大好きです……

付き合ってくれませんか?

杏月……

 こいつは西岡杏月。
 『つ』に点々のあづき。

 登校中の並木道で、でっかい独り言を言ってた変な奴。
 最初に話したのは自販機の前だったか。
 黄昏ピーマンとかいう奇妙な飲み物を飲んでいた。

まだ黄昏ピーマン派か?

???

 やはり変な奴。
 こいつは忘れているようだが。
 いや、天使に消してもらったんだっけか。

 天使……そんなものが、本当にいたらいいなと思う。
 かっちょいいしな。
 そういや、杏月もファンタジー好きだったな。

杏月……

あの小説、何週目?

私も三週目いったよ……

 くそ真面目なくせに、どっか抜けてて。
 お化けにビビるわ、迷子になるわ。
 ほっておけない女。

 ……純粋で、優しい奴。

杏月……

俺と付き合え……

え?

お前は俺のもんなっ……!!

ひゃいっ!

裕貴とも二人で会ったりするなよ!!

わかりましたっ!

てか、私が告白してたんだけどっ!!

ははっ

あらためて、よろしくな

よ、よろしくおねがいしますっ

 こうして俺たちは付き合うことになった。

 柿色の夕暮れに染まる杏月の髪はとても美しく、この時の俺は胸が膨れるような充足感を感じていた。

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