僕は『材料』になる植物を採取しつつ、
一応は落ちている石も集めていった。

もし作戦がうまくいかなかった時は、
フォーチュンの出番になるからね。

でもそうならないように、
僕は僕の持つ力を最大限に発揮してみせる!



――旅に出る時、タックさんは言っていた。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

タック

トーヤ、お前は薬草や薬に詳しい。
その力で仲間を助けろ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

トーヤ

そうだ、僕は薬草師。
薬草師は回復薬を作るだけが
仕事じゃない。

トーヤ

僕の力はほかのことにも
応用できるんだ!

 
僕は手早く材料を集めていった。
もちろん、どれでもいいというわけじゃない。
必要成分の多そうなものや部分を選んでいる。


あと採取しなければならないのは、
悪魔カエデの根元に生えている
『もふもふコケ』だけ。

――それで全ての材料が揃う。



僕は駆け足で悪魔カエデに近寄り、
コケの表面をナイフで削り取った。

それを小瓶に入れて
カレンたちのところへ戻る。
 
 

カレン

トーヤ、石は集まった?

トーヤ

うん。

セーラ

でもでもぉ、石以外にも
色々と集めていませんでしたぁ?

トーヤ

実は僕に考えがあるんです。

セーラ

ふぇっ?

トーヤ

カレン、
火の魔法は使える?

カレン

えぇ、もちろん。
でも魔法力が残り少ないから、
あまり強力なヤツは無理よ?

トーヤ

大丈夫。
火をおこせればいいんだ。

カレン

何をするつもりなの?

トーヤ

説明はあとでするよ。
急いで薬を調合しないと
いけないから。

 
僕は荷物の中から小型のすり鉢とすりこぎ、
薬研、乳鉢と乳棒などを取り出した。

本当は天秤を使って調薬した方が
より高い効果が期待できるんだけど、
今回は目分量でおこなう。

あまり時間をかけられないし、
成分を微調整しなくても
必要な効果は出せるはずだから。


僕は素速く頭の中で作業の順序と
分量を確認していった。
それに従って薬草をすりつぶしたり、
種を砕いたりしていく。
 
 

カレン

トーヤ、何か手伝うことはある?

トーヤ

カレンは結界を守る方に
専念してて。
完成する前に破られちゃったら
意味がないから。

トーヤ

適材適所――でしょ?

 
ついさっきカレンに言われたセリフを、
僕はおどけながら返した。
 
 

カレン

っ!?

カレン

……ふふっ、了解っ♪

トーヤ

あ、でも、火をおこすだけの
魔法力は残しておいてね?

カレン

はいはいっ!

トーヤ

セーラさんはカレンと一緒に
結界を守ってください。
お願いします。

セーラ

おっけぇー!

 
僕は急ぎつつも確実に調薬作業をしていった。

その間に何匹かのデビルペッカーが
結界に体当たりをしてきたみたいだけど、
カレンとセーラさんが
うまく対処してくれたみたい。



――そしてついに僕は、
目的の薬を完成させることに成功する。
 
 

トーヤ

カレン!

 
僕は手振りと大声でカレンを呼んだ。

すると程なく彼女はこちらに駆け寄ってくる。
 
 

カレン

どうしたの?

トーヤ

この塊に火を付けてほしいんだ。

カレン

な、何よ、これ……?

 
僕が差し出した緑色の塊を見て、
カレンは目を丸くしながら
戸惑うような声を上げた。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

pagetop