杏月ちゃん……!?

 長身の太陽系男子が私を見て手を振っている。

久しぶりだねっ

 今日私は他校の校門で、この男子を待ち伏せていたのである。

ほんと、久しぶりだな!

この男が君の言ってた彼氏候補なのだな

 そう、この男子は宮川秋。
 中学一年の時に私に告白してきた男子だ。
 確か告白は……

オレの子供を産んでくれないか!

 とか言われた。
 ウリエルに消してもらっているから、この人は忘れているだろうけれど。
 あんなセリフ、むしろ消してもらって感謝してほしいぐらいね。

誰か待ってるのー?

それは秋を……

オレ!? どうしたの?

や、えと

(さすがに堀坂くんの代わりを見つけに来たなんて言えない)

なんとなく顔を見たくなって……

まじか! 中二になってから全然喋ってくれなかったからオレ嫌われてんのかと思ってたぜ

や、ごめんね。そうゆう訳じゃなくてっ

そういや、いつも付けてた眼帯はもうしてないの?

(ギクーッ!!)

ちょ、ウリエル! 微妙に消し残しあるんじゃ!?

眼帯は目を保護するためのものであろう?

???

 そこへ女子生徒が宮川秋に手を振る。

宮川、バイバーイ!

バイバイ!

宮川、また明日ー!

おう! じゃな!

ふむ。人気者だな

 男女問わず挨拶されるとは、この男リア充め。

 うらやましい……。

しかし杏月ちゃん、めちゃ綺麗になっててびっくりしたー!

なっ、なにを言ってっ!?

 そうだった。
 中学でもこういう人だった。

 さらっと、口説き文句を言う。
 しかも自覚なし。
 それで沢山の女子をその気にさせては告白を断っていたという。

 まあ、その頃の私は教祖になるべく悪戦苦闘中でどうでも良かったのだけれど。

なんでオレ、杏月ちゃんに会いにいかなかったんだろな。一年の頃は仲良かったのに

 なるほど、告白や厨二病の歴史は消えども他の歴史が入れ変わる訳ではないようだ。

 私がフッた後もしばらくは声をかけてきてくれて、ボッチになる私を気にしてくれていたっけ。

 厨二病全開の頃に、私から近づかないでと距離を置いたのだ。

ちょっと時間あるかなっ?

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