魔界の辺境にある叔父の屋敷で、フェインリーヴは悲痛な面持ちと共に、寝台のクッションに背を預けながらこちらを向いている叔父の手に温もりを重ねていた。
いつ見ても、儚く細い、今にも消えてしまいそうな手だ。子供の頃から、ずっとそう思っていた。
凶悪性があり、屈強で弱さを知らなかった自分の父親の実弟とは思えない、真逆の肉親。
公爵位でありながらも、こんな魔界の辺境に叔父が身を寄せているのは、煩わしい争い事や権力闘争から遠ざかる為。
弱肉強食の世界に在って、彼のように生まれつき病弱な魔族には、王族の立場はさぞ辛い事だろう。