ふたりの寝室に戻ると、怜一郎さんはドアの鍵を閉めた。
そのまま、あたしの体を壁に押し付けると、強引に唇を奪った。
これはやばい。非常にやばい。
今までなにもなかったから安心していたけど、さすがにこれはやばいんじゃないだろうか。
くちづけがあまりにも長くて、深いものだったから、慣れないあたしはすぐに息ができなくなってしまった。
そんなあたしに気づいたのか、怜一郎さんは唇を離した。
ふたりの寝室に戻ると、怜一郎さんはドアの鍵を閉めた。
そのまま、あたしの体を壁に押し付けると、強引に唇を奪った。
これはやばい。非常にやばい。
今までなにもなかったから安心していたけど、さすがにこれはやばいんじゃないだろうか。
くちづけがあまりにも長くて、深いものだったから、慣れないあたしはすぐに息ができなくなってしまった。
そんなあたしに気づいたのか、怜一郎さんは唇を離した。
…おまえは、誰のもんだ?
誰のものだなんて、そんな言い方…
おまえは俺のなんだ?
至近距離でそう問われ、あたしは恥ずかしさに真っ赤になりながらも答えた。
…怜一郎さんの、妻です
だよな。じゃあ、俺のもんだろ?
………はい
屈辱だ。また、振り回されてる。
あたしが屈辱に涙を浮かべそうになっていた時のことだった。
なら、俺以外の男に気安く触らせんなよな…!
え
あたしは思わず顔を上げ、まじまじと彼を見つめた。
余裕のない声、真っ赤に染まる頬。
それから、あの言葉。
これってもしかして。
…やきもち…?
あたしは信じられない、と思いながらも尋ねる。
すると彼の頬は、さらに真っ赤になった。
うるせぇ
あ、もしかしてこういうこと。
やっと結人さんのしたことの意味がわかった。
大丈夫よ、結人さんとはなにもないから
なんでおまえがあいつのこと名前で呼んでんだよ
ためしに挑発してみると、あっさり引っかかってくれた。
なんで怒ってんの?
怒ってねぇよ、バカ
怒ってるじゃない
怒ってねぇ
…やばい。これはおもしろい。
はまっちゃうかもしれない。
怜一郎さんにもかわいいとこあるのね
怜一郎さんの腕から抜け出して、あたしはにっこりと笑いかけた。
楽しすぎて、くるりと一回転までしてしまう。
…か、かわ…っ?
うん、とってもかーわい♪
あたしはスキップまでしていた。
…おまえは、全然かわいくねぇ
その言い方にむっと来て、言い返そうと振り返る。
でもそれはうまくいかず、気がつくとベッドに倒れこんでいた。
きゃ
あたしの体をまたぐように、怜一郎さんもベッドの上に乗ってくる。
あたしは慌てた。
…やばい、調子乗りすぎたかも。
おまえ、もう寝ろ
でも予想とは違い、彼の体はすぐに離れた。
一言だけ放って、さっさと部屋を出ていく。
あたしは安心しながらも、拍子抜けして、なんだか自分でもわからない気持ちを持てあぞぶばかりだった。
わざと大きな音を立てて、ドアを閉める。
そのまま壁に背をつき、溜息をついた。
いらだちに髪をかきあげる。
…マジなんなんだよ、あいつ…ッ
こんなに心乱されるのは、何故なのだろう。
出会った日から、俺は彼女に振り回されてばかりだ。
――あぁ、くそ。
なんでこんなに苦しいんだ…