やる気まんまんで登校する私。
もっかい告白するから
やる気まんまんで登校する私。
む? やめとくんだ、せっかく消したのに
今度はもっと考えてアタックするのっ
ウリエルも一緒に考えてよっ!
う、うむむ……
私はもう一度、堀坂くんに告白することを決めた。
ウリエルの姿は今、私以外に見えないらしい。
だから常に私に憑いて回っている。
『憑く』とか……天使というより霊みたい
まあ本音は一人より二人のが心強いから、付いてきてくれるのはちょっと嬉しかったりするわけで。
また放課後、手紙で堀坂くんを屋上へ呼び出した。
————告白リトライ①
ポエム系
堀坂くんの事、大好きです……
付き合ってくれませんか?
一世一代(?)の告白をした。
えっと、誰だっけ?
2年A組の西岡杏月です
で、俺のどこが好きなんだ?
そこで私はセリフを書いた紙を颯爽と取り出す。
ふっ。誠の恋をするものは、みな一目で恋をするんですよ
髪をかき上げながらそう呟く私。
byシェイクスピア
by誰々のところは 言わなくていいのに!
私は続ける。
嗚呼、君は太陽だー。そして僕は月。君がいないと僕は輝けぬー!
決まった……!
沈黙の後、彼は呟く。
これ、返すわ……
またしても手紙を突き返し、去っていく堀坂くん。
ポエムは失敗かあ……ねえ、もう一回消して?
仕方ない。次こそはうまくやるのだよ
————告白リトライ②
オラオラ系
堀坂くんをフェンスに攻め立てる私。
俺の男になれよ
立場逆じゃね?
正論ね
————告白リトライ③
厨二病系
汝、我と契約せよ。蔓延せしデブリを排除し、共に新たな世界を作ろうではないか
ほほう……
(おっ)
だが断る!
ナニッ!!
————告白リトライ④
ヤンデレ系
ふふふふふ……。貴方のフォロワー、九割が私のアカウントだって知ってた……? しょうがないんだよ……? 貴方が私の見えないところ行っちゃうんだから……。例え貴方が動けなくなっても、ずっと……ずっと一緒にいてあげる……ね?
……ははは
彼は飛ぶように去っていった。
————告白リトライ⑤
ツンデレ系
べっ、べつにアンタの事なんか好きじゃないんだからねっ!
あそ。じゃ帰るわ
ちょ……
帰っちゃったじゃないっ!
なかなか成功しない状況にいら立ちが募る。
さあ、ウリエル! 消してちょーだい
なんか君は、天使の存在をぞんざいに扱ってないかね……?
いいから、は、や、く!
いったいどんな告白だったら振り向いてくれるの……
ふむ。では我がセリフを考えて進ぜよう
そう言われてウリエルの考えたセリフをメモする私。
これ、本当に大丈夫?
当たり前なのだ。我が言われたいセリフである
————告白リトライ⑥
ラファエル系
こ、この豚野郎!
豚……!?
一度しか言わないからよく聞くのよ。……私のペットになりなさい
二度と顔見せんな!
堀坂くんは手紙を私に投げつけて去っていく。
まあ、当然でしょ!!
ふむ。良い告白なのにな
そもそも、ラファエル系ってなんなのっ!
その黒歴史、消して進ぜよう
……もう諦めたらどうだね
でもリア充といえば彼氏! 彼氏もちといえばリア充でしょ!?
ううむ……他に男はおらぬのか?
……
そういえば……
中学一年の頃、とある男子に告白されたことがあったっけ。
その頃は恋愛なんかには興味がなかったから断ったけれど。
その後、厨二病を患い、彼氏いない歴イコール年齢のまま今に至る。
あの時告白されたこと、なかったことにできる?
無論なのだ
そして早速、その男子に告白された事実を無かったことにしてもらった私。
よし、これで明日、その男子に会いにいけば彼氏ゲットだ。
私ってば、賢いぞっ。
だが、今もまだ君の事を好きかどうかは知らぬぞ……
ハッ! 忘れてたっ!