陸走船乗り場へ着いた僕たちは、
乗船券などを販売している建物に入った。
待合所には多くの人が集まっていて賑やかだ。

また、窓の向こうでは
荷物の積み卸しをしている
船員さんたちの姿も見える。

ここだけ見たら、
海にある港と変わらないな……。



その後、僕たちは乗船券売場へ行き、
カウンターにいる係員のお姉さんに話しかける。
 
 

カレン

すみません、
お訊ねしたいのですが。

係員さん

はい、いらっしゃいませ。

カレン

ここからサンドパークへ行く
船に乗りたいんですけど。

係員さん

それは乗合船ということで
よろしいですね?

トーヤ

乗合船のほかにも
何かあるんですか?

係員さん

チャーター船もございます。
ご商売をなさっている方は
そちらのご利用が多いです。

カレン

私たちは乗合船で構いません。

係員さん

それでは運航会社を
お選びください。

カレン

えっと、よく分からないので
じっくり検討したいんです。
パンフレットはありませんか?

係員さん

パンフレットはないのですが、
あちらの看板に様々なご案内が
まとめて掲示してございます。

係員さん

それをご参考になさっては
いかかでしょうか?

カレン

ありがとうございます。

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
僕たちは係員のお姉さんに教えてもらった
看板の前に移動した。


そこには運航経路の書かれた地図や時刻表、
運航会社別の船の設備と運賃表、
各種説明などが事細かに示されていた。

周りにはそれを眺めている人も
たくさん集まっている。
 
 

カレン

運航しているのは3社あるみたい。
どれも1日1便を
定期運航しているようね。

トーヤ

それぞれの会社で
違いもあるみたいだね。

カレン

カラット交通は安全性や
船のグレードが高い会社か。
運賃もそれなりに高いわね。

セーラ

安全性ですかぁ?

カレン

モンスターへの対応や
船に備蓄している水や食料の量で
評価が変わるみたいですね。

トーヤ

デザート運輸は安全性が低い分、
運賃が一番安いね。
2等船室が5,000ルバーだって。

セーラ

それでも5,000ルバーですかぁ。
3人で15,000ルバーですよぉ?

 
5,000ルバーあれば、
僕たち3人が高級な宿に食事付きで1泊できる。

安全性が一番低い船舶会社で、
しかも2等船室なのにその値段かぁ……。
 
 

カレン

15,000ルバーは高いわねぇ。

セーラ

残りのサラサラ陸運は、
どうですかぁ?

トーヤ

ここは貨物が主体の
船舶会社みたいですね。
積載量に余裕がある時だけ、
臨時で旅客を乗せるようです。

カレン

だから運賃が『時価』なのね。
旅客は2等船室のみで、
参考価格は3,000~8,000ルバーと
書いてあるわ。

セーラ

運良く安い便が運航されれば
9,000ルバーで済むんですねぇ。

トーヤ

安全性もデザート運輸より
すごく上ですから、お得ですよ!

 
安全性はカラット交通には及ばないものの、
それに迫る評価となっていた。
また、デザート運輸との差はかなり大きい。


荷物をしっかりと運ばなきゃいけないから、
ある程度は安全性も確保しているんだろうなぁ。

完全に貨物第一の便で、
旅客はついでに運ぶという印象だ。
 
 

カレン

でもそんなに良い条件なら
競争率は高そうね。
乗船券が発売されたら
すぐに売り切れちゃいそう。

セーラ

積載量に余裕がある時だけの
臨時便ですからねぇ。
誰かが積み込むはずの荷物を
吹き飛ばしてくれませんかねぇ。

トーヤ

そ、そんなことがあったら、
犯人が捕まるまで
出航予定だった船の全てが
休航になりかねませんよ。

カレン

とりあえずカウンターで、
空席とか運航予定とかを
聞いてみましょう。

 
僕たちは再び係員さんのところへ行き、
サラサラ陸運の便について聞いてみた。

すると係員さんは眉を曇らせながら頭を下げる。
 
 

係員さん

サラサラ陸運は人気でして、
乗船券発売の案内が出ると
即座に満席となってしまいます。

カレン

やっぱり……。

係員さん

現在、運航予定の便は全て満席。
キャンセル待ちも受付終了と
なっております。

トーヤ

次の発売はいつですか?

係員さん

それはサラサラ陸運様次第でして、
正確な時期は分かりかねます。

係員さん

ただ、運航前日の昼頃に
乗船券販売委託の通知が
よく入って参ります。

カレン

では、明後日以降の便は乗船券が
発売されていないんですね?

係員さん

左様でございますが、
貨物の多い日はそもそも旅客を
受け入れておりません。
乗船券が発売されるのは
4便に1便程度となっております。

トーヤ

そうですかぁ。
やっぱりほかの船舶会社にしないと
ダメかなぁ……。

 
僕は独り言のように呟いた。

すると係員さんはそれが聞こえていたのか、
即座に説明を加えてくる。
 
 

係員さん

なお、現在は1週間先の便まで
カラット交通の特等船室以外は
全て満席となっております。

トーヤ

えぇっ!?

カレン

特等船室っていくらでしたっけ?

係員さん

1人5万ルバーとなっております。

セーラ

3人で15万ルバーですよぉっ!

トーヤ

デザート運輸の2等船室は
空いてないんですか?

 
係員さんは手元の台帳を開き、
指でページの上をなぞりながら
各項目を確認していった。

そして何ページかめくり、
なぞっていったところでようやく顔を上げる。
 
 

係員さん

10日後に2席だけございます。

トーヤ

1席足りないね……。

カレン

その日、
1等船室は空いていますか?

係員さん

――はい、あと10席ほど。
1等船室は1人8,000ルバーと
なっております。

カレン

ま、またあとで来ます……。

 
カレンは口元を引きつらせながら返答した。

船に乗れるのは10日後。
しかも3人で18,000ルバーだなんて……。



どうすればいいのかなぁ。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第35幕 船に乗れないっ!

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