僕たちは王城を出発し、
街道との出入り口へ向かって街の中を
歩いていた。
メインストリートの両側には
様々な商店が軒を連ね、
たくさんの人が行き交っている。
かつては商売をするには
厳しい制限があったけど、
今では届け出をして税金さえ納めれば
一部の商品を除いて
誰でも自由に取り引きができる。
おかげで経済は活性化して、
町全体が以前と比べて賑やかになっている。
僕たちは王城を出発し、
街道との出入り口へ向かって街の中を
歩いていた。
メインストリートの両側には
様々な商店が軒を連ね、
たくさんの人が行き交っている。
かつては商売をするには
厳しい制限があったけど、
今では届け出をして税金さえ納めれば
一部の商品を除いて
誰でも自由に取り引きができる。
おかげで経済は活性化して、
町全体が以前と比べて賑やかになっている。
どのお店も活気があるわねぇ。
これも女王様のおかげかな。
そうだ。
いい機会だからお前たちに
新しい武器を買ってやるよ。
いいんですか？
任せとけ！
カネの心配はするなっ！
どんなに高いヤツでもいいぞ～♪
クククッ……。
タックさん、
何か企んでいそうな感じだ。
こういうところは
レインさんに似てるよなぁ……。
やったぁ！
あたしのレイピア、
新しいのが欲しいなぁって
思っていたところなんですよっ！
武器を買ってもらえるのは嬉しいけど、
僕は力が弱いから
装備できるものが少ないんだよなぁ。
護身と材料採取で兼用しているナイフも
お城の薬草師になった時に
新調したばかりだし。
でもせっかくのご厚意なので、
いらないとは言いにくい……。
どの武器屋がいいかな？
中心街に有名な武器屋はあるが、
量産品ばかりだろうしなぁ。
お前たちはいい店を知らないか？
私の場合、
両親が家に専属の商人を呼んで
取り引きをしているんです。
だから町の武器屋は
よく知らなくて。
さすが上民のお嬢様だなぁ……。
トーヤはどうだ？
僕は下民なので、
武器を持つ機会は
ありませんでした。
だから僕の持っているナイフも
市場でたまたま見かけた
交易商人さんから買ったもので。
僕は腰に差してあるナイフに
チラリと視線を向ける。
これは僕が王城の薬草師になって
間もなくの頃、
市場の隅で売れずに困っていた
女の子の交易商人さんから買ったものだ。
装飾が綺麗で、
僕の手にもよくなじんでいるから
すごく気に入っている。
おおっ、それだ！
市場へ行こうぜ！
そこなら掘り出し物が
安く買えるかもしれねぇ。
でも常闇の森に急がなくて
いいんですか？
クレアさんが心配です。
…………。
買い物をするくらいの時間なら
大して差はないだろうさ。
それに装備が手薄で
オイラたちがやられちまったら、
元も子もない。
分かりました。
でもなるべく急ぎましょう。
あぁ、分かってるさ。
こうして僕たちは
メインストリートから少しはずれた
広場で開催されている市場へ
向かうことになった。
市場では武具や食べ物、貴金属、
日用品、魔法の儀式に使う小動物、
あらゆるものが取り引きされている。
全てを丁寧に見て歩いたら、
数日はかかりそうなくらいの規模だ。
その中でも僕たちは武器を扱う人が
たくさん集まっているエリアを
歩いていく。
周りにいるのは屈強な冒険者や傭兵、
兵士、魔術師が多い。
剣がいっぱい並んでますねぇ。
でもレイピアは見かけないわ。
ほとんどがガラクタだな。
戦場で拾ってきたものや
使い古したものばかりだ。
値段は安いが、
品物もそれ相応って感じだ。
そうなんですか。
もっときちんとした武器を
扱っているところって
ないんでしょうか。
それなら僕がナイフを買った
商人さんのところへ
行ってみませんか？
今日も店を出しているかは
分かりませんが、
商売をする時はいつも
そこにいるって言ってました。
ダメ元で行ってみるか。
もしそこがハズレだったら、
諦めて中心街の武器屋へ行こう。
トーヤ、案内してもらえる？
うん、分かった。
僕は武器屋の集まる界隈を離れ、
日用品を扱う店が主体となっている場所へ
カレンとタックさんを案内した。
ここへ買い物へやってきているのは、
ほとんどが地域の一般住民。
井戸端会議をしている様子も多く見られる。
その中を進んでいくと、
僕はナイフを買った商人さんの姿を見つけた。
地面に敷かれた布の上には、
小物や装飾品などが並べられている。
相変わらず、
足を止めるお客さんはいないようだ。
…………。
女の子の商人さんは、座って本を読んでいた。
商売をする気は感じられない。
――というか、すごく読書に集中していて、
声をかけるのを躊躇してしまうほどだ。
次回へ続く！
