ヤアタと出会ってから次の日、僕は課題が一段楽したところでラックさんに尋ねる
今は家で朝食の終わった後だった
ちょっと予想外な展開ではあったけどしっかりと課題は達成した
結果として僕はヤアタというパートナーを得た
ラックさん、無属性の魔法って結局のところどういったものなんですか?
ヤアタと出会ってから次の日、僕は課題が一段楽したところでラックさんに尋ねる
今は家で朝食の終わった後だった
ちょっと予想外な展開ではあったけどしっかりと課題は達成した
結果として僕はヤアタというパートナーを得た
そうですねぇ・・・
課題もしっかりと達成できたことですし
そろそろお話しましょうか
時にクロウ、あなたは魔物をどう思いますか?
ラックさんは食後のコーヒーを飲む手を止めて僕と向き合う
どうやら魔法について教えてくれるらしい
僕は胸を跳ね上がるのを感じながらその疑問に頭を抱えた
どうって・・・そりゃあ怖い
怖いけど全部が怖いとは僕は思えなかった
魔物にもきちんと感情がある
大体魔物を怖いとか言い始めてしまったらヤアタも怖いと言うことになってしまう
ヤアタも一応鳥型の魔物に分類されてしまうらしいからね
もちろん怖いです、人のことを襲うし
でも全部がそうではないと思います
ほう、それはどうして?
僕の回答に興味を持ったのかラックさんが再び質問を投げかける
何でって言われてしまうと正直なんでなんでしょう?
でも、僕とヤアタはこうして仲良くやっています
魔物とも心を通わせることが可能なんではないでしょうか?
ラックさんの返答を待つ
どうやら少しラックさんは安心しているようだ
何でだろう、僕が何かおかしなことを言ったのだろうか
そう考えているとラックさんは
そうですか・・・
あなたがそういった人物でよかったです
では、魔法の実験に移るとしましょう
え・・・?
どういうことなんだろう?
僕は良くわからないまま立ち上がり別の場所へ歩いていくラックさんについていく
どうやら家の外に行くようだ
え・・・と
ラックさん、そろそろ魔法について知りたいんですけど・・・
・・・何をしているんですか?
僕はラックさんの後ろに付きラックさんの様子を探る
どうやら何かを地面に書いているようだ
書いている途中であろうラックさんはいったん手を止め
簡単に言います
あなたには魔物の声を聴きたくはありませんか?
まぁ正確には声というよりは感情を読み取る、と言うことなんですが
要するに意思疎通できるようになりませんか?
と言うことです
・・・?
何を言っているんだろう?
僕ははじめは良くわからなかった
魔物と意思疎通が出来るようになる?
そんなことが可能なんだろうか?
魔物と意思疎通・・・ですか?
どんなことが可能なんですか?
ええ、恐らくは
とラックさんは頷く
と言うことはヤアタが何をしたいのかとかがわかるようになると言うことだ!
僕はついつい興奮してしまい
そ、それって
ヤアタとおしゃべりが出来るって言うことですよね!?
ぜひともなりたいです!
そんな僕にラックさんはフフッと笑いかける
ええ、先ほども申したとおり正確には感情を読み取るなので会話が出来るようになるのかはわかりませんが・・・
まぁ、何を考えているのかは練習次第でわかるようになると思いますよ
・・・すごい
僕は素直に感心した
魔物と言えば普通、人からすれば害悪だ
人を殺し、殺される
別に憎いと思ったことはないが怖いと思ったことはある
あのときのウルフのことを思い浮かべる
あのとき、僕が彼の言葉をわかっていれば僕は彼と戦わなくてすんだかもしれない
結果として殺してしまったがそれがもしかしたら仲良くなれるかもしれない、それはとっても素敵なことだ
ラックさんは再び地面に何かを書き始める
段々何を書いているのかがわかってきた
・・・魔方陣のようだ
どうやら書き終わったらしいラックさんが立ち上がる
さて、クロウ
もう一度聞きます、本当にいいんですね?
