僕たちにできることは限られているかも
しれないけれど、
そのできることに全力を傾けるまでだ!

回復する可能性が1%でもあるのなら、
何もしないよりはずっといい。
 
 

カレン

アポロ、
ユリアは魔法容量が
どれくらいだったか分かる?

アポロ

え?

 
 
 
 
 

カレン

さっさと答えなさいっ!
一刻を争うのっ!

 
 
 

アポロ

え、えっと、
そこそこ高いと思う。
ゴーレムを数体同時に
操れるくらいには……。

 
それを聞くなり、カレンは僕の方へ顔を向ける。
 
 

カレン

トーヤ、高等治癒魔法薬を
持ってきてるわよね?

トーヤ

うん、少しだけどあるよ。

カレン

1人分の容量を
濃度2倍に調整して。
投薬の時の微調整は私がやるわ。

トーヤ

分かった!

 
 
 

 
 
 
僕は荷物の中を探り、
高等治癒魔法薬の入った瓶と
濃縮に使用する道具類を取り出した。

カレンも自分の荷物の中から
治療で使用する道具を用意し始める。
 
 

ラジー

危険ですっ!
あの薬の濃縮は難しい!
しかも使用量を少しでも間違えたら
死に直結するんですよっ!?

カレン

承知の上です。
でも、私はトーヤの腕を
信じていますから。

カレン

それにもしもの時は、
責任を負う覚悟もできています。

トーヤ

僕もカレンを信頼しています。

トーヤ

ラジーさんが僕たちを見ていて
不手際があると思ったら、
止めていただいても構いません。

トーヤ

だからまずはラジーさんも
僕たちを信じていただけませんか?

ラジー

キミたち……。

 
ラジーさんは目を丸くしながら
僕たちが準備する様子をジッと見つめていた。

そして少し考え込んでから、小さく息をつく。
 
 

ラジー

……分かりました。
あなたたちを信じてみましょう。

カレン

ありがとうございますっ!

カレン

アポロも協力して!

アポロ

えっ?

カレン

私は解毒魔法で時間を稼ぐわ。
アポロはユリアさんに回復魔法を。

アポロ

…………。

セーラ

魔界最高の魔術師ならぁ、
回復魔法くらいはできますよねぇ?

アポロ

そ、それが……。
俺は確かに様々な系統の魔法を
自在に操れる。

アポロ

でも魔法容量がすごく低くて、
連続では使えないんだ。
すでにさっきお前たちとの戦闘で
魔法を使っちゃっただろ?

アポロ

回復するまで、
まだ時間がかかる……。

セーラ

はわわぁっ!
条件付きって言っていたのは、
そういうことだったんですねぇ。

 
深いため息をつき、肩を落とすセーラさん。
アポロも項垂れて奥歯を噛みしめている。


道具の準備をしながらそれを聞いていた僕は、
荷物の中から小瓶を取り出して
それをテーブルの上に置いた。

そして2人にフォローを入れる。
 
 
 

 
 
 

トーヤ

大丈夫だよ!
その小瓶には魔法力を
回復させる薬が入ってる。
アポロ、それを使って!

アポロ

ホントかっ!?
それならなんとかなるっ!

セーラ

トーヤくんはここぞという時に
頼りになりますねぇ~!

カレン

アポロ、よく聞きなさい。
回復魔法は
効果が薄くてもいいから、
かける時間をなるべく長くして。
いいわね?

アポロ

承知したっ!

 
こうして僕たちはそれぞれの役割に全力を傾け、
ユリアさんを救うための行動を開始する。



まずは僕の出番――。

この調薬がうまくいかなかったら、
何も始まらない。

だから絶対に成功させてみせるっ!
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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