にしても良い天気だなー。

うん。暖かい

入学式に相応しい快晴。
青い空に散りばめられた小さな雲。
見ているだけでも心が落ち着く。

……圭、

何?

暖かい、よな?

うん

ならもう少し離れてくれ。近すぎる

……はーい

通学路はひたすらに住宅街を歩いていく。
道路は広いが、二人で横並びに歩けば通行の邪魔になってしまうだろう。
きっとそこら辺を……考慮したんだよな?

あ、そういえば圭、

……なに

半歩分ほど距離を空けた圭が、ぶすっとしながら返事をする。

今日、入学生代表の言葉があるよな、大丈夫か?

覚えた通りに話すだけ

そ、そうか

それなら……心配いらないか。
そもそもそういうものって、学校側が用意しているんだろうか。
もし圭本人が書いたんだとしたら、おかしなものになる可能性も――

そろそろ着くけど緊張してるか?

歩いて十分もしていないのに、校舎が視界に入った。
我ながらいい条件の物件を選んだと思う。
月二万五千円で学校に徒歩十分、最高だ。

してない。
たぶん、しない

だろうな

小学生の時こそ、体操着に着替える際よく頬を染めてこっちをみていた圭も、今や年中クールフェイス。
緊張する瞬間なんて想像もできない。

今の方がよっぽど緊張してる

ん? 今何かいっt

女生徒

ねぇっ! あれって……!

圭の声が聞こえた気がして確認をしようとしたとき、
ひそひそ話にしては大きい、女子の声が僕の耳に入った。

女生徒

うんっ日浦君だよ!
やばい……本物すごくかっこいい!

女生徒

だねだね!
一緒の高校入れて幸せ~

黄色い歓声は勢いを増す。
懸命に聞き耳を立てる僕と違って、圭は全く気にしていないようだ。
慣れっこなんだろうな。
羨ましい。

女生徒

隣の人もっ…………
……うん、微妙だね

女生徒

そ、そうだね、悪くないけど……微妙、だね

ああ、コレは慣れっこだ。
ぜんっぜん嬉しくないけど。

校門の直前まで歩を進めると、気付く。
多くの生徒がこちらを、彼、日浦圭のことを見ていることに。
圭と僕を較べて、僕が勝っている部分を探すなんて至難の業。
それでも僕は……彼女を作るんだ、今年こそ……!

よし、行くぞ圭

うん。到着

こうして僕らは、
多くの人の視線を浴びながら、
浦槇高校に、初めての一歩を踏み込んだ。

pagetop