真帆との記憶を消せばいいのだ。
涼七が言っていたように忘れさせるのだ。
えー! フラれただとおー!?
うん……でもちゃんと告白できたからいいんだよっ
で、元カノが忘れられないからって言ってるの?
そうみたい……私じゃかなわないほど素敵な人なんだよきっと
いやいや! 許さんー! ちょっと文句言ってくる!
待って待って!! 大丈夫だから!
でもー、なんか納得いかないなー
もういいの……
何か、忘れさせてあげられるような方法があったらいいのにねー
忘れさせる方法……
消すか
真帆との記憶を消せばいいのだ。
涼七が言っていたように忘れさせるのだ。
だめだめ!! それは絶対しちゃいけない
なぜだ。それで万事解決ではないか
でも人の想い出を勝手に消すなんて……
彼も、忘れたいような言い方だったであろう
……
君の中の、彼との想い出を消すという方法もあるが
それはっ……
きっとそれを消したら……私の存在なんて無いも当然
だって今の私なんて、誠人くんのことだらけだから……
我は君の幸せを願っているのだよ
本当にそれだけだ。
宿題というのもあるが、ここまできたらこの子には幸せになってもらいたい。
けど……
十分頑張ってきたではないか。誰も悪くない。悪いのは、忘れられないような脳を作った神であろう
ウリエル……
お互いが幸せになるためなのだ……
わかった……
では……
こうして我は、真帆と誠人が付き合っていたという歴史を消してやった。
ついでに今日の告白もだ。
これで杏月は幸せになれるのだから。
箱が……光ってる
ふむ……願いを叶えてやれるのも、あと一回ぐらいだな