ここは宇津喜美子の夢の世界。
ここが「渦と稲妻」なのには理由(ワケ)がある。
それは、夢の主である宇津喜美子が現実世界で悪夢を観ているからに他ならない。
ここを眠井朝華が求める世界に変えるには
イイユメツールで悪夢の化身と戦い、
やっつければ良い。
簡単な事である。

夢の住人

こんな世界じゃ、
落ち着いて暮らせないよ。

と言う事で、
みんな御待ちかねの眠井朝華さ~ん
出番だよ~!

眠井朝華

は~い!!

眠井朝華

そんな呼込みされても、
恥ずかしいのは変わらない。
むしろ恥ずかしい!

何故か、夢の住人に呼込みで登場した眠井朝華。
前回既に登場していた事には、触れないで戴きたい。完全にノリで書いてしまったのだから・・・。

さて、
眠井朝華の目の前には悪夢の化身が暴れている!!
外観は見るからに幼児そのものだ。
悪夢の化身は積木を手に取り、眠井朝華に投げつけた!

悪夢の化身

この形は気に入らないでちゅ~!

眠井朝華

ちょっと、危ないじゃない!
当たったら、ど~するの!
馬鹿!

悪夢の化身

この色は気に入らないでちゅ~!

眠井朝華

危ないって、言ってるでしょ~。
分からない子には、お仕置きが必要ね!

悪夢の化身

なんか、
うるさい奴が居るでしゅ~。
おばさん消えるでしゅよ!

眠井朝華

イラ・イラ・イラ・イラ・イラ・イラ・イラ・イラ・・・

眠井朝華

中二病じゃなくて、
中二の女子を捕まえて、
オバサンって何よ~。

あんたが消えなさい!
この夢には不釣り合いよ!

悪夢の化身

あの玩具(オモチャ)、生意気でしゅ~!
この車に跳ねられちゃえ~!

眠井朝華

あっぶな~い。
何処見て運転してるのよ。
シャレにならない!

悪夢の化身

コースが悪いでしゅかね?
避けられました。

このベットの上でクルクル回る玩具は
何ですか?

悪趣味でしゅ~!

ボクのしぇんしゅ(センス)に合わないから
要らないでしゅ~!

眠井朝華

だ・か・ら~
あ・ぶ・な・いでしょ~が!!

折角ご両親がキミの為に・・・。
キミの為に配置した玩具を
捨てるなんて、ワガママの極みね!

親不幸もの~!

悪夢の化身

親なんて知らないでしゅ~
知らないものは、しらないでしゅ~
どうせあいつ(宇津喜美子)が勝手に
想像したに決まってるでしゅ~

ボクには要らないでしゅ~

眠井朝華

あっそ

何故か悪夢の化身と、口論をしている眠井朝華。
イイユメツールを使わない限り倒せないのだが、
この状況を楽しんでいる!?
それとも、忘れている!?
中々終わらない戦いを見兼ねて、
夢の住人がカットインする。

夢の住人

いつまで、遊んでいるんだ~!
さっさと、やっつけるんじゃないのか?

眠井朝華

なんで、あんたがキレてるの?
ばっか、じゃないの?

夢の住人

おまえ、やけに冷静だな!
さては、ワザとやってるのか?

眠井朝華

たまには、
有難味を分からせてやろうと、
思っただけだよ。

ただ、それだけだ!

眠井朝華

悪夢の化身を倒しても倒さなくても
現実世界では、
夢の主の目覚めがすっきりするか
しないかの違いだけでしょ~。

これは私の悪癖であって、
私の意思次第だったはずなのに
倒して当然みたいなキミの態度が
悪夢の化身よりも気に入らない!

夢の住人

何故だ!
何故説教されなければならないのだ!
こんなのが、英雄なのか?
英雄だと思って期待していたボクが悪かった。
でも・・・。

夢の住人

申し訳ございません。
現実世界はそうでも、
こっち(夢)の世界が平和になります。
どうか、倒してください。

眠井朝華

は~い!

眠井朝華はイイユメツールを駆使して、
幼児が喜びそうな玩具を与え続けた。
いつ頃だろうか?
幼児は遊び疲れたのか、眠ってしまっていた。
眠井朝華は残り僅かな体力で、可能な限り幸せそうな幼稚園を想い描いた。

周りの景色とともに、
悪夢の化身は幼稚園に吸い込まれていく。
一瞬ではあるが、色の無い世界「無」が現れ
やがて奇麗な色の世界が広がっていく。

眠井朝華

私が求めていたものは、この景色よ!
この景色を観る為に、
恥ずかしい恰好までして
戦ってるのだから・・・。

夢の住人

それは、良かった。

残念ながら、この景色も長くは続かない!
間もなく夢の主が目を覚ます頃だから・・・。

眠井朝華は、名残りおしそうに
宇津喜美子の夢から姿を消していく。

眠井朝華

まだ、覚めないで!
なんて言うのは贅沢だよね。

なんせ夢の主は、私じゃないから。
さようなら、私の奇麗な世界。

眠井朝華

終わってしまった。

宇津喜美子

先生~!
先生~!

先生

何ですか、突然?

宇津喜美子

いつも観る怖い夢を、
さっきは観ませんでした。

寝かせてくれて、ありがとう!

先生

寝不足で、厳格を観ていたのでしょう。
今日からは、ちゃんと寝ましょうね!

宇津喜美子

はっ、は~い!

あとね、話した事も無いのに
隣のクラスの眠井さん、
眠井さんが夢に出てきたの!

何かの暗示なのかな~?

先生

それは、分からないけど。
今度、お話ししてみれば良いんじゃない?
仲良くなれるかもね。
ハハハ!

宇津喜美子

そ~する~。
じゃぁ~ね~。

先生

何故なんだろう?

ここで夢を観た子は、
必ず眠井さんの話をするわね。

不思議だわ!

先生はそんな事を思いながら、
今日も業務をこなすのであった。
眠井朝華は、自分の欲の為に戦っていても、
結果的には、誰かを救っている。
結局、他者とは無関係ではいられない
理(ことわり)なのだろうか?

眠井朝華はいつになったら
教室に入る事が出来るのだろうか?

眠井朝華の戦いは続く・・・。

誰の為でもなく自分の為に・・・

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