二つの薔薇がそれぞれ与えてくれるのは
赤い薔薇は…愛情を
黒い薔薇は…憎しみを
二つの薔薇がそれぞれ与えてくれるのは
赤い薔薇は…愛情を
黒い薔薇は…憎しみを
赤い薔薇はこう言った…貴方を愛しています
黒い薔薇はこう言った…貴方はあくまで私のもの
ーそして…。
赤と黒を混ぜた
赤黒の薔薇は…永遠のー…。
ここは…どこ?
私の名前は「花宮 鈴(はなみや すず)」。
気づいたら、私は見知らぬ部屋にいた。
ん…?
ふと…自分が寝ていた場所を見てみた。
!!
…私が寝ていた場所は…
まるでおとぎ話の白雪姫が眠っていた棺桶のようだった。
ど…どうして…。
これでは…私は…。
だが…毒林檎を食べさせられた覚えもない。
…あれ…ここにいる前の記憶が…。
ない…っ!!
どうやって…私はここに?
まさか…。
誰かに連れて来られた…?
私は一気に恐怖を覚えた。
私の頭の中は「逃げろ」と訴えている。
ここから…出なきゃ…。
震えながら、正面にあるドアに手を掛けた。
え…?
開かないと覚悟していたが…
すんなり開いてしまった。
…。
部屋を出てみると…。
いきなり目の前に階段があった…。
どうやら…下に続いているらしい…。
真っ暗…。
なんとか頑張って下に行かないと…。
私はなんとか手すりを使い、降りていく。
階段には私の足音だけが響く…。
きゃっ…!?
躓き、落ちる瞬間ー…。
危ない!!
突然誰かの叫びが聞こえて、気がつくと…。
セーフ…!
助けられていた。
もしも…落ちていたらと思うと…私は涙目になりながら、「命の恩人の彼」にお礼を言った。
あ、ありがとうございます…!
お礼を言われることはしてないさ。
助けるのは当たり前だろ。
彼はにかっと笑った。
薔薇城 赤貴
俺はこの屋敷に住む次期当主「薔薇城 赤貴(ばらしろ あかき)」。
君の名前は?
私は…「花宮 鈴」です。
鈴…。
よろしく!
赤貴さんは自分の名前を呟き、一瞬、冷たい笑顔をしていた気がした…。気のせいだよね…?
それにしても、薔薇城…赤貴。
珍しい名前だなあ…。
ん…?この屋敷に住む次期当主…?
ということは…私がここにいる理由を知っているかもしれない。
…赤貴さん。
一つ聞いてもよろしいですか?
…なんだい?
…私は…なぜ…ここにいるのでしょう?
正直…聞くのが怖かった…。
もしも…赤貴さんが…。
私を誘拐したのだとしたら…。
…。
…ごめん、俺にもわからない。
…そうですか。ありがとうございます…。
…なんか胸騒ぎがする。
なんでだろう…。
せっかくだから、良かったら、屋敷内案内するよ。
どうしよう…。
本当は早く帰りたいのだけれど…。
赤貴さんは何も知らないみたいだし…良い人っぽい…。
ありがとうございます。
…じゃあ、少しだけ。
悩んだ結果、私は屋敷内を見せてもらうことにした。
…。
ー私はまだ知らなかった…。
私はどうしてここにいたのか…そして、この屋敷の秘密をー…。
ー赤い薔薇の花びらが落ちるー…。
ー続く