくだから、良かったら、屋敷内案内するよ。

花宮 鈴

どうしよう…。

本当は早く帰りたいのだけれど…。
赤貴さんは何も知らないみたいだし…良い人っぽい…。

花宮 鈴

ありがとうございます。
…じゃあ、少しだけ。

悩んだ結果、私は屋敷内を見せてもらうことにした。

???

…。

ー私はまだ知らなかった…。

私はどうしてここにいたのか…そして、この屋敷の秘密をー…。

ー赤い薔薇の花びらが落ちるー…。

ー続く

赤黒の薔薇ー始まりー

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