レディアヴェール王国で暮らすフェインリーヴに助けられ、早半年……。
表向きには、遥か東方の国から訪れた民として振る舞い、彼の弟子として暮らす事になった撫子。
彼女は、フェインリーヴの許で薬学の勉強をしながら元の世界に戻る方法と、――この世界に一緒に飛ばされてきただろう解き放たれた妖の行方を捜し続けている。
癒義の巫女としての勘、のようなものなのだが、あれが復活する前も、その予兆を感じ取る事が出来た。
だから、撫子は傷が癒えた後、フェインリーヴの勧めを受けて、見習いという立場に収まった。
その生活は……、焦りと不安ばかりで情緒不安定になっていた撫子の心を癒し、今ではこの日常を楽しむ余裕にも恵まれるようになっている。