経次郎の家族

静香

あんたの家族は?

経次郎

父さんと母さんと兄さんと妹。
普通の家庭だよ。

静香

普通……?

慶子


妹これだよね?

弁慶

うぬはそれでも妾か!

 ↑ 中身、コレだし……。

経次郎

まあ、ちょっと、父さんはアレだけど……。

そうだ、父親も変だって言ってた……。

静香

海尊だっけ?

経次郎

うん……。

経次郎

ボクが生まれた時、狂喜乱舞したって、親族の語り草になってるし……。

海爾

ふっ、ふふふふふふ

海爾

とうとうお生まれになられた。
殿が……殿がぁあああ~!

経次郎

って、病室で大騒ぎしたって……。

静香

…………。

普通か?

経次郎

兄ちゃん、それでちょっとグレてる。

静香

お兄さん、いるんだ?

経次郎だもんね。

静香

経一郎とか?

経次郎

ううん。
佐助。

静香

そう……。

佐助?

普通かな?
ホントに……。

経次郎

兄ちゃんと母さんは普通だから。

静香

そう……。

普通の領域が狭まった……。

静香

まさかと思うけど、
またブラコンなの?

経次郎

ん?

経次郎は、ちょっと目を伏せた。

経次郎

兄ちゃんのことは好きだけど、
兄上とはやっぱり違うよ。

佐助

このクソ親父が!!

経次郎

なんて、兄上は言わないし。

静香

お父さんと仲悪いの?

経次郎

うん。父さん、財宝探してて家にいなかったから。

静香

お父さんのお仕事、何?

経次郎

トレジャーハンター。

財宝を探す人のことだよね?

静香

財宝、探してるの?

経次郎

うん。そう。

経次郎

でも、金銀じゃなくて遺跡の方かな? インディージョーンズみたいなやつ。

静香

へえ……。

怪しすぎるだろ?

経次郎

それで、父さんが帰ってくると、兄ちゃんと喧嘩になるんだよね。

佐助

いつまでそんな夢みたいなもん追っかけてんだよ。母さんに悪いとか思わないのか?!

海爾

夢ではない!オリハルコンは世界のどこかにまだある!!

佐助

そんなもん、あるわけないだろ!ちっとは家に金入れろ!!!

海爾

家のことは母さんに任せてある!!

佐助

それが一家の大黒柱の言うことか!!!

兄ちゃんとは、いつもそんな感じ。

でも、ボクには……、

海爾

殿、間もなく勇者の剣が完成しますぞ。

海爾

オリハルコンが見つかれば、それでつなぎ合わせるだけです!

経次郎

父さん、一般の高校生は、勇者の剣なんて使わないよ。

海爾

むむ。それならば賢者の石はどうか?

経次郎

賢者の石って、何に使うわけ?

海爾

何でもできまする。

海爾

殿を現世に御迎えできたのは、賢者の石があったればこそ。

静香

はい?

怪しすぎるでしょう……?

経次郎

ボク、父さんの息子なんだよ。
その言葉づかい、やめてよ。

海爾

わかっております。
殿に一般人の生活を味わっていただくために、ワシは普通の親父を演じておりますのじゃ。

経次郎

演じてるとかじゃなくてね、
父さんなんだよ。

海爾

殿のご命令とあらば。

経次郎

あー、じゃもう。命令するから、ウチにいて、生活費を入れてよ。

海爾

はっ!かしこまりました!!

経次郎

その言葉づかいもやめて。

海爾

はっ!

経次郎

直ってないし……。

佐助

ふざっけんな!クソ親父がいるんなら、俺が出て行くぞ!!

経次郎

兄ちゃん、我慢してよ……。

佐助

うるせえ。お前の言うことなんて聞けるか。

慶子

佐助お兄ちゃん、出て行っちゃうの?

佐助

慶子……。

慶子

お兄ちゃんが出て行っちゃうと、
慶子、悲しいな……。

佐助

行かねえよ。
可愛い慶子を置いて、行くわけねえだろ。

慶子

よかった。
お兄ちゃん、大好き。

佐助

しょうがねえな。

慶子

へっ
ちょろいな。

経次郎

こういう家だよ。

静香

へー……。

普通じゃない。
この家、絶対に普通じゃない……。

経次郎

父さん、もう半年も家にいるんだ。

静香

うちのパパ、もしかしてすごく家庭的なのかもしれない……。

静香

それで、お父さんは生活費を入れたの?

経次郎

入れたみたいだよ。
持ってた骨董とか売ってたから。

静香

骨董?

経次郎

平安時代、末期の壺とか……。

静香

お父さんの年っていくつ?

経次郎

戸籍の上では53歳……。

静香

そう。戸籍上は、なのね……。

経次郎

うん……。

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