確かにこれは魔法です、それもまだ誰にも知られていない
私ですら扱えない魔法です
ラックさんですら扱えない?
どういうことだろうか?
僕に出来るかもしれなくてラックさんに出来ないことなんて本当にあるんだろうか?
ラックさんにも扱えない?
どういうことですか?
この魔法・・・まだ名前もありませんが
この魔法は無属性のあなたにしか扱えないのです
ほかの属性がある人にはこの魔法を使う際に属性を含んだ魔力が邪魔になってしまいましてね
絶対に発動できないんですよ
ラックさんは気づいていないだろうが今のラックさんの目はとても輝いていた
まるで夢を追いかける少年のように
ですが!あなたは純粋な無属性!
この魔法を試せる恐らく唯一の存在なのです!
実験台にするようで本当に心苦しいのですが
どうか・・・どうかお願いします
そういってラックさんは僕に深々と頭を下げた
僕は目の前の光景に少々戸惑ってしまう
頭を下げることはあっても下げられることはなかったからね
でも僕はラックさんのお願いを拒否する理由なんて何もない
初めての魔法、心踊る響きと、ラックさんへの感謝
僕を必要としてくれると言ううれしさ
ここまで感じていて断れと言う方が無理な話だろう
頭を上げてくださいラックさん
僕はあなたにとても感謝をしています
あなたは僕を2度も助けてくれたし
僕はあなたに出会うことによってこうしてチャンスを得ることが出来た
ヤアタって言う親友パートナーも出来ました
それに、魔物と会話できるかもしれない打なんてとっても幸せじゃないですか
だから・・・
僕はそこまで言うと
お願いします!
ラックさん!
僕に魔法をください!
出せる限りの声で言葉をつむぐとともに頭を今度は僕がラックさんに下げる
ラックさんは目を見開くが、すぐにいつもの優しい顔に戻り
ありがとう・・・ありがとう・・・
何かあればすぐに実験はとめますので安心してください
では、その魔方陣の上に立ってください
僕は頭を上げラックさんの言われたとおりに陣の上に立つ
少し緊張するな・・・
わくわくとともに今度は少しずつ体がこわばってくる
魔法陣の上に立ったのを確認するとラックさんは真剣な顔つきに変わり
では・・・はじめます
クロウ、魔力を流すことは出来ますか?
いえ・・・
測定のときに水晶に手を掲げて図ったことしかないので・・・
それを聞くとラックさんはこちらへ歩いてくる
そして僕の手を握った
なんだろう・・・?
とっても暖かいものが流れ込んでくるような・・・
腕を包み込むように何か暖かいものがくるのを感じる
一定のところまで行くとそれは止まり今度はそれを押し返す・・・
どうやら押し返しているのは僕の魔力のようだ、それを証拠に僕は自分の意思で押し返しているのがわかる
今、私の魔力を押し返しているのがあなたの魔力です
それにしても驚きました
強大な魔力とは聞いていましたが・・・
まさかこれほどとは
どうやらやはり、あなたを選んで正解だったようです
僕はその言葉についついにやけてしまう
にこりと笑いかけるとまた陣の外にラックさんは出て行く
そして
これで魔力を流すやり方はわかったはずです
どうですか?
自分の魔力を知った感想は?
すごく、すっごくあったかいです
何だろうとっても気分がいいです
今までは数値でしか自分の魔力を知らなかったが効して肌で感じてみるととってもいいものだ
今の僕はとても気分がいい
心臓の方があったかく感じる
それは行幸
では、続きと行きましょう
その陣に魔力を流してください
ああ、少しで大丈夫ですよ
僕はラックさんに言われたとおり魔力を流す
するとどうだろう、魔力を得た魔法陣がどんどん光って
・・・!
いけない!
離れてください!
え・・・?
僕は突然のことに対応できず
とても強く光る陣から動けなかった
そして・・・
大きな音ともに僕のいた場所を中心に土煙が広がった