さて・・・まずはここまでの状況を整理してみよう

僕は貴族 レーデン家に生まれた

何不自由のない生活を送らせてもらい将来はレーデン家の跡継ぎとしてある程度の礼儀と作法を教えられてきた

一つしたには妹エリアがいた

いつも隣をてくてくと歩いてきて兄様、兄様!
とどこに行くのにも隣にいた

そんな幸せな毎日がこれからも続くと思っていた

12歳の誕生日の日に全ては変わってしまった

僕の魔力量はこの年の平均を大きく上回っていた

父様はこのことに大変喜んでいた

続いて属性検査・・・何も起きなかった
無属性、聞こえはいいかも知れないがいってしまえば属性なし

この世界では魔法が基本的に全てだ
火風水雷光の属性があり、人間は全てこれのうちの一つを必ず持っている

例外はない、僕が生まれるまでは

属性なしと言うことは魔法が使えないに等しいことだ

下級魔法 フレイム
この魔法を例にあげてみようか

まずは属性、言わなくてもわかるだろうがこの魔法は火属性だ

よって火属性を持っているものは恐らくこれ皆使える基本的な魔法だ

手から火を出す魔法、想像はそれでかまわない

体に流れている火属性の魔力を手に集約させてそのまま放つ

下級なのでこんな程度で発動するが等級が上がればあがるほどにイメージ力が必要になってくるし魔力も比例してさらに必要になってくる

簡単に言ってしまったが伝わっただろうか?

エリアが僕に魔法を放ったときに杖を使っていたじゃないかって?

あれは魔力の形成をサポート、要するに補助具だ

別に必ず必要と言うわけではない

が、あれば魔法の威力は変わってくるだろう

次に詠唱についてだ

この魔法の場合「燃やせ フレイム」

これで良い、要するに必要なのはイメージだ

基本的に火属性は対象を燃やす魔法を得意とする攻撃的な属性のため、戦闘では扱いやすいだろう

さて、話が少し飛んだかな

結果として、僕にはそれらの各属性を扱うための属性がない

これがどういうことかわかるだろうか?

そう、魔法が使えない・・・と言うか扱える魔法がない

属性がないと言うのはこういうことだ

魔力があっても所詮は宝の持ち腐れ、僕が捨てられたのはこれが原因だ

扱いがひどくなってからはひどかった

今までやさしくしてくれた父の様子は一変して変わりゴミを見る目へ

妹は最初は戸惑っていたが恐らく父か使用人に教えられたのだろう、僕が出来損ないと言うことを知り始めは距離を置き、徐々に父と同じようになった

母は最後まで僕を庇ってくれていた
そして会うたびに僕に謝っていた

使用人たちも途端に態度が変わったっけな

僕はこんな状況がいやで徐々に外への憧れを強く持つようになった

そんな僕に良いのか悪いのかわからない出来事が起こった

父が再び属性検査を僕にやらせた

わざわざ地下牢まで来て屋敷の中庭で行わせた

結果は変わらず・・・いや、また魔力量は上がっていたな

そして僕はこの日、16歳の誕生日だと言うことを知った

父は呆れ、僕を完全に捨てた。
せめてもの情けとして一振りのナイフとともに僕を転移させた

転移魔法は何属性なのかって?
残念ながらあれは無属性ではないよ、光属性だ

僕の両親はどちらも光属性だ

森へ転移された僕は目覚るやいないやウルフに襲われた

僕は体中傷だらけのウルフにナイフを突き刺して殺した・・・らしい

らしいと言うのは怖くて少し身をそらしたときにぶつかり、そのときに結果としてウルフの腹部に刺さった

僕は初めて生き物を殺したと言う事実に気分が悪くなり嘔吐

腹の中のものを一通り出しつくした後、強い疲労感に襲われて意識を手放した

次に目覚めた僕はベッドに寝転がっていた

どうやら、誰かに助けてもらったらしい

目覚めて少し辺りを見渡すとここが木製の家と言うことがわかった・・・そして驚くことに鳥人と出会う

ここで鳥人について補足しておこう
鳥人は人間が進化の途中で魔物を取り込んだ人種だ
しかし、鳥人族は人間と比べると圧倒的に人口が少ない
だが、人間よりも圧倒的に身体能力が高い
出会っても人生で一度見れればラッキー程度だろう
僕が驚いたのはこれが理由だ




魔法の研究しているらしいこの鳥人は僕に暖かい料理を振舞ってくれた、そして僕の今までの話を全て、何を言わずに聞いてくれた

そして、拒絶をしないでくれた

そんな彼は僕にこんな提案をする

ラック

私はラック
もしよければ、私の魔法の研究に付き合っていただけませんか

聞けば彼はなんと無属性の魔法の研究をしているらしい

助けてもらった僕としては恩返しの出来るチャンスと同時に魔法を使えるようになるチャンス

藁にもすがる思いで僕はそれを快諾する

こうして僕とラックさんの
奇妙な生活が始まるのだった

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